Kabuki Syndrome Network in Japan Newsletter
歌舞伎ジャーナル 第81号<<平成20年5月26日>>
障害者と介護保険のホームヘルプ派遣事業所からサービス提供量のデータを いただきました
このページの目的・・・ホームヘルプサービスの提供量の変動から、福祉サービスの提 供量が減少していることの証明
1.現在の障害者福祉サービスにはいろいろな問題をはらんでいます。
その問題の一部を紹介すると次のようになります。
@サービスの担い手の不足…安い人件費。苛酷な労働環境。
Aサービス量の制限…サービス量の上限が定められている。
Bサービスを受けたときの自己負担…原則1割の自己負担。 等
これらが連鎖反応を起こし閉塞状態に陥っています。将来の明るさが見えませ ん。
2.障害者の福祉サービスは、大まかに次のように分かれています(自立支援 法上の区分ではありません)。
在宅サービス…ホームヘルプサービス、地域活動支援センター(旧デ イサービス)、ショートステイ 等
入所サービス…施設入所
3.今回は、ホームヘルプサービスにスポットを当てて検証しました 。
具体的数値を示すとデータをいただいた事業所に迷惑をかける恐れがあるた め、平成13年度の数値を1.0として、比較数値を紹介します。
障害者の福祉サービス制度は既知のとおり、制度変更を繰り返し、また考案 者の制度設計が甘く、障害者に充分理解されず、世論の反発にあい、大変分かり にくい制度になりました。
具体的には、平成14年度までは『措置制度』、平成15年度〜平成17年度まで は『支援費制度』、平成18年度からは『障害者自立支援法』により障害者は福祉 サービスを利用してきました。
上記のことを『表』と『グラフ』で表すと次のようになります。
事業所が事業を廃止すると困るのは障害者です。
用語の説明
・ホームヘルプサービス
身体介護…食事、入浴、排泄のお世話。衣類やシーツの交換。通院の付き 添い 等
生活援助…住宅の掃除、選択、買い物。食事の準備、調理 等
・『措置制度』…かつて障害者福祉サービスの利用については、行政の措置決 定により、施設に入所したり、在宅サービスを受ける形になっていた。措置は一 部自由が束縛される制度で命令に近い。支援費などの契約制度とは違い、例えば 『あなたは、○○時間/週、ホームヘルプサービスで身体介護を受けます。』等の 決定がされる。
・『支援費制度』…障害者の自己選択・自己決定を前提としたノーマライゼー ション実現を目指す、社会福祉基礎構造改革の理念を基に導入された制度。創設 時より問題があったが、特に財政問題が顕著で介護保険制度との統合の検討も始 まっていた。
・『障害者自立支援法』…来るべき少子高齢化社会に向けて従来の支援費制度 に代わり、障害者に費用の原則1割負担を求め、障害者の福祉サービスを一元化し 、保護から自立に向けた支援をする法律で、詳しくは ここを参照してください。
参考資料
次の表、グラフは同じ事業所からいただいた介護保険制度 のホームヘルバー派遣のサービス量です。
因みに、介護保険のホー ムヘルパー派遣のボリュウム=自立支援法のホームヘルパー派遣×約5倍 となります。裏返すと、障害者の人数はそれだけ少ないということです。
財政的な面のみから見ると、こちらも国の思惑通りのようです。
歌舞伎ジャーナル目次へ / E-mail