ページロゴ 管理人所蔵の文献をジャンル別にご紹介します。
定期的に増強してゆきます。


・明治を尋ねる
 ・戦前戦中の意外史
 ・かつての日本を写真やマンガで見る
・戦時の広告、商品図案
 ・戦争と怪異譚
 ・満州関連
・女性史 NEW!
 ・戦史・戦記
 ・兵器・軍装
・化学兵器問題を考証する
 ・戦争を考証する
 ・従軍慰安婦問題を考証する
・戦争と映画
 ・日本と日本人を考証する
 ・近代建築を尋ねる
・著名人の手記・日記




 明治を尋ねる

■図説 明治事物起源事典

著者:湯本豪一
版元:柏書房
価格:本体9600円+税(1996年11月20日 第1刷)

近くて遠い明治の世がグッと身近なものに!

従来の文章・文献式「明治事物起源辞事典」のコンセプトを覆し、見ながら読む時代にマッチさせた、ニュータイプの事典登場。

第1部 政治・経済篇
ペリー来航(嘉永6年)から明治天皇崩御まで、政治と経済にまつわる事項を年代順に収録。幕末明治の大枠を理解するのに適した構成。項目数59。

第2部 社会・生活篇
広く、社会にまつわる事項を10項目に分類し収録。
世の風俗や流行、市井の生活を理解するのに適した構成。項目数141。
(いずれも帯より)


■図説 幕末明治流行事典

著者:湯本豪一
版元:柏書房
価格:8900円+税(1998年10月30日 第1刷)

「どじょう」はなぜ下級官吏の象徴となったのか?
近代化に軋みつづける日本のルーツはすべて明治の流行にあった。

うたかたの「流行」からしか捉えられない明治の実像を読み解く!
錦絵・漫画・広告といった図像を通し、幕末・明治の流行が映す時代の姿を「見て理解できる」かつてないビジュアル歴史事典。
(いずれも帯より)


■江戸と東京 風俗野史

著者:伊藤晴雨
編注:宮尾與男
版元:国書刊行会
価格:5800円+税(平成13年6月30日 初版第1刷)

いかものの見世物、町にあふれる行商、珍奇な玩具、不可思議な迷信……
江戸の生活世界を博物学的細密さで描き切った名著、完全復刻!
初紹介の「稿本 江戸と東京風俗野史図絵」と、名著『江戸の盛り場』をも併録した完全版。
(帯より)

責め絵に生涯を捧げた晴雨翁ですが、風俗絵師としての腕にも凄まじいものがあります。さまざまな家具調度品を筆写した部分などは、いまはなき古民具の資料としても貴重です。


■明治剣客伝

著者:戸部新十郎
版元:光文社
価格:580円(1996年6月20日 初版1刷)

文明開化の明治、断髪・廃刀令の施行により、剣道は衰え、職を失った剣士たちは“撃剣興業”などで細々と生計を立てていた。しかし、西南戦争の折りの警視庁抜刀隊の活躍で、明治政府も改めて剣道の価値を見直す。苦難の時代を乗り切り、旧幕時代から伝わる各流派の奥義を次の世代に残した名剣士たち。名勝負の数々が、いま、鮮やかに甦る。『日本剣豪譚』第五弾!
(解説より)


■明治の夢工房

著者:横田順彌
版元:潮出版社
価格:1400円+税(1998年7月5日 初版)

明治時代の冒険雑誌
そこには、怪人から最先端科学まで未来に馳せる壮大な夢があった

本書には、初公開のエピソードや、新発見図版なども少なくありませんので、「また同じことを……」といわれないだけの自負はあります。
(いずれも帯より)


■明治ワンダー科学館

著者:横田順彌
版元:ジャストシステム
価格:1700円+税(1997年12月5日 初版第1刷)

人造人間や電気飛行機など奇々怪々な発明品や不思議なユートピア、さらには意味不明な科学書まで。横田順彌が紹介する明治期の科学読物あれこれ。
(帯より)


■明治おもしろ博覧会

著者:横田順彌
版元:西日本新聞社
価格:2000円+税(平成10年3月14日 第1刷)

破天荒、奇才縦横の偉才、奇人、女傑、豪傑たちが自由奔放に大暴れ……。
明治時代の実在の人物、事件を当時の新聞、雑誌、書籍等に渉猟したおもしろエピソード集
(帯より)


■明治不可思議堂

著者:横田順彌
版元:筑摩書房
価格:950円+税(1998年3月24日 第1刷)

千里眼、義侠娼婦、芦原将軍、女相撲……。明治ってホントに不思議だ。60数篇のエピソードと貴重な写真で綴る、教科書が教えてくれなかった明治という時代。
(解説より)


■明治東京畸人伝

著者:森まゆみ
版元:新潮社(新潮文庫)
価格:514円+税

昔、こんな濃い人生をおくったヤツが東京を歩いていた。
精力的な聞き書きから甦る25のユニークな人生。

 表紙の面白そうな人たちはどんな人?
●自分の脈拍で地震を予知しようとした薬屋の主人。
●気球に乗って空から写真を撮った明治のカメラマン。
●大正時代、「静座」ブームをおこした健康運動家。
●鍋を帽子代わりにした詩人。
(いずれも帯より)

痛快人物伝。著者、森さんの語りくちは、とても味わいあってファンになりました。


■明治快女伝 わたしはわたしよ

著者:森まゆみ
版元:文藝春秋
価格:638円+税(2000年8月10日 第1刷)

女性ジャーナリスト第一号の清水紫琴、「青鞜」の主宰者平塚らいてう、歌人与謝野晶子、救世軍を支えた山室機恵子、日本初の女医荻野吟子、名女優水谷八重子、大本教開祖出口なお……一度きりの人生を、自分らしく懸命に生きた明治生まれの五十二人の女性たち。その鮮やかな一生を、密度の濃い文章で描く。
(帯より)


■ニュースで追う 明治日本発掘1〜9

編者:鈴木孝一
版元:河出書房新社
価格:2500円(1995年10月25日 初版第1刷)

1 …… 戊辰戦争  |文明開化 |征韓論の時代   【慶応4年〜明治9年】
2 …… 西南戦争  |自由民権 |毒婦お伝の時代  【明治10年〜明治14年】
3 …… 板垣遭難  |秩父困民党|鹿鳴館の時代   【明治15年〜明治19年】
4 …… 憲法発布  |壮士と決闘|大津事件の時代  【明治20年〜明治24年】
5 …… 日清戦争  |閔妃暗殺 |凶悪殺人の時代  【明治25年〜明治29年】
6 …… 足尾鉱毒事件|暴露攻撃 |義和団の時代   【明治30年〜明治33年】
7 …… 日露戦争  |旅順攻防戦|八甲田遭難の時代 【明治34年〜明治37年】
8 …… 日露戦争  |日本海海戦|社会主義運動の時代【明治38年〜明治41年】
9 …… 日韓併合  |大逆事件 |乃木殉死の時代  【明治42年〜明治45年】

さまざまな事件を当時の新聞で解説する資料集です。


■明治事物起源1〜8

著者:石井研堂
版元:筑摩書房
価格:1400円+税(1997年 文庫版第1刷)

それ以前にはなかったもの、そしてそれ以後に生まれてきた諸物万般。明治維新を境として、欧米からもたらされ、現代の私たちの生活の基礎を築いたもの、電気・自動車・化学・哲学・新聞・音楽・会社、また、スキー・ゴルフ・バー・ビール・はじめての洋食の味などなど。いつ。だれが、どこで、いかに考え、そして取り入れ、自分たちのものとしていったのか。エンサイクロペディスト石井研堂が調べつくした、現代日本の文化・文明の始まり。

1 …… 第一編 人事部
2 …… 第二編 法政部
3 …… 第三編 国際部
     第四編 美術部
     第五編 音楽部
     第六編 宗教部
4 …… 第七編 教育学術部
     第八編 新聞雑誌および文芸部
5 …… 第九編 交通部
     第十編 金融商業部
6 …… 第十一編 農工部
     第十二編 軍事部
7 …… 第十三編 病医部
     第十四編 遊楽部
     第十五編 暦日部
     第十六編 地理部
     第十七編 衣装部
8 …… 第十八編 飲食部
     第十九編 居住部
     第二十編 器財部
     第二十一編 動植物部

初版は明治41年。筑摩書房版は昭和19年刊行の春陽堂増補改訂版を底本としたもの。


■明治の美人画 絵はがきに見る明治のエスプリ

著者:宮後年男
版元:京都書院
価格:1000円+税(平成9年8月15日 第1刷)


■別冊歴史読本 幕末・明治 美人帖

編者:ポーラ文化研究所
版元:新人物往来社
価格:1900円+税(平成13年3月13日)

古写真が語る麗しの300人
秘蔵写真『日本美人帖』『東京百美人』一挙公開


■幕末・明治のおもしろ写真(正・続)

著者:石黒敬章
版元:平凡社
価格:正・1553円+税(1998年7月31日 初版第3刷)
   続・1524円+税(1998年5月20日 初版第1刷)

写真に笑いは禁物だった? 坂本龍馬を写したのはだれ?
空飛ぶ新橋芸者の不思議なトリック……
文明開化ニッポンの写真はユカイとナゾがいっぱい。
新発見、初公開の資料から古写真探偵がおもしろ写真の謎を解く

びっくり、不思議、新発見。浮かんでいない屋形船の謎、
日本最古の早撮り写真師は? 箱館戦争記念写真に写っているのは誰?
古写真探偵が再びおもしろ写真の謎に迫る
幕末・明治のフォト・ミステリー・ワールド。
(いずれも帯より)


■写真で見る江戸東京

著者:芳賀徹 岡部昌幸
版元:新潮社(とんぼの本シリーズ)
定価:1600円

博物館や図書館に所蔵されている、幕末から明治初期に撮られた写真をまとめたもの。一部、人工着色でカラー化してある古写真もあり。収録されている写真は、東京国立博物館所蔵『旧江戸城写真帖』(明治4年撮影)、東京都写真美術館所蔵、外国人写真師フェリックス・ベアト撮影の幕末江戸の写真(1860年代)、神奈川県立博物館および開港資料館などに所蔵されている明治初期の東京あちこち(ガス灯設置後の吉原遊郭の写真もある)が主となっています。


■目でみる江戸・明治百科 日清・日露戦争の時代の巻

版元:国書刊行会
価格:2400円(1996年7月19日)

明治22年創刊のグラフィック誌『風俗画報』。
そこに掲載された一流画人の手になる風俗画を集大成。
【第七巻 日清・日露戦争の時代の巻】「画報」の本領が充分に発揮される報道の特集。戦争報道では従軍取材をも行った画家が生々しく現地の状況と銃後の国民の興奮を伝える。ほかに明治天皇に関するニュースと各地の水害、震災等の災害報道を収める。
(解説より)


■【図集】幕末・明治の生活風景 外国人のみたニッポン

編著:須藤功一
発行:株式会社 東方総合研究所
発売:社団法人 農山漁村文化協会
価格:1万7000円(1995年発行時)

開国後から維新時にかけて、日本を訪れた外国人たちが残した写真、絵、版画を集めたもの。食事や団欒など家のなかでの生活風景や家具調度品のスケッチ、風呂屋、葬式、火葬風景、当時のひとびとの服装、容姿のスケッチから東京の家並、物売り、行商、お店の姿、処刑場にすえられた獄門首など、貴重な図版が収録されてます。全351ページ。


■明治日本旅行案内(上・中・下)

著者:アーネスト・サトウ
訳者:庄田元男
版元:平凡社
価格:上巻・2472円(1996年10月31日 初版第1刷)
   中巻・4017円(1996年11月31日 初版第1刷)
   下巻・4017円(1996年12月20日 初版第1刷)

底本は1884(明治17)年発行の改訂第二刷。同書の「序論」部分が「上巻・カルチャー編」に、残りの部分が「中巻・ルート編I」「下巻・ルート編II」と分けられています。


■明治の外国武器商人 帝国海軍を増強したミュンター

著者:長島要一
版元:中央公論社
価格:680円(1995年7月25日)

デンマークの名門の牧師の家に生まれ、優れた海軍士官であったバルタサー・ミュンターだったが、軍上層部との対立もあって退役、その後アームストロング社の代理人となって来日し、帝国陸海軍との関係を深めてゆく。特に海軍には戦艦・武器を売り込むとともに、自らの海軍の知識と経験を生かして技術・操練指導を行ない、後の日清・日露戦争勝利の礎を築くことになる。なぜか滞日時代が謎に包まれている親日武器商人の実像に迫る。
(扉より)


■幕末維新の風刺画(歴史文化ライブラリー60)

著者:南和男
版元:吉川弘文館
価格:1700円+税(1999年2月1日 第1刷)

嘉永6年ペリー来航にはじまる幕末維新期は、多くの風刺画が発行され、江戸庶民の喝采を博した。この動乱期を、庶民はどのように見て、いかなる感情を持ったのであろうか。風刺画を通してリアルに描き出した幕末世相史。
(帯より)


 戦前戦中の意外史

■決戦下のユートピア

著者:荒俣宏
版元:文藝春秋
価格:1600円

「ファンション、グルメから結婚問題、新興宗教まで、軍国主義もなんのその、日本庶民の欲望は死なず」
(帯より)

