セル作画工程
 ずっと昔に描いていたセル画の作成手順をご紹介します。
 最近はTVアニメーションのほとんどがCG化してしまいましたが、手作りセル画にもいいところがたくさんあるような気がします。
 作画の様子の画像は作成当時のビデオ映像からの取り込みなので、少々画質が悪いです。ご了承ください。
 また、説明はムシマルの勝手な解釈で書かれており、誤っている場合があります。ご了承下さい。(^^;)

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作 画 の 様 子 / 参 考
作 画 に 関 す る 説 明
工程1

工程1
 図は下書きが完成した状態です。
 影の部分をわかりやすくするため、色鉛筆で着色しています。
 今回のセル画は明るさを3段階としました。

 ムシマルは影はグラデーション影に極力ならないようにするのが好きです。
 (一番暗い影はオブジェクトの形が明確になるように作画)
 図ではラムちゃんの肩部分がグラデーション影になっています。
 グラデーション影にしてしまうとプラスチックみたいになってしまうんです。
 ちょっと反省です。

 下書き途中工程の映像は現存していないため、この工程以降(仕上げ)からの説明となります。
 尚、この状態で、実際のアニメーション作成工程では”動画の完成”といいます。(^^;)



画材について

仕上げ画材について
 簡単ですが彩色仕上げについての画材を紹介しておきます。
 ・【生セル】 セル画の元となる透明なフィルムです。(セルロイド板)
   大判は大きな画材店にはあるかもしれません。日本では需要が無い為か、もう製造していないようです。
 ・【アニメカラー】
   彩色のための専用顔料。樹脂性・水性。乾燥すると耐水効果が発生します。
   彩色用とトレス用、別々に市販されているので用意します。
 ・【トレースペン】
   主線トレース用のペン、コミック描き用として市販されているものでよいでしょう。
 ・【筆】
   彩色用の筆。ムシマルは面相筆、書道用の筆なども使用していました。
 ・【タップ】
   セルと動画用紙を固定する金具です。(タップ穴がない場合不要。セロハンテープなどで代用可能)
 ・【トレス台】
   必須ではないが色塗りのムラなどを確認しやすいと思います。
 ・【手袋】
   アニメカラーが手に付着するのと、セルに指紋が付着するのを防ぎます。
   親のゴルフ用のを勝手に使って怒られた記憶があります。

工程2

工程2
 セルへの描画を始めます。
 主線をトレスします。かすれ、トレス忘れなどがないか、慎重にチェックしながら 作業を進めます。
 ここで手を抜いちゃうと、後の工程が億劫になりますね。
 主線のトレスはセルの表面から行います。(彩色する面を裏面と表現しています)
 これをハンドトレスと呼び、トレスマシン登場以前はすべてこの手法を使用していました。
 ムシマルはトレスマシンを所有していないのでペンでトレースしましたが通常のアニメーション作成工程では
 トレスマシンを使用します。これはセルの裏面に カーボンを焼き付け、主線とするものです。
 尚、影の部分は表からハンドトレースされることが多いです。これは色トレスと呼ばれます。
 
図はセルの表面。




追記 
 トレスマシンで転写された主線はカーボンがアニメカラーに溶け込むのか経年変化により薄くなったり、
 消失する場合があります。
 ラムちゃんの場合、角、虎縞などの部分が顕著に現れます。 左図参照
 
この様な色部分は要注意です。避けられませんが空気・日光等から遮断すれば保ちがよくなるといわれます。

 余談ですが動画用紙とセル画そのものは別に分けて保存しましょう。湿気等でお互いにくっついてしまいます。




工程3

工程3
 ちょっと息抜きの工程です。
 BL部分(一般に黒色指定されいてる箇所を示す)のみ塗ってみました。
 実際のアニメーションセル作成工程ではこんなことは行われません。
 これは単なるムシマルの趣味でございます。(^^;) こうやって楽しみながらでないと持続できなかったので...。
 但し、暗い色から塗ってゆくのは基本であると考えられます。
 このほうがラム、もとい、ムラが目立たなく仕上がります。

 図はセルの裏面です。






工程4

工程4
 こちらも息抜きの工程です。
 目を先に塗って様子をみました。
 この辺の工程も実際のアニメーション仕上げ工程にはありません。
 塗りは色トレス後一気に行われるでしょう。

 いよいよ色トレス開始です。
 通常、色トレスはセルの表から行いますが、版権イラストなどでは目立つため、 トレスしないこともあります。
 ここでは影塗り(暗い方)で使用する色を使用します。トレス線が目立つので明るい方の色でトレスしない方が
 よいでしょう。
 但し、金属感等を出すなど、明るい方の色でトレスする方が効果的な場合もあります。

