ビデオブログ 日記ブログ このHP

Kabuki Syndrome Network in Japan Newsletter 歌舞伎ジャーナル  第96号

<<平成21年8月31日>>

  論文には記載されない歌舞伎症候群の特徴(非臨床的特長)について

テーマは少々大げさですが、医師には書けない特徴を列挙したいと思います。

  @どうして医師には書けないか

  A論文に書かれている特長(臨床的特長)は何か

  B論文に書かれていない特徴の具体例

 

  @どうして医師には書けないか

  ・科学的根拠に乏しい

  ・抽象的な表現になってしまう

  A論文に書かれている特長(臨床的特長)は何か

  引用する論文の出典は

  "Kabuki syndrome: a review " - Clin Genet. Mar;67(3):209-19 2005 Author: Adam MP, Hudgins L.の3ページ目左側

  この論文のweb化はオーストラリアのグループが担当しました。

   
 
     歌舞伎症候群患者の割合(%)
臨床的特長 
 
比較的よくある特徴 
 特徴的な顔のつくり
 長いまぶたの裂け目
 皮膚紋理異常(指紋の異常)(素人による判断は困難と思います)
 低い鼻中隔
 指の指紋の中心が尖って盛上っている
 突出した大きな耳介
 アーチ型の眉
 IQ(知能指数)が80より下
 突き出た耳
 押しつぶされた鼻(低い鼻)
 短い小指
 過伸屈過屈曲(柔らかい関節)
 アーチ型の口蓋
 不揃いの歯列(欠歯)
 筋肉の緊張性が低下(柔らかい体)
 下垂症
出現率50%以下の特徴
 心臓血管の異常
 口唇裂/口蓋裂
 脊柱側弯症
 変形の椎骨/肋骨
 青色強膜
 腎臓/尿道の先天性異常
 早期の乳房発達
 難聴
 下口唇小窩
 停留精巣
 耳介前のフィステル
 股関節部の脱臼
 てんかん
 
これらのデータはマツモト外からの出典です。 
 

 

  B論文に書かれていない特徴の具体例

  出典等

 2001年(英語圏のネットワーク)実施の健康などのアンケート

 歌舞伎ジャーナル第17号国内アンケート結果《2003年7月5日》

 ・ ハッピーな性格          87%

 ・ 粗大運動能力の遅滞       83%

 ・ 話すことの遅れ、話せない    75%

 ・ トイレトレーニングの遅れ    75%

 ・ 運動神経の司りの遅れ      57%

 ・ すごく社会的、ひとなつっこい  57%

 ・ アイ・コンタクトの行為が乏しい 57%

 ・ 極端に敏感            47%

 ・ 首、手、足を猛烈な勢いで振る   47%

 ・ 同じフレーズの繰り返し      45%

 ・ 過度によだれをたらすこと    43%

 ・ 自らを傷つける行いがある     19%

 ・ 睡眠異常、余り眠らない     19%

 ・ 顔の震え            13%

  ご覧のとおり、科学的に立証することがナンセンスで、かつ、その症状を表現するのに困難なものが多いようです。

  下のビデオは『首、手、足を猛烈な勢いで振る …47%』を撮影したもので、医学的にどういう名前がついているのか私は知りません。

 

Rainbow Kids Documentary(レインボー・キッズ・ドキュメンタリー)の主役「ザッカリー」もビデオの中で同様なしぐさを見せます。

  歌舞伎症候群などの絶対数が少ない病気は、調査結果の数値(%)は一定ではなく、誤差の範囲が大きく、調査するたびごとに結果が変化することがあると思います。これは仕方がないことで、我々としては、歌舞伎症候群の症状として上述のようなことが起こる可能性があると理解するのが肝要だと思います。

  我々は調査結果数値(%)に一喜一憂する必要はないと思います。例えば、A論文に書かれている特長の内、『心臓血管の異常』は、乳児の時に異常がなければ、将来について不安はないということです。また、『皮膚紋理異常(指紋の異常)』があったとしても、日常生活にどんな不便なことがあるのかよく分かりません。多分、歌舞伎症候群と診断するための「物差し」にしかならないでしょう。(誤解を招かないようにしたいのですが、臨床的特徴の多くは、勿論、生活に密着しているものです。重箱の隅をつついて、この論文の記載内容を批判したり、否定しているものでは決してありません。あしからずご容赦ください)

  逆に、B論文に書かれている特徴の内、『トイレトレーニングの遅れ』や『話すことの遅れ、話せない』は日常生活に計り知れない不安や不便が発生します。

  問題の本質は、病名を決めるという、入り口論ではなく、診断された病名から今後どんなことが起こりうるか準備をすることが重要ではないでしょうか。その中の方策として、試行錯誤することなく、「長所で短所を補う」という考えが生まれ、蓄積されたデータを上手に生かさなければなりません。

  最後に最新の学術論文の1つを紹介します。

  Molecular karyotyping in 17 patients and mutation screening in 41 patients with Kabuki syndrome" - ・Journal of Human Genetics Apr 3 [Epub ahead of print] 2009 Author: Kuniba H, Yoshiura KI, Kondoh T, Ohashi H, Kurosawa K, Tonoki H, Nagai T, Okamoto N, Kato M, Fukushima Y, Kaname T, Naritomi K, Matsumoto T, Moriuchi H, Kishino T, Kinoshita A, Miyake N, Matsumoto N, Niikawa N
結論…今回の論文の成果として、『歌舞伎症候群の原因となる遺伝子を示すことができませんでした。しかし、9q21.11-q21.12の軌跡は、口蓋裂の患者の中で歌舞伎症候群の原因解明の助けになるかもしれません。』と書かれています。

  私は、歌舞伎症候群の原因究明は是非、日本のドクター達に成し遂げてほしいと願っています。

歌舞伎ジャーナル目次へ  / E-mail