戦時中といえば惨憺たるもの、夢も希望もない暗黒の時代などと思いがち。けれども庶民はたくましく生きました。戦時下でも、それぞれの日常を維持すべく奮闘していた記録がここに集められています。

決戦下のお母さんも、娘さんも、子どもも、赤ちゃんも、文士も、科学者も、みんな、よきにつけ悪きにつけ、「らしさ」を忘れていなかった。お母さんは図々しいし、娘さんはヤンキーだし、子どもはいつも腹ペコだし、文士はいつも「どうにかなる」気楽な暮らしぶりを保持したのである。
決戦下にもユートピアは存在した。
本書を締めくくるにあたり、ぼくは確信をもって、そう結論づけることができる。
(あとがきより)

あの時代に生きていた方々を身近に感じられる1冊です。


■衛生博覧会を求めて

著者:荒俣宏
版元:ぶんか社
価格:2000円+税(1997年6月1日 初版第1刷)

怪人、荒俣宏が“失われた博覧会”を求めて、フランス、イタリア、そして日本を行く
かつて衛生博覧会と呼ばれる奇妙な催事が存在した。
しかし、どれほど妖しかったものか、それを証言してくれる人は、だれもいない……
(帯より)


■大東亜科學綺譚

著者:荒俣宏
版元:筑摩書房
価格:854円+税

『帝都物語』に登場した人造人間「學天則」生みの親・西村博士をはじめとして、あの時代、科学に夢とロマンを追い求めた人間たちの奇想天外な逸話集。
貴重なのは、科学者としての昭和天皇が研究熱心のあまりにアメフラシを食べてしまった話と、熱帯魚マニアとしての満州国皇帝・溥儀の姿。故・星新一のおとうさんこと星薬科大学の創始者、星一さんと野口英世の珍しいツーショット写真もあります(親友だったそうです)。


 かつての日本を写真やマンガで見る

■昭和台所なつかし図鑑

著者:小泉和子
版元:平凡社
価格:1524円+税


サンマを七輪で燒く、包丁を研ぐ、ぬか味噌をつける、風呂敷で包む……ごく普通だった台所風景が昭和30年代を境に消えていった。今こそ覚えたい台所の知恵が満載!
(帯より)

「台所の風景」を切り口に、明治、大正、昭和と、日本人の暮らしぶりがどのように変わってきたかを図版で見せてくれる好著。七輪、お膳、手押しポンプ、板の間、経木……ほか、たとえば「膳」の項では、日本人の食事マナーが銘々膳で育まれてきたことに触れています。低い膳や卓袱台でカレーライスを食べようとした昔のひと、かなり悩んだそうです。釜専用のガス器具「ガス竈(かまど)」、氷式冷蔵庫、鼠入らずや蝿帳といった収納家具の貴重な写真もあり。


■毎日新聞社秘蔵 不許可写真1・2

著者:西井一夫
版元:毎日新聞社(毎日ムック・シリーズ20世紀の記憶)
価格:1・2とも税込1800円

戦前戦中、軍に関係する報道写真はすべて検閲対象でした。そのうちのどんな写真が不許可だったかについては、当時の陸海軍による要領が巻末(1巻)に掲載されています。簡単にまとめると、兵器に関するもの、高級将校に関するもの(暗殺防止の意味か)、捕虜のとりあつかいに関するもの、皇軍の威信に関するもの、皇軍に不利となるもの、このあたりが不許可とされたようです。戦時下だったことを考えれば当然の措置といえるでしょうか。
おもしろいのは「皇軍の威信に関するもの」に該当するだろうものに、あまりの暑さから裸となって作業する兵士たちの姿や、ごろ寝する兵士の姿もふくまれているところ。
あるいはまた、残虐な写真はダメということで「死体」の写っているものもことごとく不許可とされましたが、例外規定として、支那人や支那兵の残虐性を訴える類のものは差し支えなし――となっていたそうです。


■昭和生活なつかし図鑑

著者:太陽編集部
版元:平凡社
価格:1524円+税


こんなモノがあった!?
耐乏の日々から大量消費まで、激しく揺れ続けた昭和時代64年間の生活を彩ったモノの数々を誌上大展示!
「モノこそが過去の証人なのであり、思い出の保護者なのだ」
(森本哲朗:本文より)

 鉱石電波三球レフレックス受信機
 卓上ミシン/のらくろ
 たばこ巻き器/国策栄養食製器
 はえたたき/陸軍毛布/バリカン
 布製グローブ/陶製アイロン
 衣料切符/防空頭巾
 防毒マスク/うどん製造器
 墨入れ教科書/カストリ雑誌
「きいち」のぬりえ/リヤカー
「アトム大使」/川上の赤バット
 力道山のチャンピオンベルト
 ダッコちゃん/魔法瓶/グリコのおまけ
 ビートルズ・東京公演チケット
 ルービックキューブ 他多数

[執筆者](掲載順)
 森本哲朗/中島健蔵
 野口富士男/吉田健一
 深澤七郎/山田風太郎
 松本清張/笠置シヅ子
 黒井千次/赤瀬川原平
 佐野洋子/清水義範
 別所実/藤本義一
(帯より)

奥付によると、本書は平凡社刊『太陽』1975年7月号特集「昭和時代」、89年7月号特集「昭和の記憶」、95年8月号特集「昭和博物館」の記事を再構成したものだそうです。
内容については、上記「帯コピー」の紹介で説明しつくされていますが、全2部構成、第1部は「戦争の時代」、第2部は「敗戦からの出発」と銘打たれ、その時代にちなむ、さまざまな身の回りのものが紹介されています。
おもしろかったのは「モボ・モガ」についての一文(作家の野口富士男さんが執筆)で、概略、モボ・モガの大半を占めていたのは、一大ビジネス街と化した東京に移り住んできた地方出身者たちで、彼らが注目され東京風俗とみなされたことは、現在、原宿や六本木の風俗と地方都市とのかかわりにも似ているものであった――といったくだり。
なるほどと思いながら読みました。


■漫画に描かれた明治大正昭和

編著:清水勳
版元:ニュートンプレス
価格:6000円+税

表題どおり、明治初期から昭和戦後までのあいだ、新聞などに掲載された「風刺漫画」や「4コマ漫画」をコレクションしたものです。
第1章「漫画に描かれた明治」では、はやくも明治4年のこと、河鍋曉斎の描いたスケッチのなかに、乾酪(チーズ)や乳油(バター)の文字があり、牛鍋屋の絵には「ビイル 十八匁」の品書が見えます。
本書は「西南戦争」「鉄道」「コレラ」「宗教」ほか、さまざまカテゴリーごとに漫画を掲載しているので、漫画で見る風俗事典としても利用できます。
こういった調子で第2章「大正」、第3章「昭和戦前」、第4章「昭和戦後」と4章構成になっていますが、興味をそそられたのは第3章「昭和戦前」のなかにある「教育漫画 軍隊生活全集 入営から除隊まで」の全ページが、カラーで紹介されているところ。昭和10年ごろのものだそうです。
また、昭和14年10月の「主婦の友」から掲載した漫画、これのタイトルが「トイレの花子さん」ならぬ「銃後のハナ子さん」。現在、日本漫画家協会名誉会長の杉浦幸雄さんが書かれていたものです。
大正7年の漫画にすでに「サラリーマン」という言葉が登場、しかも「サラリーマンの地獄」という風刺漫画のなかには「ラッシュアワー」の語もありました。これで「モーレツ」の語がどこかに書いてあったら、そのまま60〜70年代のものといっても通用しそうです。


 戦時の広告、商品図案

■マッカーサーと征露丸 ニッポン伝統薬ものがたり

著者:町田忍
版元:芸文社
価格:1800円+税


町田忍のスペシャル薬局へようこそ!
征露丸誕生の謎とは? マッカーサー元帥と征露丸の出会いが、戦後の占領政策を決定づけた!? 調査過程で出会った大胆な仮説を、町田忍が真っ向から解き明かしていく、読んで楽しい「クスリ」の本。
また、誰もが一度はお世話になった懷かしいクスリにもスポットを当て、伝統薬の歴史とその現状を紹介する。
(帯より)

いま正露丸。古くは「征露丸」。読んで字のごとく、これは通説「日露戦争のころにできたクスリ」といわれ、だから「征」に「露」。それがいつごろか国際関係を配慮して「正」に替えられた云々の逸話をご存じの方もおられるでしょう。
そもそも筆者の町田氏が「正露丸」に興味をもたれたのは、友人宅を訪ねたおり、かの「ラッパのマーク」ではない別会社製の「正露丸」を発見してからのこと。「これはいったい……」と感じて薬局にゆくたび「正露丸」を探すと、気がつけば約30種類も集まってしまったそうです。
いったい正露丸って、何者だ?
謎解きも楽しい本なので内容については伏せますが、筆者がいろいろ調べてみたところ、たしかに日露戦争ごろに作られたようであはあるものの誰が開発したのかはハッキリせず、これも遠く関係して、一時は正露丸の商標をめぐり製薬会社数社が裁判でモメていたそうです。結果、商標の自由使用が認められ、そのため筆者は30種類もの正露丸と遭遇することになったという次第。
本書では正露丸をめぐる謎、逸話のほか、明治から戦中戦後の一時期まで確かに愛用されながら、いまはマボロシの存在となってしまった国産の伝統薬を追い、来歴、逸話、ウンチクをかたむけます。
あなた、正露丸をビールのツマミにしてるひとがいるって、知ってます?
あなた、一時期「キンカン」が毒ガス治療薬といわれていたなんて、信じられます?
そんなコラムも楽しめます。


■戦時広告図鑑 慰問袋の中身はナニ?

著者:町田忍
版元:WAVE出版
価格:1700円+税


庶民文化研究家として知られる町田忍氏が自分の足で集めた唯一無比の労作!
戦時中の新聞広告を中心に、記事や写真など約500点一挙掲載!斬新な手法と切り口で当時の社会・風俗を分析した初の書!!

本書は、専門家でないかぎり
まとまった形で読むことが
まず不可能であった、
日清〜太平洋戦争までの戦時中の広告記事を
一挙に掲載した得難い書である。
(帯より)

本書は『マッカーサーと正露丸』の著者、町田忍氏による日清〜大東亜戦争期の広告図案集です。たとえば明治28年正月、軍艦松島の乗組員有志が東京朝日新聞に出稿した「恭賀新年」の広告あり。あるいは同年2月の朝日新聞に掲載された「村田式銃」の広告あり、おもしろいのは昭和13年に発売された(らしい)ラジオの広告。なんと名前が「テレビアン」。ひょっとして「トレビアン」のシャレでしょうか? なんにせよテレビがなかった時代のテレビアンなラジオです。
いまは違法となる「ヒロポン」の販売広告も、昭和18年当時の新聞に載っていたものが紹介されています。このほか海軍志願兵募集の案内広告や、戦争末、物資供出をうたう広告(政府公報)、防空頭巾、防空服の着用法や自作法を紹介した新聞記事など、当時の雰囲気を感じられる広告がたくさん集められています。


■嘘八百                466円+税
 また、嘘八百!!     明治篇    485円+税
 またまた、嘘八百!!!   大正篇    485円+税
 嘘八百 これでもか!!!! 昭和戰前篇  620円

著者:天野祐吉
版元:文藝春秋


インチキ広告は人びとに目くらましを食わせ、そのスキにふところの財布をすりとることを旨としていますが、ウソ広告は人びとの想像力を切りひらき、人間ってバカだなァ、面白いなァ、と実感させる。あるいはその表現のなかに、宙づりにされた真実を、ウソみたいなホントを、それとなく見せてくれるところに、その神髄があるのです。
そういうイミでは、すぐれた広告は、すべてウソです。
(シリーズ第1冊目『嘘八百』の前口上より)

たとえば昭和11年4月某日、東京朝日新聞に掲載された「若返りの妙薬」の名は「ネオネオギー」。素晴らしくおかしな名前ですが内容の紹介も実に奇っ怪で、長い広告文の最初のほうは「若者の睾丸を老人に移植すると若返る云々」の怪しい話、ついでオランウータンやチンパンヂーのそれをもちいた手術例がある――といった文言が躍っています。後半、ある珍しい高山植物の葉、芽、根、樹皮を特別な手法で云々と明かしつつも、類似品が出ると困るから高山植物の名は秘密とのこと。
程度の差こそあれ、現代にもこんな調子の怪しい健康食品広告、あったりします。
なかでひとつオッと思ったのは、検尿で妊娠が判定できるので「ご遠慮なくお申し込みください」と末尾に書かれていたこと(ネオネオギーの瓶についている検尿券を送るそうです)。
妊娠判定薬、このころからあったんでしょうか。
というわけで本シリーズは、天野氏が「おおっ」と驚いたり笑ったり唸ったりした名広告・珍広告、明治から昭和戦前にかけての数えきれないほどの広告を集めたビジュアル文庫です。


■正露丸のラッパ クスリの国の図像学

著者:田中聡
版元:河出書房新社
価格:1553円+税


これぞ新しいドラッグ(薬)の楽しみ方!
薬効は、その成分や処方ではなく、名前やパッケージ・デザイン、広告表現や五感に訴える全体のイメージによって支えられている。見ているだけで万病に効いてくるような気がする、愛しい、かわいい、おかしい、懷かしい薬の絵姿を一堂に集めて、大衆薬の歴史博物館、ここに堂々完成!

