Kabuki Syndrome Network in Japan Newsletter 歌舞伎ジャーナル  第79号

<<平成20年2月10日>>

  歌舞伎症候群・プラダーウィリ症候群・アンジェルマン症候群

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T. 今回のテーマ決定の理由

 今までの歌舞伎ジャーナルでは、歌舞伎症候群以外の『生まれながら染色体や 遺伝子が原因または原因と考えられ、奇形などの症状をもつ疾患』については積 極的には触れてきませんでした。今回は次の2つの理由により他の症候群について も比較します。

@ 他の病気を知ることにより、『歌舞伎症候群』を今まで以上に深く知ることが 出来る。

A 2007/6/30に歌舞伎症候群の北米ネットワークより『先天性疾患の調査(My research is focused on educational aspects of some rare genetic diseases, such as Prader-Willi syndrome, Angelman syndrome, and also Kabuki syndrome.) 』に協力するように依頼(以下「イタリアの調査」)がありました。イタリアの調 査は上記の歌舞伎症候群・プラダーウィリ症候群・アンジェルマン症候群(以下「3 つの先天性疾患」)のデータを収集し、特別の教育に生かそうとするものです。

Aの目的等についてもう少し詳しく記載します。

ア.調査する人: Dr. Sylvia Maggiolini,(イタリア・ミラノの大学で先天性疾患 を持つ子どもたちの特別教育の研究をしている人)

イ.調査対象の先天性疾患:3つの先天性疾患

ウ.調査の目的:医師たちは、医療向上を目的にデータを集め、医療に生かしてい ますが、教育には生かされていません。先天性疾患の教育向上を目的にデータを 収集し、社会にフィードバックし、安心して暮らせる社会に貢献したい。

エ.調査票:英文で30枚に及ぶ内容。かつ、ID・PassWordで管理されているため、 技術的にwebに載せられません。また、私の能力ではこの調査票に回答できません 。

オ.調査結果の公開方法:調査完了後、歌舞伎症候群の英文ホームページに掲載予 定。(平成20年1月30日現在報告はありません。)

U. この3つの先天性疾患が医学的にどのように分類されているか

  まずは国際基準の例を紹介します。

(*1) 〜(*6)の説明は、このホームページの末尾にあります。

国際基準の方式は医師の立場で分類されているような気がします。保護者 の立場での分類方法の要望は、平成18年度から障害者自立支援法の施行、平成19 年度から特別支援教育の施行に伴う福祉や教育の共通項を見据えた分類です。こ の視点からDr. Sylvia Maggioliniが行おうとしている調査の方向性は「血が通っ ている」と思います。国内では 慶應義塾大学医学 部小児科学教室が 『多発性奇形症候群』として1つの分類を設けています。この中では「3つの先天 性疾患」を含め、41の症候群をまとめています。保護者の立場では、こちらの分 類のほうが説得力があると思います。また、分類的には 「Mendelian Inheritance in Man」の基準と一致しています。

『多発性奇形症候群』… 身体の離れた部位に複数の先天異常をもつお子さんを 総称して「多発奇形症候群」(または多発性奇形症候群)とよぶ場合があります 。遺伝性あるいは非遺伝性のさまざまな疾患がふくまれ、原因も多様です。この ような疾患は稀であるために一般に診断が困難です。

次に診療実績がどのようになっているか調べてみました。

埼玉県立小児医療センター/遺伝科 のホームページに5年間の実績が掲載さ れています。(このセンターに感謝します)

2000〜2004年度(初診総数:1301)中の代表的先天異常症候群患者数で

Kabuki症候群…13人、Prader-Willi症候群…22人、Angelman症候群…8人 と報告 しています。

V. 3つの先天性疾患の比較

 次に、イタリアの調査はなぜこの3つの先天性疾患を選んだのか説明がありませ ん。しかし、明確な理由があると思います。それを解くことが重要な鍵と思われ ますので、ほんのわずかですが、それぞれの原因や特徴などを拾い出してみます 。この検証の資料として次のホームページなどを参考にしました。

プラダーウィリ症候群日本プラダー ・ウィリー症候群協会 プラダーウィリ症候群を持つ人の心と体の健康のために International Prader-Willi Syndrome Organization

アンジェルマン症候群 エンジェルの会 ANGELMAN SYNDROME FOUNDATION.INC

以下の点に注意し、下表を参考としてください。

@ それぞれの症候群は個人差が多く、また、程度が軽度〜重度の方がいらっしゃ います。ですから、当てはまらない方もいらっしゃいます。ステレオ・タイプに ならないよう注意してください。

A 上記のホームページは統一的なフォーマットで作成されてはいません。下表は 、対比を目的にコンパクトに作成していますので、真意が伝えきれない場合があ ります。

この3つの先天性疾患の比較結果を特別支援教育・障害福祉サービスに生かすためには、精神遅滞の程度・質についてもっと研究が必要 です。

 末尾の『X.まとめ』でも記載しますが、各子ども病院などで保管されている各種「発達度テスト」の結果をどこか1箇所で集約し、データベース化して、必要に応じて公開すれば、効率的でより良い特別支援教育・障害福祉サービスの提供に生かされます。

