鑑真和上展



 仙台市博物館で、鑑真和上の像を拝した。和上生前に、お姿生き写しに作製されたとか。やや俯いて、正座の上に印を結んでいる。正面から拝すると、謐としている。盲いた両目、口元を柔らかく閉じ、誠に穏やかなご尊顔である。だが、これを横から見やれば、太い猪首、張り出た鰓、老人らしい大きく突き出た耳など、奥底に秘められた芯の強さが自然と滲み出ている。十二年、五度の失敗と失明の悲劇の後、ついに我が国に仏法の神髄を伝えた老師に相応しい気迫である。この像が造られたのは死を目前にしてのことと伝えられるが、体躯は小柄ではあるががっしりとして、老衰の微塵もなく、気宇壮大と言うべきである。首の後ろの皺まで稠密に再現しているのが、却って像を造った弟子達の尋常ならぬ想いをまざまざと感じさせる。
 今年は和上が来日して1450年目に当たるそうで、和上の寺唐招提寺金堂が大修理に入ったのを機にこうした展覧が実現したとのことである。通常は年に一度しか一般公開されない秘像である。死した和上がなお仏法を携え、陸奥の地にまで遊行に参られたような感がある。貴重な機会であるので、参拝なされるが宜しかろう。
(2004.4.5)

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