[本書の内容]
 テキメン! 美術館
 セイロガンのラッパ
 妖怪の薬はよく効くか
 薬売る怪しき人々
 苦しみの仮面を外す薬
 紙風船を待ちながら
 薬売る芸もオマケのうち
 お母さんはなにかを隱している
 薬の国の動物たち
 なぜ熊は鮭をしょったのか
 類似品もお娯しみ下さい
 ニッポン万能薬事典
(帯より)

世に「薬物図像学」という分野があるそうで、たとえば「なぜ“熊の胃”の熊は鮭をしょっているのか」と、ルーツをあれこれ調べはじめれば、これが案外に謎なんだとか。土産物として知られる「木彫りの熊」の影響も考えられるいっぽう、あれは大正末になって作られたものらしく、そのほか「鮭をしょった男」の図案を使ったイギリス製のクスリもあってハッキリとはしないそうです。
巻末「ニッポン万能薬事典」は、世にさまざまある「万能薬」のウンチク事典。たとえば紅茶キノコあり、霊芝あり、九龍虫あり、スペイン語で「金」を意味する「オロ」に9つの配合成分というところから「オロナイン」という名称ができた話など、思わず酒席で話したくなる逸話がたくさん載せられてます。


 戦争と怪異譚

■幻影の碑 戦争と怪談――兵士たちの証言

著者:山田盟子
版元:光人社
定価:定価1800円(1994年初版発行)


死者からの伝言
「魂千里を走る」――戦野に倒れ、白骨街道に屍をさらした名もなき数多の兵士たちの無念を偲び、遺されたものの深い悲しみを伝える鎮魂の紙碑!

ベストセラー『慰安婦たちの太平洋戦争』の著者が戦争とは何かを問いかける書き下ろし幽霊譚。マレーの地に伝わる巨人ゲルガン、大王ケンペイ、ビルマの死霊オウサザウン、ニューギニアの悪霊ソアンギなどの妖怪や、異郷の地で果てた兵士たちに連なる心霊写真、夢枕、予知、人魂、怨霊などの不可思議な現象――力なき者、悲哀につつまれた人々の存在を明らかにして、人類の悲劇に迫る異色のノンフィクション。
(帯より)

江田島の兵学校に伝わっていた「七不思議」や、玉砕したはずの兵士たちが営舎にザックザックと帰還した話――をご存じの方もおられるでしょう。本書は、こんなふうに兵士たちのあいだで語られていた怪異や、

「生きて帰りたい」は皇軍兵士の禁句であった。死んでわが家に、姿で、足音での訪れには、滾[たぎ]る兵士の嗚咽を知らされた想いであった。
(本書、あとがきより)

同時刻に戦死した(と後から知った)肉親の姿を見た、声を聞いた、仏壇が揺れたといった、遺された家族が体験した哀しい話などを集めたものです。


■現代民話考 2 軍隊

著者:松谷みよ子
版元:立風書房
価格:2800円+税


現代の民話を考究する上で軍隊は最も切実な民衆の残酷物語を秘めている。
抵抗と愛と喜劇と悲劇を含み、それぞれの物語は歴史と民衆の、そして戦争の暗部を照らす。
(帯より)

シリーズ『現代民話考』のうちの1冊。たとえば「消えるタクシー乗客」という話が、すでに昭和の円タク時代にも語られていたことも紹介されています。そんな怪談(兵隊さんや銃後の家族のなかにささやかれてきた怪異譚)をふくめ、

一、 徴兵検査・応召など
二、 新兵のころ
三、 上官と兵隊たち
四、 軍隊は要領
五、 戦地にて
六、 戦争の残虐・悲惨
七、 敗戦前夜
八、 収容所の話
九、 戦犯
十、 軍隊生活の怪談
十一、守護
十二、色っぽい話
十三、つくられた軍神・生きていた兵隊

いくつもの逸話、体験談、伝承が集められています。
たとえば怪談話では「○○を返せ」。
ある兵隊が(おおよそ気の弱い兵)なにかを無くす。一般に軍隊では備品すべて天皇陛下から賜ったものとの教育がなされていたため、大切な備品を無くした兵は、思いあまって井戸に身を投げたりトイレで首をくくったりする。
で、しばらくすると……というもの。古参兵の意地悪で銃を隱された新兵や居眠り歩哨が思いあまって――という類もあります。歩哨といえば『よもやま物語』などでもチラリと触れられている「歩哨と幽霊」の話も収録されています。
そのほか、玉砕した部隊が営舎に帰還する話、戦死を告げに来た話、故郷にいるはずの縁者の声に導かれ包囲網を突破した話など、興味深い逸話が集められています。


■靈怪眞話

著者:岡田建文
版元:慈雨書洞 (復刻:八幡書店)
価格:一圓五十銭(2800円+税)

本書は昭和11年5月に東京の慈雨書洞から刊行されたものを、平成10年6月、東京の八幡書店が復刻したものです。
著者の岡田建文氏について詳しいことはわからず、解題によると松江で雑誌『彗星』を発行していた心霊主義者とも、松陽新聞の記者であったともいい、大正6年に大本教シンパとなり、かの出口王仁三郎に頼みこんで『人類愛善新聞』の記者になったとのこと。

多年の研索と體驗とで、此世に超科學と見るべき靈怪や奇蹟とか言ふべき事蹟が、豫期しないほど多くあつたことは、現代に一大權威として儼立する自然科學なるものゝ勢力圈の、案外に狹小であることに驚かれる。
(自序より)

こうした案配で本書は明治から昭和11年まで、ごくわずかに明治以前の怪異譚もふくみますが、たとえば明治にあって当代一といわれた幽霊屋敷のこと(ポルターガイスト現象の報告)、溺死体を探し当てた神符の話(FBIに協力している云々の霊能者の話を思いだした)、水面に漂う人魂の群を目撃したのちに遭難した船が発見された話(人魂を見ると賭事につくというジンクスが当時にはあったそうです)など、53の怪異譚を収録しています。


 満州関連

■満州帝国の興亡

著者:別冊歴史読本戦記シリーズ38巻
版元:新人物往来社
価格:1800円+税

豊富な図版をもとに、満州国建国の背景から推移、繁栄と滅亡の道筋をたどります。
昭和15年発行『満州現勢図解』、昭和9年発行『鮮満中国旅行手引』の復刻抜粋資料が掲載され、民族別人口、宗教別人口、開拓民居住地図、世帯数、一般会計や収支、卸売物価指数から家畜頭数ほか、満鉄の料金表も載っています。

■満州の記録 満映フィルムに映された満州

版元:集英社
価格:3398円+税


初公開!
50年目にロシアで発見された満映・満鉄のフィルム300巻!
李香蘭主演 劇映画『迎春花』。森繁久彌ナレーション『北の護り』。
特急あじあ号、皇帝溥儀、建国パレードほか、新京、大連、ハルビンの街並みなど。ロシア人、モンゴル族の生活や習慣ほか。

スターリンが設立したロシア国立映像資料館。その奥深い秘密のベールの中から発見された満映のフィルム300巻、38時間もの“失われたはず”の映像である。本書はその中から貴重な写真約600点を収集・編集した画期的な写真資料集である。
(いずれも帯より)

1995年初版。巻末の記述によりますと、本書のもととなった「まぼろしの満映フィルム」は日本に持ち帰られ、全30巻のビデオとして発売もされているそうです(詳しいことは本書を読んでください)。
つい先日も仙台の資料館で、大正末から昭和13年までの膨大なニュース写真集を発見して大騒ぎしていましたが、本書もまた、さまざまな発見があってドキドキした本でした。
数例あげておきますと、まず軍事関係では昭和6年の満州事変を伝える記録映像、昭和8年の熱河作戦の映像をはじめとして、廬溝橋事件、日本軍の北京入城、上海戦などの映像が収められています。なかでも貴重と思われるのは、満映フィルムとともに発見されたソビエト軍撮影のもので、これにはノモンハン事件の顛末も収められています。
このほか、溥儀の告天礼、即位式の映像、秩父宮殿下が満州を訪れたさいの映像などもあります。むろん新京や大連、ハルビンの街並みを映したもの、その街に暮らし、戦時下にあっては勤労奉仕に、錬成に励む当時の少年少女の姿もあります。
郊外に集落をつくって暮らしていた白系ロシアのひとびとの暮らしぶりや、遊牧民モンゴル族の映像も貴重です。


■幻のキネマ 満映 ――甘粕正彦と活動屋群像――

著者:山口猛
版元:平凡社
価格:2893円+税

1989年初版第一刷、1995年初版第三刷。
こちらは写真集ではなく、表題にもあるとおり満映をめぐるひとびとのうごき、人間ドラマをあつかったもの。
いわく、昭和12年の満映(株式会社満州映画協会)設立にいたるまでの沿革、ついで昭和14年末、かの甘粕正彦氏が満映理事長に就任する前後の事情、いつ、どこでどんなひとがどんなふうに働いていたのか、どんな映画が作られたのかなどなど、さまざまな逸話が紹介されています。
とくに巻末、満映のうごきを中心とした歴史年表はもとより、満映が製作した娯民映画、啓民映画のリストは参考になりました。


 女性史

■女學生手帖 大正・昭和 乙女らいふ NEW!!

編者:弥生美術館 内田静枝
版元:河出書房新社
価格:1500円+税(2005年4月30日初版)


大正〜昭和初期の可憐で優美な乙女たちの世界!!
〈エス〉のせつない交流、女学生言葉、セーラー服図鑑、身の上相談や広告記事……乙女心をくすぐるエッセンス満載の、女学生ワールド。

いつの時代も乙女は美しいもの、愛らしいものに心ひかれますが、可憐で優美な少女文化が最も花開いたのは、大正〜昭和初期(第2次世界大戦前の昭和15年頃まで)の女学生たちの間であるといえましょう。
乙女のバイブルとして今なお名高い吉屋信子の「花物語」、高畠華宵描く麗人や中原淳一描く清らかな少女が生まれたのは、この時代、少女雑誌を舞台にしてのことでした。
本書では女学生たちに愛読された雑誌から、大正・昭和の少女文化を多角的に紹介します。
(いずれも帯より)

たとえば「バンカラ」「教養主義」といった言葉に象徴される旧制高校生の姿を紹介した書籍の多さにくらべて、女学生のライフスタイルをあつかったものは極めて少ないのが現状です。『女學生手帖』は、当時の少女雑誌の挿絵やスナップをふんだんにちりばめた「図版で知る女学生風俗史」のおもむきで、髪型の変遷や寄宿舎での暮らしぶり、あるいは『少女倶楽部』の昭和8年5月号に掲載された「東京女學生服装さまざま」は、東京女學館、双葉、川村、山脇、東京(現・お茶の水女子大附属高校)など有名女学校11校の生徒さん出演の制服写真集です。「現代東京 女学校新流行語集」(『少女画報』昭和3年10月号掲載)には、文才をいやに鼻にかける人のことを「少納言」、身分にふさわしくない遊ばせ言葉を使って上品ぶる人を冷やかすさいに「ああらわがきみ」と呼びかけた、といった例が載っています。全127ページ。


■美人コンテスト百年史 芸妓の時代から美少女まで

著者:井上章一
版元:朝日新聞社
価格:760円+税


歴史を溯ること百年。芸妓の写真の品評会から、舞台での水着審査にいたるまで、時代の趨勢を敏感に反映し続けた美人コンテスト。ミスコン批判にさらされ、下火になりつつある昨今、面食いを自認する著者はその必要性を敢然と説く。その真意は意外にも――。不美人のための、美人コンテスト擁護論!