W. 理解を深める目的でこの1年以内に投稿されたYou Tubeのドキュメンタリー を紹介します。

 国内の映像を使用すると個人が特定しやすいため、海外 の映像を紹介します。当然外国語のため、話している内容を理解するのは困難で す。雰囲気だけでも理解してください。また、画面構成をコンパクトにするため に1つの症候群に1つの映像としていますが、他にも特に閲覧をお勧めしたい映像 は「題名」をクリックしていただけばYou Tubeのビデオに飛びます。

 ここで紹介するそれぞれの作品はドキュメンタリーとしてオーソドックスな作品です。その理由は作品構成が、当事者の行動に保護者、専門家のコメントから成っています。今の日本では文化の違いや個人情報保護の面からこのような作品を作ることは困難ではないでしょうか。

  歌舞伎症候群 (Kabuki Syndrome)

Rainbow Kids Documentary(2007.4.7投稿)

ビデオの概略  歌舞伎ジャーナル第66号で詳しく述べています。

プラダーウィリ症候群 (Prader-Willi Syndrome)

prader willy(2007.10.7投稿)

↑のビデオを見た後、 プラダーウィリ症候群を持つ人の心と体の健康のためにを読み、再度↑のビデオを見ていただくとこの先天性疾患が持つ問題点(多くの人が陥っている誤解)がよく判ります。

  食べ続けられずにいられない!!(a documentary on pws 『Cant Stop Eating Funny Bits』)

  プラダーウィリ症候群(Sindrome de Prader Willi (UNED TV 1999) [1/3] )

アンジェルマン症候群 (Angelman Syndrome)

ザッカリーはおばーちゃんからクリスマスプレゼントをいただきました(Zackary getting a present from Grammie(2007.12.27投稿)

ビデオの概略

息子のザッカリーはアンジェルマン症候群で生まれました。この症候群は言語障 害、痙攣や不器用さなどを伴っています。最も特徴的なことは『いつも笑ってい る表情』です。このことはビデオを見ていただければわかることと思います。(わ が家の子のしぐさはこのビデオの子のしぐさ(体の上下運動・笑いながら顔を近づ ける)に良く似ています。)

  Rocky and Candice *break card* 家族が一生懸命機能訓練をサポートしています

  Telethon for Research into Children's Diseases

 アンジェルマン症候 群基金のためのウォーキング・イベント(エア・カナダの事業)

  大人のアンジェルマ ン症候群(雇用される技術を披露しています)

X. まとめ

 このページを作っていて、自分自身が歌舞伎症候群のことを判っていたよう で全く判っていないことに驚きました。

 こういう作業は医師のイニシアティブが必要と痛感しました。このページの『 U.この3つの先天性疾患が医学的にどのように分類されているか』でも記しまし たが、『特別支援教育』や『障害福祉サービス』を効率的に提供したり、受けた りするには、知的障害の程度がある程度同じレベルである必要があります。それ を知り、判断するための医師の作成したタタキ台が必要になってきます。残念ながら、今は判断基準となるべき統一フォーマットのようなものはほとんどありません。確かに 、先天性疾患は人数が少ないこと、障害程度の個人差が大きいことがありますが 、知的障害者の福祉増進のためには必要不可欠です。後は、保護者や教育・福祉 の関係者が肉付けをしていきます。

今後当面必要なこととして、個人情報 に配慮しつつ

 ・ 各子ども病院などが持つ、各種「発達度テスト」の結果をナショナルセンター1箇所で集約し、データベース化して、必要に応じて公開する。

 ・ 各先天性疾患のグループ同士の横のつながりを強化し、情報共有を図る。

  ・ 特別支援学校が持つノウハウを公開する。

 ことだと思います。  

(*1)「疾病及び関連保健問題の国際統計分類:International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems  (以下「ICD」と略)」とは、異なる国や地域から、異なる時点で集計された 死亡や疾病のデータの体系的な記録、分析、解釈及び比較を行うため、世界保健 機関憲章に基づき、世界保健機関(WHO)が作成した分類である。

 最新の分類は、ICDの第10回目の修正版として、1990年の第43回世界保 健総会において採択されたものであり、ICD−10(1990)と呼ばれてい る。

 先天性疾患は、第17章__先天奇形、変形及び染色体異常(Q00-Q99)に分類されて いる。

(*2) ICD−10と電子カルテをマッチさせるためのコード

(*3) ヒト遺伝子変異と遺伝病に関する代表的なデータベースです。 Johns Hopkins 大学 McKusick博士がライフワークで書いている『Mendelian Inheritance in Man 』のオンライン版で、米国国立医学図書館(National Library of Medicine)内 の国立生物情報センター(National Center for Biotechnology Information:NCBI )がが提供しており、頻繁に更新されています。

(*4) 病気の状態、患者の症状及び処方された薬の関係を紹介する無料のインター ネットのデータベース

(*5) Medical Subject Headings の頭文字であり、米国国立医学図書館 (NLM) が 定める生命科学用語集(シソーラス)である。

(*6) オンラインの臨床医学データベース。1996年に2人の医師により設立された。2006 年1月から市販されている。

(文責 尾関敏伸)

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