悩まないで
明治東洋医学院専門学校 教員養成学科1年
Q太郎
悩まないで 心の相談室
(毎日新聞東京朝刊)から抜粋
「荒れる」長男
Q:4歳の長男のことで相談します。1歳4ヶ月(現在)になる次男が生まれてから、下の子をたたきます。寂しいんだな、と思いできるだけ話しかけたり、抱っこしたり絵本を読んだりしてきました。
でも幼稚園に入園してから、下の子への攻撃がますます激しくなりました。次男はかすり傷はしょっちゅうです。やきもちだ、とわかっていても、あまりにやり方がひどいので、私も激しくしかってしまいます。しかればしかるほど、ひどくなり最近は本当に言うことを聞かなくなりました。長男にどんな風に接すればいいのか、もっと抱きしめてあげれば・・と頭ではわかっているのにできない自分をどうすればいいのか、わかりません。
A:頭では分かっていても、抱いてあげることができない。人間って弱いものですね。あなただけではありません。人間の意志や意識はその程度のものなんです。私たちの行動を支配するのは潜在意識または衝動でありがちなんです。
ただね、あなたは気づいています。もっと抱いてあげればよいのだと気づいています。これは貴いことです。子どもの心がすさんでいるのを目前にしながら、自身の側の問題を意識できないまま過ごしてしまう親はたくさんいます。気づいているということは、解決へ向けての入り口に立っているということ。それができているあなたです、決して落胆する必要はありません。
ところで、私たちの心のメカニズムは意外なほどに単純です。愛されれば愛せる。温かく抱かれた経験が豊かなら温かく抱くことができる。逆であれば逆になる。あなたも恐らくは、もっと温かく抱かれたかったのにそれがかなわなかった子ども時代を過ごしたのではないでしょうか。
でもね、今からでも遅くありません。だれよりも先に、あなた自身が大きな愛に包まれる経験を重ねてください。そうする上でもっとも手っ取り早いのは、何らかの瞑想の手だてを習慣化することです。
たとえば、目を閉じてお腹の深いところから息を吐く。吐きながら心の中で、「ありがとう」とつぶやいてみる。そんな呼吸法を1日10分間ずつでも繰り返していると、あなたは自分に注がれているさまざまな愛に気づけるようになります。心がゆったりしてきます。
抱けないでいる自分を責めるのはやめましょうね。愛に包まれたくてならない自分により多くの愛を感じさせる工夫をしてあげてください。大丈夫、あなたの愛はこれからどんどん深くなっていきますよ。
(回答者は東京心理教育研究所所長の金盛浦 子さん)
※この相談の分析と相談者への対応について
まず、この4歳長男は、次男の誕生により王座転落を感じとっているのではないだろうか。そのため、母親の注目を得るためにいろいろと不適切な行動をとっていると考えられる。これに対しては、できるだけその不適切な行動に注目せず、良い点についてのみ注目し、長男を勇気づける方向へもっていかなくてはならない。相談者は、長男への接し方についてとは別に自分が無力であるということについての2つの問題を抱えている。「もっと抱きしめてあげれば・・・」という考えには、疑問が生じるし相談者自身をも縛るものである。このこだわりがなければ悩みは少なくなるのではないか。そういうアドバイスを行っていけば良いと思う。
相談者は母親であり、長男が言う事を聞かなくなっている状態を、いらいらや悩み時には怒りとして感じているのではないか。それを解きほぐしていくのもひとつの方法だと思う。
どんどんひどくなっている、エスカレートしていると訴えているが、四六時中攻撃しているのではないであろう。相談者は、長男の攻撃ばかりに目が行き、それ以外の兄弟でのやり取りが見えなくなっている可能性も大きい。自宅の部屋の間取りを描いてみてどういう状況かシミュレートし、日常の場面を喚起してみたりすることで気付きがあったり、こちらのアドバイスも行ないやすいと思う。相談者は、兄弟仲良くしているときは、素直に「仲良くしてくれてうれしい」と言えるようになるのではないか。
では、具体的に相談者のとる行動についてどういうアドバイスを行なっていくか。
@しかってしまうような場面には居合わせないようにする(できるだけ注目しないようにするため)。
A兄弟が仲良くしているときに積極的に声をかける。「仲良くしてくれてうれしい」「本当にありがとう」「助かる」等々(勇気づけ)。
Bこれにより初めて長男との共同課題とすることができる。
C長男が不適切な行動をしなくても注目してくれると理解し行動に変化が現れる。
D最後に、家庭内での適切なルール作りをするようにする。
最終的には、家庭内での良い対人関係を築いていけると思う。それには、相互理解、相互信頼、共同作業、目標の一致が必要不可欠なものとなってくる。
※教育心理学Tでの知識をもとにまとめた発表内容に、授業中のアドバイスや指導などを取り入れ作成しました。
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