百年史。決して「百年」は大げさではなく、詳しく開催の記録が残されている美人コンテストの初めては明治24年、西暦に直せば1891年と、いまから108年前にまで遡れるそうです。
もちろん当時はまだ、玄人(芸妓)女性の写真品評会といった趣向ですが、いっぽう、記録に残る「素人女性参加」の美人コンテストの先鞭は明治40年、1907年というから92年前に開催されたものでした。
このとき一等だったのが、当時、学習院の中等科3年生だった末弘ヒロ子、数え年16歳。ちなみに2位は、仙台の河北新報社が発掘した令嬢、数え19歳の金田憲子だったそうです。
当然ながら、16歳の女子が学校にも告げずにコンテストに出場するなど論外な時代でしたから(実は義兄が勝手に応募したんですが)、時の学習院院長・乃木さんは怒るに怒って末弘ヒロ子を退学させてしまったそうです。これは当時の新聞を巻きこみ、ちょっとした論争になりました(コンテストの主催が時事新報という新聞社だったせいもあって)。
この「末弘ヒロ子」事件の顛末はかなり有名なので、ご存じの方もおられるでしょうが、そう、退学させたものの乃木さんも思うところあったか、後日、彼は戦友の野津侯爵の息子と末弘ヒロ子との縁談をまとめました。
ヒロ子は3人の娘に恵まれたのですが、そのうちのひとりが生んだ娘、つまりヒロ子の孫が嫁ぎ先が、かの正田家。
美智子皇后の弟さんと結婚されたそうです。これは知りませんでした。


■浮世絵美人くらべ

著者:ポーラ文化研究所
版元:ポーラ文化研究所
価格:2500円+税(1998年12月10日 第1刷)

浮世絵といっても江戸時代のものだけではなく、ちゃんと明治〜昭和の美人画も網羅した画集。女性の化粧や髪型の美を研究対象として、これまでいくつかの図集を出版しているポーラ文化研究所のコレクション第5弾です。
ノンブルでいうと全109ページ、3部構成になっていて、第1部が浮世絵のなかの化粧風景、第2部が浮世絵のなかの生活風景で、第3部が注目の『写真の中の美人たち 明治、大正の美人絵はがき』。
『美人コンテスト百年史』のところで紹介した末弘ヒロ子の写真もあれば、かの横田順彌さんがメロメロになっている美人コンテストぶっちぎり第1位の芸妓・万龍のうるわしい写真も5点ばかり掲載されてます。大正時代に評判だった芸妓、下谷・三州家の栄さんも実に綺麗です。


■女は働かなければならない

著者:ドリス・ウエザーフォード
訳者:永島利明
版元:光人社
価格:本体2000円+税(1998年4月27日初版)


「欲しがりません勝つまでは」はアメリカも同じだった!
日独伊を相手にした第二次世界大戦のもとでアメリカの女性たちは、家庭で戦場でどのように戦い続けたのか!? 従軍看護婦、敵機監視所職員、女性陸軍予備隊・女性海軍予備隊兵士・将校、女性軍属パイロット、兵器工場・生産工場工員等々として最前線で奮闘した女戦士たちの戦いと、銃後にあって愛する息子や夫を戦線に送った母や妻たちの苦渋をヴィヴィッドに伝える異色女性戦争史!
(帯より)

国家総動員体制で戦争に取り組んでいたのは、もちろん日本だけではありませんでした。本書は、戦中のアメリカ女性がいかに奮闘したのかをつぶさに記した、日本人にはほとんど知られていない意外なアメリカ女性史です。また、戦時下アメリカの物資不足にも触れ、アメリカも実は物資配給制度がとられ、家庭を守る主婦たちがどうやりくりしたのかなども記されています。


■女たちの太平洋戦争

著者:谷川美津枝
版元:光人社
価格:1800円(1995年初版)


家族離散、逃避行、集団自決等々、7歳から31歳まで、十人の乙女が体験したそれぞれの戦争――この世の地獄を見た女性たちが初めて明かした戦慄、驚愕の実相!

日本敗戦の直前に突然、対日宣戦を布告して千島、樺太の地に侵攻してきたソ連軍の蛮行――殺戮、略奪、強姦など、人間としての、女性としての尊厳を踏みにじられ、あるものは毒を仰ぎ、またあるものは銃弾に倒れた。
最後まで日本女性の誇りをうしなわなかった“大和撫子”たちの哀しい戦いの記録!
(帯より)

「北の戦場 樺太で戦った乙女たちの生と死」がサブタイトル。「十人の乙女が体験」「記録」と帯にあるとおり、本書は、当時樺太におられた10人の女性の過酷な体験談を筆者がまとめたものです。不安のあまり眠っている子を刺し殺そうとした母親の話、ソ連軍の進撃に足手まといの者は始末せよと命じられた老婆が孫を井戸に突き落とした話、両方の手首をメスで切りながら自決するも寸でのところで救出された看護婦など、読むには辛いさまざまなエピソードが紹介されています。筆者の谷川さんには、本書のほか南方戦線での惨状を記録した『女たちの遙かなる戦場』もあり。


■学徒兵と婦人兵ものしり物語

著者:熊谷直
版元:光人社
価格:1300円(1994年初版)


「パートタイマーの軍人」基礎知識
第一級の軍制史家が書き下ろした「予備役と女性の戦争」――世界の陸海軍ミリタリー物語。イラスト百科!
 
予備役兵、また正規将校ではない幹部候補生・予備学生などの予備員、予備的性格を持つ婦人兵――その制度史。世界の「インスタント軍人」たちは、どのように育てられ、どういう立場、心構えで戦いにのぞんだのか。
沿革、教育、機構、働き方等々、わかりやすく、精密・詳細に綴った軍隊・軍人百科。
(帯より)

もちろん日本では、勇ましく女性が軍艦に乗ったり戦車を走らせたりはしませんでした。
「世界の」と帯にあるとおり、本書は日本だけではなく、アメリカやイギリス、ソビエトといった国々で、戦争に女性がどうかかわってきたかをわかりやすくまとめたものです。
ちなみに日本編ですと、まずは簡単に近代以前の戦争(合戦)のなかでの女性を眺めたあと、日清戦争時にはじまる日赤派遣の従軍看護婦制度の経緯、あらましに触れます。ついで、これとは別に制度化されるようになった陸海軍病院での「軍属看護婦」のこと、沖縄戦での臨時看護婦制度のこと、軍属としての女子通信隊員の話、そうして沖縄戦後、本土決戦に備えて制定された『義勇兵役法』のもと、予備役あつかいされることとなった17歳から40歳までの女性たちの存在――などが紹介されています。なお筆者の熊谷さんには、雑誌『丸』や『郷友』に発表された原稿をまとめられた軍制ガイド『日本の軍隊ものしり物語』1・2巻(ともに光人社)もあります。その第1巻第11章「医事衛生部門」でも、ちらりと看護婦の話に触れられています。


 戦史・戦記

■大東亜戦争全史

著者:服部卓四郎
版元:原書房
価格:12000円

初版発行は終戦8年後の1953(昭和28)年、鱒書房より。著者の服部卓四郎は元陸軍大佐で、戦後は連合軍最高司令部の歴史課に務めていました。鱒書房の解散により絶版になっていたものを、1965(昭和40)年に原書房が補備訂正しながら復刻発行。序文を寄せているのは元陸軍大臣・宇垣一成です。
明治維新後の軍備増強の歴史、経緯から、当時の日本をとりまいていた国際情勢、開戦準備、諸戦史、米軍の反攻から終戦までの記録を、当時の公式書類をベースに1086ページにわたって解説しています。
別冊付録として、当時の諸作戦を解説した地図、地上兵力配備図、陸海軍主要部隊表、陸海軍省および大本営陸海軍部の主要職員表などが添付されています。


■蒋介石 マクロヒストリー史観から読む蒋介石日記

著者:黄仁宇
訳者:北村稔 永井英美 細井和彦
解説:竹内実
版元:東方書店
価格:4200円+税(1997年12月20日初版)


抗日戦や内戦の指揮から諸外国との交渉、武器・弾薬の調達や土嚢用の麻袋の手配まで、一切合切を背負っていた蒋介石とはどんな人物だったのか?
本人の日記を多数引用するほか、周囲の人々の証言、書簡や電報を含む豊富な史料を駆使して、蒋介石の新たな一面を検証する。
(帯より)

本書409ページに、米軍中国戦区参謀スティルウェルの「中国軍」に対する評価が載っています。

中国軍とは。1944年には、文書のうえでは、中国陸軍は、324個師団・60余個の旅・89個の各約2千名のいわゆる遊撃隊からなる。数字のうえでは恐るべきもののように見える。ところがよく見れば実状はこうである。
一、一個師の平均兵力は、1万ではなく多くとも5千を越えない。
二、給与をもらっておらず(給料の低さは無給に等しいの意か)、食べ物もなく栄養不良で病気だらけである。
三、武器は古く、不適当で、役に立たない。
四、訓練をしない。
五、将校は将校であることをなりわいとしている(将校は、兵を率いる以外、生きるすべがない、の意)。
六、砲兵・交通手段、医薬等々がないこと。
七、徴用された兵はどうしようもないこと。
八、商売が主な事業であること。それ以外にどうやって生きてゆけようか。

こうした軍隊をどうやって有効に仕立てるか?
(本書409ページ、スティルウェルの日記より)

そんな有様の軍隊が――いや、軍隊とも思えない「どうしようもない徴用兵」の集まりに守られていたはずの国が、むろん自力で日本軍を打ち倒したわけではありませんが、結果的には戦勝国になりました。
なぜか? 当時の中国に、如何なる人的、外交的、政治的、軍事的な利がはたらいて、そんな「意外な成功」(本書中の言葉)を収めるにいたったのか?
この本は、激動の近代中国に起きた紆余曲折の歴史を、蒋介石という人物の日記を軸に、さまざまな史料をまじえて描いてゆこうと試みたものです。また、キリスト教信者であった蒋介石の内面にも迫ろうとしています。


■禁衛府の研究 幻の皇宮衛士總隊

著者:藤井徳行
版元:慶応義塾大学出版会
価格:4000円+税(1998年11月20日 初版第1刷)


知られざる占領史
国体護持を使命として終戦直後に組織され、わずか七カ月後に解体された「禁衛府」。その全貌を明らかにした画期的な研究。
巻末資料編:『禁闕守護教科書』(全四巻)を翻刻

昭和二十(一九四五)年八月、日本は連合国に無条件降伏したが、それにともない、日本は連合軍に占領されることになった。政府方針が降伏に決まる過程で、最後まで問題となったのは「国体護持」であった。したがって、天皇を護衛し、宮城を警護することが政府で真剣に考えられ、それについて対策がたてられたことは当然である。降伏の結果、旧軍が解体したため、従来皇居ならびに各皇族の宮邸・御用邸などを警備していた近衛師団に代わって設けられた特別警備隊が本書で扱う「禁衛府」(皇宮衛士総隊)である。
(帯より)

帯の文でおよその内容はつかめると思いますが、この「禁衛府」(皇宮衛士総隊)とは、終戦直後の混乱期、宮城および宮家を守護するため、旧近衛歩兵連隊から精鋭を選んで組織された特別警備隊のことです。もちろん警備隊といっても「特別」の語がつけられているように、三八式歩兵銃から八九式擲弾筒、九二式歩兵砲ほかの火器をそろえた「実質軍隊」でしたが、その任務に鑑み、日本の武装解除を強く求めたマッカーサーも同隊の組織を当初は認めたそうです。
けれども占領下、日本の軍国主義色一掃の声がいよいよ高まってゆくと、平たくいえば旧近衛師団がそのまま改称した存在でもあった禁衛府への風あたりも強まり、特にソビエトや中国、イギリスからのクレームあったといわれ、また、政治犯の釈放により共産党員らが復権すると、禁近府を天皇制護持の巣窟といって糾弾もしたそうです。
こうした事情に米国サイドが天皇制について理解を示したこと、あえて志願する者が少なく定員に満たなかったなどの状況もからんで、ついに禁衛府は発足から7ヶ月後の昭和21年3月、解体されたのでした。


 兵器・軍装

■日本軍装写真集 現存軍服及び装備類

企画制作:日本軍装研究会
     帝都軍装研究会
     北海道軍装研究会
版元  :日本軍装研究会より直販
価格  :15000円

明治から終戦時までに使われた軍装品、大礼服から事業衣、食器や認識票などなど現存するものを総600ページ、1ページあたり4枚の図版で紹介した貴重な写真集です。ざっと内容を紹介しておきますと、

●大礼服  …… 陸海軍および文官
●軍服   …… 陸海軍軍服
●外套類  …… 外套および防暑
●特殊被服 …… 航空被服、落下傘ほか
●階級章
●帽子   …… 特殊帽、ゴーグル・手袋もふくむ
●勲章   …… 勲章および徽章、メダルほか
●装飾品  …… 飾緒、飾帯、腕章
●靴    …… 軍靴、長靴、防寒靴、脚絆
●装備品  …… ベルト、水筒、飯盒、背嚢、馬関係ほか
●軍刀類
●その他  …… 陸海軍軍属服、看護婦制服、弁当箱、食器ほか

写真集ということで詳細な説明はありませんが、ほかの史料文献と組み合わせれば、帝国陸海軍軍装品のほとんどを写真で確かめながら理解できてしまいます。もちろん2000枚は超えているだろう本書の現物写真を眺めているだけでも、伝わってくるものたくさんあります。
軍装品を研究したい方には貴重な写真集ですが、聞くところ限定1000部で再販もされないとのこと。実物を閲覧したい場合は、陸海空三自衛隊の各幹部候補生学校・幹部学校・各幕僚監部図書室・防衛大学校・防衛医科大学校、東京大学図書館、中央大学図書館、慶応大学図書館、早稲田大学図書館、国立国会図書館、都立日比谷図書館、都立中央図書館などに足を運ぶしかないそうです。


■陸海軍服装総集図典 軍人・軍属制服、天皇御服の変遷

著者:北村恒信
版元:国書刊行会
価格:9800円(平成8年9月17日)

表題どおり、帝国陸海軍の軍人、軍属の制服および装備類を解説しています。写真ではなくイラストですが、大ざっぱな歴史的変遷にはじまり、個々の軍服、階級章、装備類についても、時代ごとの変遷、種類、色やカタチ、サイズなどを細かく解説してくれています。本書の解説にくわえて、先に紹介した『日本軍装写真集』で実物を確かめれば、軍装についてかなり理解が深められそうです。


■日本陸軍便覧 米陸軍省テクニカル・マニュアル:1944

編著:米陸軍省
訳者:菅原完
監修:岩堂憲人 熊谷直 斎木伸生
版元:光人社
価格:本体6000円+税(1998年4月27日初版)


1944年10月、比島決戦を目前にして米陸軍省が作成した秘密文書TM-E 30-480 ――連合軍があらゆる手段を講じて入手した日本軍地上部隊・航空部隊に関する情報を集大成、ごく小部数が印刷・配布されたテクニカル・マニュアル日本語版がついに完成。軍の中枢から最前線の分隊までの編成と戦術、鹵獲兵器のテスト結果や操作方法など、膨大なデータを整理、分析、帝国陸軍の真の戦力を明らかにした第一級の戦史資料、一挙公開!
(帯より)

帯にあるとおり、本書は原題を「HANDBOOK ON JAPANESE MILITARY FORCES」といい、1944年10月1日の日付で合衆国陸軍省が「部外秘」文書として発行、前線の軍、軍団、師団、旅団、連隊、大隊ほかに小部数が配布されたものです。
内容についてひとことでいえば、1944年段階、よくぞここまで的確に把握していたと驚かされました。兵器の種類や威力、戦術の分析など、ほぼ日本陸軍の実態をつかんでいたといっても過言ではないでしょう。
ちなみに本書「化学戦」の項を眺めてみたところ、この時点で米軍は「きい砲弾」を鹵獲しており、それが「ルイサイトとマスタード(イペリット)を50:50の割合で混合充填したもの」と分析していました。
巻末には日本の軍事符号表、日本軍用語と、それに相当する米軍用語の対訳表もあります。なお零戦が「ジーク」というコードだったことは前から知っていましたが、本書では零戦21型を「ジーク」、32型を「ハンプ」と呼んでます。理由はわかりませんが、二式戦闘機「鍾馗」は「トージョー」でした。


■【大図解】第二次世界大戦の秘密特殊兵器

編著:坂本明
版元:グリーンアロー出版社
価格:2233円+税

『秘密特殊』と書いてあるからにはマトモな兵器など載ってません。SFマニアの仕業としか思えないナチスもろもろの兵器群をはじめとして、イギリスで構想されていた全長1600メートルの巨大空母の話、あるいは日本陸軍が研究開発していた「空中歩行具」など、人間の想像力の素晴らしさに感嘆してしまうばかりです。
参考までに目次章だてを引用しておきます。

第1章 新型航空兵器の開発
第2章 ミサイル兵器とロケット弾
第3章 電子兵器の発達
第4章 装甲車と火砲
第5章 特殊作戦の兵器

ちなみに版元のグリーンアローさんは、日本軍用機航空戦全史などを刊行するいっぽう、1947年から1996年までに目撃された宇宙人のイラストを集めた『宇宙人大図鑑』(中村省三)や、米空軍作成のロズウェル事件最終報告書の邦訳版『実録ロズウェル事件』なども出しておられるところ。大好きです。


 化学兵器問題を考証する

■悪夢の遺産

著者:尾崎祈美子
解説:常石敬一
版元:学陽書房
価格:本体1700円+税

著者はRCC中国放送のディレクター。日本統治下の台湾で暴動鎮圧に化学兵器が使われたのは真実か、日本国内での化学兵器工場ではどんなことが起きていたのか――など、現地取材と関係者へのインタビューをまじえて旧軍化学兵器の実像を探ろうとしたもの。巻末の解説(地下鉄サリン事件当時、テレビでコメンテーターもつとめられた常石敬一・神奈川大教授による)では、遺棄化学兵器問題の経緯、視点、法的背景について述べられています。


■毒ガスと科学者

著者:宮田親平
版元:文藝春秋
価格:本体466円+税

化学兵器とはなにか。その生い立ちは、変遷とは――といったテーマを、化学兵器の研究開発にたずさわった科学者たちの生き様をからめて描いた研究本。マスタード・ガスから白血病治療薬が生まれたなど、意外な歴史にも触れられています。


■日本軍の毒ガス戦

著者:小原博人 新井利男 山辺悠喜子 岡田久雄
版元:日中出版
価格:本体1800円+税

遺棄化学兵器問題にからめ、研究本というよりは、日本軍の化学兵器製造と大陸での実戦使用を告発するトーンの強いもの。なお、著者のひとりである新井利男氏は、月刊『世界』掲載の戦犯供述書を現地からコピーしてこられたフリージャーナリスト。


■幻ではなかった本土決戦

著者:歴史教育者協議会
版元:高文研
価格:2575円

化学兵器ではなく本土決戦計画の概要について記述した本ですが、なかに1章、日本軍の毒ガス研究と生産について論じた部分があります。また、戦争末の本土決戦体制下、学徒義勇隊訓練中に「くしゃみガス」が散布されたという証言も掲載されています。


■大東亜戦争は正当防衛であった

著者:山本健造
版元:福来出版
価格:1500円

研究本ではありませんが、なかに1カ所、マスコミにより捏造された毒ガス記事の事例が載っています。


■日本軍の化学戦

著者:紀学仁
訳者:村田忠※(※=示す片に喜)
解説:藤原彰 粟屋憲太郎
版元:大月書店
価格:3800円

中国人民解放軍化学防御指揮工程学院教授・紀学仁が著した『日本侵華戦争的化学戦』の内容を校訂したうえ、邦訳した研究本。大陸における日本軍の化学兵器の準備、種類、使用事例を細かく調べあげています。


■毒ガスの島

著者:中国新聞「毒ガスの島」取材班
版元:中国新聞社
価格:1300円

広島県大久野島にあった旧軍の化学兵器製造工場こと「東京第2陸軍造兵火工廠忠海兵器製造所」の歴史、実態をルポしたもの。当時、ここで働いていた方へのインタビューや、終戦直後、ここから運びだされて周辺海域に投棄された化学兵器の問題などを指摘しています。


■毒ガス戦関係資料   (総解説/粟屋憲太郎 吉見義明)
 毒ガス戦教育関係資料 (総解説/内藤裕史)
 毒ガス戦争関係資料2 (総解説/吉見義明 松野誠也)

版元:不二出版
価格:9500円+税
   18000円+税
   18000円+税

旧軍の残した化学兵器関連資料、実戦使用例資料原本を、縮小のうえそのまま製版した資料集。上記さまざまな研究本にも引用され、裏付け資料とされているもの。あか筒をふくむ、各種化学兵器弾の陸軍作成図面、仕様書が付録添付。


 戦争を考証する

■戦犯裁判の実相(上下巻)

編著:巣鴨法務委員会
発行:戦犯裁判の実相刊行会
発売:不二出版(1996年1月30日第2刷発行)
価格:定価 上巻(本体20000円+税)
      下巻(本体10000円+税)


本書は昭和27年5月12日、敗戦後7年を経たこの日、戦争責任を問われたBC級戦犯者が、巣鴨プリズン内で相寄り、管理の掌にある連合国軍の耳目を憚りながら密かに作成せられた証しの書である。
(復刻版解題より)

復刻版解題にもあるとおり、本書は昭和27年(1952年)5月、巣鴨プリズンに収監されていたBC級戦犯者を中心として組織された「巣鴨法務委員会」のまとめたBC級戦犯者証言・資料集で、原本はガリ版で200冊が刷られ、衆議院法務委員会や東京裁判弁護人、戦犯釈放運動に携わるひとびとに配布されました。けれども当時、対日講和条約後とはいえいまだ連合国側の反応を怖れた関係者の反応は意外に冷たく、本書はほぼ黙殺され、昭和56年(1981年)8月に復刻されるまで一般には存在が語られることもありませんでした。
不二出版本は昭和56年槙書房刊の復刻版の第2刷にあたり、第1刷の誤記誤植を訂正し上下2巻組で発売されました。
「戦犯裁判の実相」で語られているのは、世間の注目を集め、主張がぶつかりあい現代でも論議となる「東京裁判」ではなく、日本国内および南方各地で粛々と進められ処刑が実行されていったBC級戦犯裁判の姿、裁判の実態と罪に問われたものたちの証言です。なお、BC級戦犯裁判での死刑第1号はマレーの虎こと山下奉文氏で、昭和26年1月までのあいだ、実に983名の元軍人が死刑に処されました。
遠く異郷の地で罪を問われ、孤独のうちに刑死していった彼らBC級戦犯の存在……なぜ彼らは裁かれたのか、そこになにが起きたのか、堂々と主張した者、同胞に累が及ぶのを怖れてくちをつぐんだ者など、彼らの負うた宿命をふくめて、戦争がもつ酷さ、理不尽さを心に刻んでおきたいものです。


■アジアに生きる大東亜戦争

編著:ASEANセンター
版元:展転社
価格:1800円+税


現代史のクライマックスに迫るノンフィクション東南アジア各国を取材して現地人の本音を探り日本人必見の遺産を掘り起こす、誰も書かなかった感動のガイドブック。
ダイナミックに日本人の発想転換を促す渾身の共同討議。
(帯より)

【はじめに】(抜粋)
本書は、二週間にわたるASEAN及びビルマ旅行で、身をもって体得した見解の外に、それぞれの国が植民地になる過程、その植民地政策と独立に至るまでの歴史について、民族闘争について、できるだけつまびらかに語り合ったものである。六カ月余にわたる迫真な研究討議であった。
東京裁判史観や、従来のヨーロッパが真理で、ヨーロッパが正義であるとするような、欧米流のコピー文化から抜け出した、このようなTアジア史観Uに立つ著書は、おそらく他に類例を見ないのではないかとさえ自負している。
大方諸賢の忌憚なきご批判を乞う次第である。

『はじめに』の部分からもわかるとおり、本書は現地取材を通して、アジア解放に果たした日本軍および大東亜戦争の功績を論じあった討論集ふうの文献です。
展転社さんの本は、ほかにも『世界に生きる日本の心』『仕組まれた南京大虐殺』『大東亜戦争への道』『世界から見た大東亜戦争』などを読んでいますが、すべては同じスタンス、戦後史観の誤りを正して評価すべきところは評価するという立場でつらぬかれています。


■大東亜戦争とスターリンの謀略 戦争と共産主義

著者:三田村武夫
版元:自由社
価格:1800円

初版は1950年刊、購入したのは昭和62年に復刻された版です。
著者の三田村武夫は、昭和3年6月から昭和7年1月まで内務省警保局勤務、同年10月から昭和10年6月まで拓務省管理局に務め、共産主義運動の調査研究と取締にあたってこられたかたです。

次で私は、同十一年(一九三六年)二月の衆議院議員総選挙に立候補し、爾来十ヶ年間、今度は逆に憲兵と特高警察から追ひ廻はされる立場に立ち、反政府、反軍部的政治闘争に専念し、遂に捕へられて巣鴨まで行つてきたのであるが、この政治運動に身を投じてからの最大関心事は、激変する国際情報と第二次世界大戦の嵐の中で、モスクワを本拠とする共産主義運動が、いかなる戦略戦術を展開して行くか、更に軍閥の独善的戦争推進の背後にあって、世界革命への謀略コースをいかにして押し進めて行くかを怠りなく注視し研究することであつた。そして、その間に、私が体験し、調査し、研究して得た結論が本書の内容である。
(まえがきより引用)

本書の内容をごくごく簡単にいえば、国際共産主義者たちが、いかにして軍部の影に暗躍し、国論をあやつり、対ソ戦を回避させ大東亜戦争の道に進むようしむけたか――になると思います。当時のさまざまな資料を引用しながらの論考は実に興味深く、これが国内外で反共ムードが高まっていた1950年に刊行されたという事情を差し引いても、検討に値する内容であるとは思います。さまざまな戦争すべての原因が共産主義者の暗躍であり、陰謀であるとくくってしまうのは危険な視点ですが、少なくとも、彼らの活動や計略が事実としてあったらしく、当時の日本になんらかの影響を与えていたらしいことに目をむけるのは、先の大戦の多角的な考証に有益でしょう。


■東條英機 わが無念

著者:佐藤早苗
版元:河出書房新社
価格:650円+税


ついに公表された獄中手記
裁判ノ不公正ヲ世界ニ示スコトナリ面白シ
太平洋戦争の真実に、いま新たな光りが!
(帯より)

本書とともに、『東條英機の妻 勝子の生涯』を併読することによつて、東條の死の重要さと、かつ子以下の東條家が戦後に一切の言葉を発しなかつた意味を理解できるだろう。それは、とりもなおさず、あの大東亜戦争(太平洋戦争)の本質の一つを知ることともなる。……ぼくは、戦後の日本人が忘れて来た、人間としての矜恃を、教えてもらつた。
(「巻末エッセイ」より抜粋)

本書収録の東條英機手記は、月刊「宝石」の平成3年8月号と9月号に掲載されたものです。これをまとめ、背後関係などについて補足したものが当『東條英機 わが無念』(もとは平成3年11月光文社発刊)にあたります。河出文庫版は、昨年11月に初版発行です。
著者の佐藤早苗さんは1934年生まれのノンフィクション作家で、対米英戦中は国民学校生徒として日本に暮らし、父親は陸軍の暁部隊におられたとのことです。
先に書いたとおり、本書は東條英機の手記や東京裁判での発言記録を中心として、その背景について補足を加えたものです。目次章だてを紹介することで本書の紹介とさせていただくことにしましょう。

第一部
獄中で書かれた二大手記
東條自決前後に何があったのか
第一次大東亜戦争勃発ノ経過
東亜の地は東亜の民族で守る
統帥権の弊害
日米交渉中最後ノ三難点ニ就イテ
何のための日米交渉か
第三次近衛内閣総辞職当時ノ実情
東條内閣発足
真珠湾攻撃ヲ中心トスル諸問題ニ就イテ
満洲事変ト国際関係
東條英機の理想郷
 
第二部
東條英機行動記録
十二月一日の御前会議
開戦手続ノ決定・交渉打切ノ通告
対米、最後通牒ニ就テ
ルーズベルトからの親書
東京裁判のための自問自答集
真珠湾攻撃ヲ中心トスル諸問題
キーナン主席検事の反対尋問
宣誓供述書
東條口述書
「キーナン」検事ノ劈頭論告ニ対スル論争要点
東京裁判「わが無念」
検事ノ論告ヨリ受ケタル所感ノ要点
裁判ノ不公正面白シ
 
第三部
原爆ドームと東京裁判法廷はメモリアル
戦争ノ原因ニ就イテ
ただ一人の目撃者
東條英機の遺書
あとがき
文庫版あとがき
巻末エッセイ 日本人が忘れた矜恃    久米 勲


■ナショナリズムの生命力
 
著者:アントニー・D・スミス
訳者:高柳先男
版元:晶文社
価格:2800円+税(98年7月初版)


冷戦の終焉とともに、民族や宗教の対立から発する紛争が世界中で噴出している。人びとを破壊的な行動へと駆りたてるナショナリズムとは何か。どのように発生し、人類の歴史を動かしてきたのか――。
政治的イデオロギーとして利用されてきたナショナリズムの基盤を、言語、神話、宗教、共通の記憶など、人びとの文化的な集合意識の形成過程から取りだし、歴史的に跡づける。
わたしたち一人ひとりを世界に位置づける座標軸である「ナショナル・アイデンティティ」の多様な相貌を鮮やかに読みとく。
21世紀の世界の行方を考えるための基本テキスト。
(扉・紹介文より)

「集合的現象としてのナショナル・アイデンティティは、どのような性質をもち、どのような原因から形成され、どのような効果をもたらすものであろうか。これらについてのわかりやすい一般書を提供することが、本書の目的である」
(本書11ページ「はじめに」冒頭より)

こう書き出されているように、本書は、ありがちに語られる「ナショナリズム」の特質を暴き、それを批判する類のものではありません。
まず本書では、日本語で「民族」とくくられてしまう意味を、文化共同体としてのエスニック、政治共同体としてのネイションと区別して、それぞれの成立背景や歩みを眺めてゆきます。
そのうえで筆者は、近代ナショナル・アイデンティティとナショナリズムの基本的機能を、

1.子孫をつうじて忘却をのりこえること。
2.黄金時代への訴えかけをつうじて集団的尊厳を回復すること。
3.共同体の、いま生きている者と死者や戦没者とを結びつける、象徴、儀式、式典をつうじて同胞愛を実現すること。

まずはこのように分析するのでした。筆者は最終章「結論」で、

「人類がそれぞれのネイションに分裂し、世界中でナショナル・アイデンティティが持続的な力をもっているという現実には、危険と希望が同居している」
(本書297ページ)

と述べ、いわばナショナリズムとは諸刃の剣であり、民衆の自尊心を高めて進歩改革をうながす強力なちからにもなれば、異民族や少数民族の迫害や虐殺を正当化するに利用されうる危ういちからにもなる――と指摘します。
そんな「ちから」とどう向きあい、つきあうか……単純にいえば、われわれのこころのなかにあるナショナル・アイデンティティ、あるいはイデオロギーとしてのナショナリズムへの認識を深め、うまくつきあってゆければ――といった指針を、本書は示唆しているといえるでしょうか。
戦後の日本ではナショナリズムの悪い面ばかりが強調され、日本人であることを自覚したり誇りに思うことが特異なこととされてきたきらいもありますが、そういった先入観を排して、民族意識とはなんだろうか、民族意識と自分はどう関わっているのかを考えてみるのも、実は大切なことかもしれません。


 従軍慰安婦問題を考証する

■体験的慰安婦の生態 元衛生兵がみた一四○人の女たち
鈴木博雄/全貌社

いわゆる体験記、目撃談です。筆者の鈴木氏は大正9年2月鴨川市生まれ、昭和14年12月に佐倉第57連隊に入隊したのち、昭和15年2月から18年まで中国山東省済南陸軍病院に勤務されたそうです。本書はまず、筆者の体験・見聞にもとづく「ピーヤ」の話にはじまり、以降、いくつかの本に載っている従軍慰安婦の話(たとえば吉田清治氏の本や西野留美子著『従軍慰安婦』)のなかに、筆者の体験からしてウソとしかいえない部分が多いことを指摘されています。これは参考になるのですが、朝日を代表とするマスコミの偏向ぶりなどを揶揄するといったお決まりのパターンや、従軍慰安婦はいたと発言するひとびとを反日分子と呼んだり、吉田清治氏の話が本当なら「朝鮮民族は腑抜けで気狂い民族になってしまう」といった、いささか冷静さを欠いた論述も散見されます。全体的にはユーモアもまじえた読みやすい体験記なのですが。平成9年第1刷。


■元下級兵士が体験見聞した従軍慰安婦
曽根一夫/白石書店

こちらも体験記、目撃談ですが、何らかの配慮からか、筆者の所属部隊については具体的につかめません。なお筆者の曽根一夫さんは生年月日不明ながら、昭和12年から昭和15年末まで支那方面におられたそうです。同じ体験記のたぐいなのに、こちらは「従軍慰安婦はいた」という立場で綴られ、その内容も「体験記」というよりは、いろいろ資料などを援用しての手堅くまとまった論述といった印象で、そのぶん読みごたえがあります。
これは氏が戦後、戦争の悲惨さを後世に伝えようと講演や著述をされていたことと関係するのでしょう。
惜しむらくは、いつ、どこで、どのような――といった、情報伝達には不可欠な要素が抜けているため、いまひとつ記述に具体性が感じられないことでしょうか。1993年第1刷。


■朝鮮人 従軍慰安婦 女子挺身隊 資料集
金英達/神戸学生青年センター出版部

資料集といっても文献リスト、新聞記事の紹介です。第1部が従軍慰安婦関連の文献リストで、第2部が、全国紙・地方紙ほか、なかなか読めない統一日報からチョイスした数多くの新聞記事抄録、第3部が、従軍慰安婦問題について各種新聞の投書欄に掲載されたものの抄録です。1992年発行、1500部限定でした。


■慰安婦たちの太平洋戦争
山田盟子/光人社

昭和12年2月、神楽坂の加納屋という廓に身を売った17歳の女性の話を皮切りに、内地から外地へ、どのような女性がどのような経緯で渡ったか、そして外地で彼女らはどんな生きかたをしたのかを追ったもの。館山に建てられた「嗚呼従軍慰安婦」の石碑ゆかりの女性の話も書かれています。1991年第1刷。続編および『慰安婦たちの太平洋戦争 沖縄篇』もあります。


■従軍慰安婦資料集
 吉見義明/大月書店

従軍慰安婦関係の書物では数多く引用されている資料集。その当時に作成された「慰安婦」「慰安所」関連資料をそのまま収録したものです(ただし複写製版ではない)。
第1部「前史 第1次上海事変以降」(「在上海総領事館 昭和11年中に於ける在留邦人の特種婦女の状況及其の取締」資料ほか)
第2部「日本・朝鮮・台湾における従軍慰安婦の徴集と渡航」(「陸軍省兵務局兵務課起案 軍慰安所従業婦等募集に関する件」ほか)
第3部は「陸軍省の軍紀維持・性病対策」(「陸軍省医務局衛生課起案 大東亜戦争関係将兵の性病処置に関する件」ほか)
第4部は「中国における慰安婦・慰安所」(「在上海総領事館 昭和13年中に於ける在留邦人の特種婦女の状況及取締並に租界当局の私娼取締状況」ほか)
第5部は「香港における慰安婦・慰安所」(「戦時月報 香港占領地総督部」)
第6部は「フィリピンにおける慰安婦・慰安所」(「比島軍政監部ビサヤ支部イロイロ出張所 慰安所(亜細亜会館、第一慰安所)規定送付の件」ほか)
第7部は「マラヤ、シンガポールにおける慰安婦・慰安所」(「独立自動車第42大隊第1中隊 陣中日誌第10号」ほか)
第8部は「インドネシア地域における慰安婦・慰安所」(「第2軍司令部・売淫施設に関する調査報告」ほか)
第9部は「日本内地における慰安婦・慰安所」(第三魚雷艇隊戦時日誌)
第10部は「小笠原諸島における慰安婦・慰安所」(父島要塞司令部参謀部・陣中日誌)
第11部は「沖縄における慰安婦・慰安所」(「第62師団 石兵団会報」ほか)
第12部は「復員関係」(「陸軍省交通部 復員並居留民船舶輸送情報 第7号ほか)
第13部は「連合国軍による調査報告・指令」(「アメリカ戦時情報局心理作戦班 日本人捕虜尋問報告 第49号」ほか)
1992年第1刷。


■「従軍慰安婦」をめぐる30のウソと真実
吉見義明・川田文子/大月書店

簡単にいうと従軍慰安婦問題のQ&A集。「日本軍と慰安所」「軍慰安所と公娼制度」など7つの章のなかに、それぞれ「強制連行によって慰安婦を集めたケースはない」「当時の日本では、法律で公娼制度が認められいたのだから、慰安婦も公娼(娼妓)と同じだ」といった論点30を分類してあげ、ひとつひとつに解説を加えたもの。1997年第1刷。


■私は「慰安婦」ではない 日本の侵略と性奴隷
戦争犠牲者を心に刻む会編/東方出版

正しくは「アジア・太平洋地域の戦争犠牲者に思いを馳せ、心に刻む集会」実行委員会というそうです。本書は、この集会に参加された中国、台湾、フィリピン、インドネシアの「元慰安婦」たちの証言を収録したものです。
表題にある「私は慰安婦ではない」とは、慰安婦と知られたことで地域社会から蔑視された、ある中国人女性の証言から採っています。


■証言記録 従軍慰安婦・看護婦 戦場に生きた女の慟哭
広田和子/新人物往来社

こちらも証言記録。昭和17年に「士官用慰安婦」としてトラック島に渡った芸者・菊丸の生涯。置屋の借金を軍が肩代わりするというので、カキフライを食べながらトラックゆきを決めた――といった発端から、慰安所での生活ぶり、戦後、パンパン屋を経営した(当時22歳)云々の波乱の生涯を、取材と手記で綴ったもの。なお菊丸さんは本書発行3年前の昭和47年4月、忽然とガス自殺を計り他界しています。1975年第1刷。93年第15刷。


■検証『従軍慰安婦』増補版 「従軍慰安婦」問題入門
上杉千年/全貌社

「従軍慰安婦」という虚構・作り話が、いつごろから、どのような経緯で定着していったのか――との立場から、さまざま流布されている説や「体験者」の証言への疑問点、問題点を列挙し、論証し、論破を試みる、かなり骨太の書。その立場はともかく、タイトルどおり慰安婦問題の入門書としてはよくまとまっています。平成5年初版第1刷、平成8年増補版第1刷。


■戦場日誌にみる従軍慰安婦極秘資料集
琴秉洞/緑蔭書房

編・解説の琴秉洞氏は朝鮮大学の講師。おおよその資料は前掲『従軍慰安婦資料集』と重複するものの、こちらは当時の資料をそのまま複写製版しています。なお、こういった「日誌もの」のなかには、


■「陣中日誌」に書かれた慰安所と毒ガス
高崎隆治/梨の木社

といったものもあり、こちらは歩兵第65連隊第11中隊と第13中隊の陣中日誌のみをあつかい、解説したものです。著者の高崎氏は大正14年生まれ、法政大学在学中に学徒動員で出征したそうです。93年初版。


■軍医官の戦場報告意見集
 高崎隆治/不二出版

昭和13年4月に作成された「戦場神経症竝ニ犯罪ニ就テ」(早尾軍医中尉)を複写製版したものや「花柳病ノ積極的豫防法」(麻生軍医少尉)といった珍しい資料を収録したもの。なかでも、麻生軍医が所蔵していた「衛生サック」や「昭和13年時の上海の慰安所」の模様を撮った10点の写真は珍しく、慰安所の玄関先に掲げられた「身も心も捧ぐ大和撫子のサーヴイス」といった垂れ幕、あるいは玄関に貼られていた「本慰安所ニ陸軍々人軍属(軍夫ヲ除ク)ノ外入場ヲ許サズ」「入場者ハ必ズ受付ニオイテ料金ヲ支拂ヒ之ト引替ニ入場券及「サツク」一個ヲ受取ルコト」といった東兵站司令部名の「慰安所規定」などの写真は初見でした。1990年第1刷、96年第2刷。

【補足】『RAA』関連本4冊

■マッカーサーの二つの帽子 特殊慰安施設RAAを巡る占領史の側面
 ドウス昌代/講談社(文庫)

■占領軍慰安所
 いのうえせつこ/新評論

■占領軍慰安婦
 山田盟子/光人社

■ニッポン国策慰安婦 占領軍慰安施設・女たちの一生
 山田盟子/光人社

昭和20年8月、東京都料理飲食業組合長・宮沢浜次郎氏を理事に結成された『特殊慰安施設協会』は、その1ヶ月後に“RAA協会”(Recreartion &Amusement Association)と改称、東京都内の貸座敷組合や慰安所連合会7団体が中心となった、一説、大蔵省から当時の金額で5000万円ほど(1億円とする説もある)が融資されたといわれる全国規模の巨大な団体でした。詳しいことは関連本を読んでいただくこととしまして、ここでは、設立にあたり皇居前で挙行された式(昭和20年8月28日)で発表されたといわれる宣誓を紹介しておきます。

時あり。命下り、予[かね]て我等が職域を通じ戦後処理の国家的緊急施設の一端として、駐屯軍慰安の難事業を課せらる。命重く且[かつ]大なり。而[しか]も成功は難中の難たり、剰[あまつさ]へ血気蒙昧の徒、或は我等が使命を汲む能はず、皮相の狹き見解に囚はれて、誹謗迫害の挙に出づることなしとせず。然りと雖[いえど]も、我等固[もと]より深く決する処あり。褒貶固より向ふ処に非ず。成敗自[おのずか]ら命あり。只[ただ]同志結盟して信念の命ずる処に直往し、「昭和のお吉」幾千人かの人柱の上に、狂瀾を阻む防波堤を築き、民族の純血を百年の彼方に護持培養すると共に、戦後社会秩序の根本に、見えざる地下の柱たらんとす。
(『君が代』斉唱および万歳三唱)


 戦争と映画

■天皇と接吻 アメリカ占領下の日本映画検閲

著者:平野共余子
版元:草思社
価格:2900円+税


本書は、1987年にニューヨーク大学に提出した筆者の博士論文(英文)をもとに、1992年に米国政府の一機関であるスミソニアン研究所出版から出版された Mr.Smith Goes To Tokyo : Japanese Cinema Under The American -Occupation 1945 - 1952 の日本語版である。邦題の『天皇と接吻』は、占領軍の検閲の対象となった事項の代表的存在としてのT天皇UとT接吻Uをとりあげたものである。天皇の描き方について占領軍は禁止の対象としたことが多い。一方、接吻は自由と民主主義の象徴としておおいに奨励された。
政治とエロチシズムは占領政策に影響を受けた分野であった。
(「はじめに」より)

時は明治の20年、その年1月の時事新報にこんな論説が掲載されました。

「接吻の習慣を起すべきである。男女は愛情の激しいときには身体をすりあわなければ満足しないものだ。子供を愛する母親が頬ずりしたり接吻したりするのはよく見かけるところだろう。妙齢の女性が春を思うのも、愛情を発揮すべき自然の理性より出るものであるから、これを抑圧すべきではないことはもちろん、自由にその願いを発揮させるのがよい」
(『幕末明治風俗逸話事典』紀田順一郎/東京堂出版 535ページ)

キッスという言葉はなくとも、日本人も平安の昔からくちびるを触れあわせて愛を交歓してきました。とはいえ、それはあくまでも秘め事であり、欧米のキッスとはかなり趣の異なるものでした。
すでに戦前、日本で公開される映画には当局の監視の目が光り、たとえば外国映画のキス・シーンなどはカットされるか、もしくは当該シーンの部分だけ急に映像が小さくなるなどの処置がほどこされていました。あるいは王室などの権威を揶揄したり批判したりする内容は、やはり日本の皇室批判につながりかねないという理由でカットされるか、上映禁止の処置がとられたわけです。むろん社会主義・共産主義的なものも規制の対象となっていました。

それが終戦後――。

「日本映画は男と女が愛しあうときに、どうしてキスしないのか? 奇妙ではないか」
「日本人は裏でコソコソやりすぎる。堂々と表でやれ」

という占領軍の檄に勇気凛々の日本映画界は、通説、敗戦翌年の昭和21年に公開の『はたちの青春』をもって接吻映画第1号を世に送りだしたのでありました(通説としたのは、昭和6年に検閲を誤魔化し4日間だけ公開された『女はいつの世にも』という映画に接吻シーンがあったといわれるため)。
こんな案配で本書は、映画好きには「接吻映画ことはじめ」として興味深く、そうでないかたにも、戦後の映画検閲事情を通してさぐる“占領政策検証”といった趣向で読める本でしょう。
戦前戦中の日本官憲にかわり、戦後は戦後で、今度は占領軍の手でさまざまな検閲にさらされた日本映画。いわゆる軍国主義的なもの、封建的なものを感じさせる映画など、これまでの体制を肯定するような作品はほとんどが不可とされたのをはじめ、有名なところでは“チャンバラ”を筆頭とする時代劇がほぼ禁止となりました。
ところが日本映画人だって黙ってはいません。
少しばかり長いですが、本書のおもしろさを感じられるところなので引用しておきしょう。

ときには、日本の映画人は検閲官と論議して、筋を通すことができた。1946年に時代劇『お夏清十郎』(1946年、木村恵吾監督)の企画が提出されたとき、検閲官コンデは、これは江戸時代の近松門左衛門原作の、封建主義にもとづく作品であるので許可できないとした。コンデは、この物語を現代に置き換えるように示唆した。大映の重役たちは、それまでに同様の論議を聞かされてきたのでうんざりして、この企画をあきらめようとしたが、脚本家の八尋不二は、意を決してコンデに抗議文を書いた。近松は軍国主義者ではなく、この作品は純粋にお夏と清十郎の恋愛を扱ったものである。あなた(コンデ)の国で、シェイクスピアが封建的であると文句を言う者はいないだろう。だとしたら、この映画のどこが問題なのであるか、というものである。
八尋を総司令部に呼んで、同じ論議を直接聞いたあと、コンデはこの時代劇の製作を許可した。総司令部の記録では、この作品は〈両親の勧める相手ではなく、自ら選んだ男と結婚する女性についての話であり〉、そのテーマは〈結婚の自由〉としている。こうして、この時代劇は〈民主的作品〉として許可されたのである。
(本書160ページ 第二部 日本の映画人の反応 より)

いまとなっては笑えてしまうようなやりとりが、当時の日本では真剣に論議されていました(当時、GHQに睨まれるのはかなりのリスクでしたから、これは笑い事ではなく身体を張っての抗議だったかもしれません)。
こういった例をまじえて、いつ、どこで、誰が、どんな考えのもと、どんな規制をしていったのか――を本書は詳しく調べあげ、戦前戦中から戦後の映画政策、冷戦下での方針変化など、興味深い話を紹介してくれています。
1998年1月日本語版初版。


■帝国の銀幕 十五年戦争と日本映画

著者:ピーター・B・ハーイ
版元:名古屋大学出版会
価格:4800円+税


戦時下、人々は映画に何を見たのか?
プロパガンダ映画の発展を通して、「大日本帝国」の戦争と社会を鮮やかに描き出す――時代そのものが語る統制下の映画産業と創造性のあり方。
(帯より)

ご存じのかたもおられるでしょうが、紀元2600年奉祝前夜の昭和14年のこと、国民文化の進展に資するため映画の質的向上を促し、映画事業の健全な発達を図ることを目的として「映画法」が施行されました。以降、映画は当局の監督のもと、完全なるプロパガンダ・メディアと化してゆくことになります。むろん大東亜戦争の火蓋がきられたのちは、テレビのなかった時代のこと、映画は聖戦完遂を鼓舞するきわめて重要な映像メディアになっていったのでした。戦局がいよいよ悪化すると、当局は「よりいっそうの能率化」をはかるため、大日本映画協会、映画配給社、大日本興業の3社を統合して「映画公社」を組織することになります。
以下、まえがきから引用しておきます。

この本は、全体主義統制の圧力下における、創造性のあり方を凝視するものである。具体的にいえば、十五年戦争の全期間、つまり一九三一年から一九四五年において、圧倒的なファシズム支配に直面した日本の縮図を、映画産業の世界に観ようとするものである。この時期の、個人としての芸術家や知識人の「転向」に関しては、すでに多くが書かれてきた。しかし本書では、かなり違った種類の「転向」、拷問や脅しによるのではなく、人々の野心や不安を操ることによって達成された「大量転向」について考察してみたい。当時でも、現在の私たちの中の最良の人々と同じくらいコスモポリタンで寛容であった知的な人々が、どのようにして、自分たちの才能、エネルギー、インスピレーションといったものを、全体主義体制に貸し与えたようという誘惑に負けることになっていったのか、その過程を解明することが、本書における最大の目的である。なぜなら、同じ条件下におかれた場合、同じことが、日本で、アメリカで、また他の「先進国」と呼ばれる国々で、再び起こり得ると考えられるからである。
(本書「まえがき」より)


■戦争と映画 戦時中と占領下の日本映画史

著者 :清水晶
出版社:社会思想社
価格 :1748円+税


戦時下、映画界はいかに国策に躍らされたか。
映画会社と官憲の接点にいて身近に子細を見聞した筆者による証言であり、告白でもある。
(帯より)

当時の映画界を知る方による、体験談をからめた読みやすい本です。
筆者の清水氏は大正5年うまれ、東京帝大の美学科在学中から映画評論の仕事をはじめ、映画界と深く関わってゆきました。昭和16年に卒業すると日本映画雑誌協会に勤め、翌17年からは日本映画雑誌協会中支特派員兼中華電影公司嘱託の肩書きで上海に渡り、昭和18年からは月刊「映画評論」の編集長をつとめられたそうです。
そのため本書は、当時の映画界の事情について実に詳しく、また、さまざまな逸話を引用してわかりやすく解説してあります。もちろん、いつごろ、どんな映画が公開されたのか、あるいは上映禁止になったのかといった記録も押さえられていて、当時の映画の一場面が写真で紹介されてもいます(たとえば『五人の斥候兵』『土と兵隊』『燃ゆる大空』ほか多数)。


■大東亜戦争と日本映画 立見の戦中映画論

著者:櫻本富雄
版元:青木書店
価格:2266円+税


大衆娯楽だった映画がどのようにして戦争にからめ取られていったかを、映画ファンの目から見直したかったのが執筆の動機である。
(本書「あとがき」より)

これまでに紹介した映画本が、戦中・占領下の映画政策に興味をもった外国人による論文、あるいは当時の日本映画界に籍をおいていた方による回想をまじえた検証本だったのに対して、本書はまったくの一映画ファン、映画界とはまったく関係のない方による私的戦中映画論です。
ひとつだけ特記しておきますと、筆者の櫻本氏は一貫して当時日本の戦争責任を問うスタンスをとっておられるため、本書の内容も、いかにして映画が国策遂行のための道具とされてきたのかにウエイトをおいて書いておられます。
興味をひかれたのは、第2章「太平洋戦争下の映画」中の「3 巡回映画の登場」のくだり。
昭和16年3月1日、国民学校令の公布と同時に「文部大臣の検定した映画を教科書と同様に教材として使用すること」といった規則が定められたものの、当時の国民学校およそ2万1000余のうち、16ミリ、35ミリの映写機を持っていたのは約6000校に過ぎなかったそうです。そこで当局は、映写設備のない学校の児童生徒や映画館のない地域のひとびとにも国策の宣伝啓発をするため、巡回映画という制度をつくりあげました。なかには「軍神慰霊映写巡回」やら「撃ちてし止まむ巡回映画」なんて、ものものしい名前の映写会も催されたとか。
当時は、軍神の活躍や銃後の覚悟を説いた映画などが巡回されたといいます。観客は感動しながらスクリーンを眺めていたそうです。そういう時代だったから――ですが、では、そういう時代とはどんな時代だったのか、いかなる映画が巡回され、観客を魅了していたのか、そういった話を筆者の櫻本氏の視点でまとめ、論じているのが本書です。


■シネマがやってきた! 日本映画事始め

著者:都築政昭
版元:小学館
価格:1800円(1995年11月10日 初版第1刷)

映画100年記念出版
日本映画は、ここに始まる
映画がまだ「活動写真」と呼ばれていたころ、スクリーン狭しと活躍する9人の開拓者がいた。

映写機輸入第1号 稲畑勝太郎
映画興行の雄   横田永之介
日本映画の父   牧野省三
ギョロ目のスーパースター 尾上松之助
天下無双の活動弁士 徳川夢声
映画を芸術に高めた男 田中栄三
ハリウッドから来たカメラマン ヘンリー小谷
アイドル女優は「日本の恋人」 栗島すみ子
元祖・映画ジャーナリスト 田中三郎


 日本と日本人を考証する

■日本人の顔 小顔・美人顔は進化なのか

著者:埴原和郎
版元:講談社
価格:1600円+税

顔に秘められる日本人の成り立ちの謎と未来図!!
縄文人の大頭と弥生人の平坦顔でできた日本人の顔は、いま、急速に細面化し、鼻が高くなっている。その理由を探ることで明らかになる100年後の日本人顔。日本人はどこからきて、どこへいくのか!?
(帯より)

戦後、畳に正座の生活からイスやソファの生活に変わり、あるいは食糧事情の質的、栄養的向上によって、日本人の体型は大きく変わったといわれます。
おもしろいことに、さまざまな発掘調査や統計からいうと、日本人の身長は歴史時代から「だんだん低く」なり、そのピークが幕末・明治初期だったそうです。ここからゆるやかに「高身長化」が始まるものの、戦中戦後の食糧事情悪化で平均身長は低下しました。
いまは、ふたたび高身長化のなかにあり、およそ10年に1センチの割合で平均身長は高くなっているそうです。
もちろん“変化”は体型だけにかぎらず、顔つき、顔かたちにもおよび、このごろは顎のほっそりした若者が多くなりました。
本書は、そんな「日本人の顔つき」の変遷を、さまざまな用例、歴史的人物の顔写真や、発掘調査、統計にもとづく医学的データをもってわかりやすく紹介したものです。
こんな記述もあります。

最近の日本人では口の出ている人が少なくなりましたが、縄文時代からつい最近――少なくとも昭和初期――までは、口や歯が突き出している人が多かったものです。そこで国際的に日本人の評判がよくなかった戦前から戦中にかけての時代、外国の漫画家は出っ歯と眼鏡という、いささか品のない顔で日本人を象徴したものでした。さらに芸のこまかい漫画家は、このような顔つきの人間にカメラをぶら下げさせ、これで典型的日本人のできあがり、ということになります。

指摘されてみれば、たしかにそんな絵を観たことがあります。戦中アメリカのディズニー短編にも、出っ歯に眼鏡の日本兵が登場します(丁寧に挨拶ばかりしていました)。むろん、そんな絵を見るとイヤな気分にさせられますが、一面、当時の日本人の顔つきには、そうデフォルメされうる特徴があったことも事実のようです。
ではいま、日本人の顔はどんなふうになり、将来、どんなふうになってゆくと推測されるのか。
筆者はこんな文で本書をしめくくっています。

過度の貴族顔は、日本人の将来にとって決して望ましい形ではないのです。
そして、それを防ぐためには過度に文明化された私どもの生活を、人類の進化史という原点から見直すことが必要と思われます。

本書に紹介されている「100年後の日本人の顔」は、ものを噛むことすらできなそうなほどに顎のほっそりした、まさに「宇宙人」みたいな顔でした。


■マンガ誕生 大正デモクラシーからの出発

著者:清水勲
版元:吉川弘文館 歴史文化ライブラリー第75巻
価格:1700円+税


手塚治虫のストーリー漫画や長谷川町子の四コママンガはどこからきたか。
コマを送るストーリー漫画の画期的なスタイルが生み出されたのは、大正デモクラシーの時代だった。現代コミックへと連なるマンガ出生の物語。
(帯より)

四の五の書くより、はしがきの一節を引用しておきましょう。

大正期の漫画は、歴史事件に影響を受けながら形成されてきた。明治末年の大逆事件によって言論界は冬の時代に入り、これまでの政治や社会を諷刺するものではなく、人間を諷刺する新しいスタイルの漫画が生まれる。しかし、大正デモクラシーが勢いづくと漫画界は再び活性化し、プロレタリア漫画や子どもを対象にしたストーリー漫画が生みだされていった。
本書は、こうした現代的「マンガ」が形成される出発点となった大正期、そしてその漫画が大正デモクラシーと深いかかわりをもって生まれたことを具体例で示すものである。ページ数の関係で概論の域を出ないが、日本の漫画あるいはストーリー漫画がどのように形成されてきたかを知るうえで、この時代が重要な意味をもっていることを紹介したい。それによって漫画、とくにコマを使った漫画とは何かを理解していただければ幸いである。
(『マンガ誕生』 6ページ「はしがき」より引用)


■心霊写真

著者:小池壮彦
版元:宝島社
価格:680円+税


「心霊写真」は、いまからおよそ百四十年前に、アメリカで生まれた。ついでイギリスで盛んになり、フランスでも流行し、十九世紀末の欧米を席巻した。
そのころに明治維新を迎えた日本でも、写真術はすでに実用化され、職業写真師が各地で開業していた。文明開化を象徴する必須アイテムとして、写真は、日本人の生活に急速に浸透した。欧米に追いつけとばかりに、「幽霊の写真」も撮られていた。
写真に写る死者の姿に、明治の庶民は驚愕したが、その正体が二重焼きであることは、早くから指摘されていた。学者もこれをナンセンスとして否定した。しかし、欧米でも似た写真が流行しているという情報が入ってくると、ひょっとして本物もあるのではないかという意見も台頭した。大正から昭和にかけて「心霊写真」の流行は熱を帯びた。
(まえがきより)

本邦「心霊写真」の歴史を、写真術が伝来した幕末から、明治、大正、昭和と掘り起こしていった労作です。本書によると、現存する最古の心霊写真は明治12年に撮られたものですが、その前年に井上円了(妖怪博士として知られる東洋大創立者)が、熊本で撮られた「西南戦争で死んだ兵卒らしい幽霊写真」を観た記録が残されており、それ以前から、偶然ないし故意による写真が存在していた可能性も捨てきれないそうです。なお心霊写真という言葉は大正時代にできたもので、それ以前は幽霊写真と呼んでいました。迷信追放と戦争の激化で滅び去った心霊写真ブームは、戦後、何回かの小リバイバルを経て60〜70年代に完全復活、戦前にはなかった「投稿→鑑定→供養」というシステムを得て、ひとつのビジネスとして盛りあがります。むろん、それをビジネスとするのはまったく構まわないのですが、写りこんだピンボケのストラップや撮影者の指を「蛇の霊」「竜神」「エクトプラズム」と鑑定、霊障の恐怖を煽ったりするいい加減な姿勢はどうしたものか、同じペテン師ではありながら、戦前の心霊写真師とは熱意やエンターテイメント性の次元においてまったく違う、そんなことが見えてくる本です。


 近代建築を尋ねる

■写真集 幻景の東京 大正・昭和の街と住い

編著:藤森照信 初田亨 藤岡洋保
版元:柏書房
価格:5800円+税


失われた「都市の記憶」「時代の記憶」がいまよみがえる!
劇的に変貌してゆく大正・昭和の都市東京の姿を鮮やかによみがえらせるモダンな建築物の数々。空前の資料『建築写真類聚』から厳選した八〇〇点もの写真で構成する建築写真集!
(帯より)

本書は、大正4年から昭和18年にかけて、洪洋社という建築専門の出版社が刊行した『建築写真類聚』から805点の写真を選び、テーマ別に編集しなおした帝都の建築写真集。とはいえ、ただ学術的な視点から建物の外観内観を撮影した小難しい類のものではなく、

「ありていにいえば、カメラアングルなどにはさほど凝らず、スナップのように撮っている。……そのため新築の建物だけでなく、計算外の要素が写され、建物が街のなかにおさまっている雰囲気を伝えてくれる。それが実に面白い」

と、評論家の松山巌氏が週刊文春誌上で評されたように、かつての東京がたたえていたらしい、伝統とモダンの交錯する、ちょっと不思議かつ独特の雰囲気を堪能することができます。

たとえば、東京・多摩川園。ここは大正13年に完成した郊外の遊園地ですが、門から建物までがアール・デコ様式に統一された、とても遊園地とは思えない超モダンな空間でした。
銀座にあった代表的なカフェー『赤玉』(昭和5年改装)も、円と直線が織りなす幾何学模様を壁面にあしらった独特の雰囲気をたたえた建物です。同じく銀座の『銀座パレス』の2階には「サロン満州」なるものがあり、ここは内装から女給さんのユニフォームまでがモダン中国の様式で統一されていました。
火災前の『白木屋』の写真も数多く掲載されています。表現派や構成主義の技法をとりいれた見事な外観、幾何学模様のステンドグラス、レリーフで飾られた吹き抜けの1階大ホールあたりは、いまも欧米に残る格式あるホテルを彷彿とさせます。7階の大食堂は、ドイツのビヤホールを思わせるようなアーチに飾られた様式のなか、アール・デコならではのシンプルながら美意識にあふれた電灯が、きっと、柔らかなひかりを投げかけていたのでしょう。
日本橋『ヤナセ商会』のショーウィンドウには、1934式(昭和9年式)のビウイクという外車が飾られていました。


■建築探偵 東奔西走
 建築探偵 雨天決行
 建築探偵 神出鬼没
 建築探偵 奇想天外


著者 :文・藤森照信 写真・増田彰久
出版社:朝日新聞社
価格 :800円+税(1997年1月〜4月 初版第1刷)

「近代建築」にかけては、鑑識眼・推理力ともに並ぶものはいない“名探偵”の大学教授と建築写真家が、面白い建物を求めて、二人で東へ西へ――。ユーモア溢れる語り口で宮殿から豪邸、監獄、教会、銭湯といった数々の名建築、変わり種の建物を紹介。
(シリーズ第1巻『東奔西走』より)


■新版 看板建築

著者:文・藤森照信 写真・増田彰久
版元:三省堂
価格:1600円+税(1999年7月10日 第1刷)

震災後、東京下町の繁華街に雨後のたけのこのように出現した「看板建築」。建物の正面に銅板やタイルをはりつけて装飾した、下町商人の粋とミエの建築群を紹介した、決定版。カラー16ページ増補。


■完本・建築探偵日記

著者:藤森照信
版元:王国社
価格:2000円+税(1999年8月10日 初版)

元祖建築探偵がバブルの発生から集結(1986‐1995)まで、取り壊しの危機にさらされた東京の名建築のゆくえを追い続けた十年間の路上観察記。その間、唐破風型の銭湯は次々と消え、看板建築の数々の名作も地上げの嵐に吹き飛ばされ、東京駅前の丸ビルも今はない。しかし建築探偵はくじけない。歴史に刻まれた建物の生きた姿を求めて今日も行く。著者撮影写真多数収録。


■近代和風を探る(上・下)

著者:文・初田亨  写真・飯田鉄
     大川三雄    清水襄
     藤谷陽悦    宮本和義
版元:エクスナレッジ
価格:1400円+税(2001年6月20日)

日本建築を支えていた職人技術が、職人の交流が増大したことなどにより、明治以降も衰えることなく、逆に高くなっていたことはすでに明らかにされている。そして近年の研究は、洋風建築に関わってきた建築家たちが、同時に和風建築にも関わっていた点を明らかにしている。日本の近代建築を語る上で、和風建築の存在を無視することはできないのである。また、今までの研究において欠落していた近代和風建築を語ることそのものが、日本の近代とは何だったのか、日本の近代の独自性はあるのか、などを問いかける近道にもなると考えられるのである。
(序文より)


■名所探訪 地図から消えた東京遺産

著者:田中聡
版元:祥伝社
価格:571円+税(平成11年1月20日 初版第1刷)

忘れられたものへの観光旅行に出かけよう 荒俣宏
たとえば京都や奈良では、遺されたものを探れば探るほど、古代の謎が浮かびあがる。
だが、帝都東京では、忘れられたものを探れば探るほど、現代という時代の謎が分かってくる。
だから、混迷を深める世紀末の闇には、忘れられたものへの観光旅行が最も似つかわしい。
もちろん、帝都の謎は、まだまだ、ある! 本書を手掛かりに、次の発見をするのは、読者のあなたかもしれない。
(扉より)


■西洋館 明治・大正の建築散歩

著者:中村哲夫
版元:淡交社
価格:2800円+税(2000年4月19日 初版)

日本の近代化の歩みをいまに伝える西洋館。
その魅力に取り憑かれ、長年にわたって追い続ける筆者が西洋館の歴史、建築にまつわる秘話などを随所に折り込み一見の価値のある西洋館を、エッセイと写真で案内するとっておきの西洋館探訪。


 著名人の手記・日記

■ゴードン・スミスの日本仰天日記

著者:リチャード・ゴードン・スミス
訳者:荒俣宏 大橋悦子
版元:小学館
価格:3800円(1994年3月20日 初版第8刷)

“幻の日本日記”
ついに発掘!
英国の富豪ナチュラリストとして名を知られたリチャード・ゴードン・スミス(1858‐1918)は、みずからの離婚問題からのがれるために長い東洋旅行にでたのであった。しかしオリエントの驚異に満ちた風物は、根が物好きのイギリス人の好奇心に火をつけ、微に入り細に穿った見聞メモを書かせることになった。そしてゴードン・スミスが最もめざましいワンダーに出会った国こそ日本だったのである。明治末期の日本を活写したその絵入り、写真入り日記は、作者の没後長く框底に秘められていたが、近年約90年ぶりに孫の手によって発見された。フォン・シーボルト、エドワード・モースにつづく、日本を博物学した異国人の超仰天日記が、いま公開される。
(扉より)


■ジョン・モリスの戦中ニッポン滞在記

著者:ジョン・モリス
訳者:鈴木理恵子
解説:小田部雄次
版元:小学館
価格:1900円+税(1997年9月20日 初版第2刷)

特高に目をつけられながら、イギリス人教師が観察しつづけた1938〜1942戦時下のトーキョーの真実
(帯より)

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