 図はセルの表面です。



工程5

工程5
 ここから本格的に彩色の工程に入ります。
 目と虎縞の塗りが終了しました。

 図はセルの裏面です。










工程6

工程6
 肌色の暗い部分を塗り中です。
 アニメカラーを”のばして塗る”というのではなく、”置く”という感じで作業します。
 また気泡ができないように注意します。
 細かい気泡ができた場合はセル表面から軽く弾くか、30秒ぐらい置いて塗り面に軽く息をかけると
 バブル崩壊します。(^^;)
 息の熱で空気が膨張するからでしょうか?偶然発見しました。

 カラー見本については下記を参照してみてください。








カラー見本

カラー見本
 市販のカラーが気に入らなかったのでプレンドしてカラーチャートを作成してみました。
 アニメカラーは乾燥して定着すると若干色が変化するため、プレンドした場合はちゃんと乾燥
 させてから色の様子をみることが肝要です。
 そう、アナログの世界は根気が必要なのです。<なにやってんだかよく分からないですね...

 余談ですがムシマルはアニメカラーが一般的に出回っていない頃、 ポスターカラーに木工用ボンドを
 加えてセル画作成した記憶があります。 当時は最高のアイデアだと思いました。
 プラモデル用カラーも使用しましたが、失敗は許されなかったです。あたりまえか(^^;)
 試行錯誤したのはポスターカラーや水彩絵の具だと塗るときに、はじいちゃうし、セルに定着しないからです。

 
セルには【ブラシ】というエアーブラシを使用した効果がありますが始めはどうやるのか分からなくて
 8x4パウダースプレーとか使ったりしました。触るとはげちゃいますが。
 エアーブラシの存在を知った時は狂喜しました。(^^;)




カラー見本

ブラシ効果
セル画作成には関係ないですがアニメの背景で左図のような効果を見たこと無いですか?
大リーグボール1号を投げる時とかアムロがおののく時とか、亜空間から戻るときとか、
オンリー・ユーのオープニングの始めの星雲イメージとか 。(意味わからね〜)

これは"ふのり"をマスクにして吹き付けることにより出せる効果らしいです。
当時アニメ雑誌にこそっと載っていた"ふのり"をキーワードにして画材店を探しまわりました。
今みたいにネットなんか無いので情報収集も大変でした。(^^;)

ぶっちゃけ、たたみいわしみたいなもんです。>ふのり (いやいや)

これも実際に描いてみた時はホント感動しました。とっても奇麗でした。






コピートレース
コピートレースによる仕上げ
 廉価版家庭用複写機を使用してトレースを行ったものです。OHP用のシートに主線のみ複写して仕上げました。
 鉛筆独特のタッチがきちんとでるのでなかなかよいです。但し、色塗りミスでカラーを剥離させるとトレース線も
 欠落してしまうので注意が必要でした。

 トレースマシンと異なるのは原画を逆さに描かなければならないことでしょうか?これが結構大変です。
 色が暗くなってしまったので描きかけでやめてしまいました。あたるくんの髪の毛を塗っていません。
 CG(256色で描いたものです)だと簡単に修正ができるのですが...。クリックでCGを表示します。








工程7

工程7
 塗り仕上げ工程終了です。
 「あまりいい出来ではないな。全部やりなおせ。」とはいかないですが影部分の塗りが少し薄い
  ところが気になります。
 実はブレンドしたカラーが少なすぎて足りなくなってしまったのです。

 塗り忘れ、色間違い、はみ出しなどがないかチェックします。
 間違いなど発見した場合はシールをはがす気持ちで誤り箇所のカラーを剥ぎ取ります。
 少し水分を与えると取り易いです。
 生乾きの時は亀裂がはいったりしてかえって難しいかもしれません。


 実際のアニメーション作成工程では動画ですので、大量に色を間違って塗ってしまうこともあるでしょう。
 この場合、【かぶせ】と呼ばれる訂正箇所のみを塗ったダミーのセルを上から被せてしまう手法があります。
 始めからから塗り直しよりは手戻りが発生しないからですね。

 図はセルの裏面です。まだ生乾き状態です。



完成1

完成1
 ようやく完成。
 汚れ、色のはみ出しなどがないか表面から確認し、発見した場合は再度修正を行います。
 全工程所要時間、約8時間というところでしょうか。但し、下書きに要した時間は別にかかっています。

 そろそろ夜があけてきた。さあ、額縁に入れて飾ろう!(^^;)










完成2
完成2
 サイズはB3。
 ああ、充実した時間でした!

 作成時期1989年頃。今思うと随分絵柄が変わってしまった。(^^)
 もう大判の生セルは入手困難なのかな?

 クリックするとデジカメ撮影されたものが拡大表示されます。








おまけ おまけ1
 やはり同じ頃描いた同じB3サイズのものが現存しているのを発見しました。
 かなり有名なシーンのものですが本物ではないですよ♪あくまでも贋作です。(^^)
 本物のセル画はもう少し小さいサイズなのではないでしょうか。
 ただフレームインするシーンなので大判セルなのはたしかです。

 CDRを置いていますので大きさはこちらで判断してみてください。

 クリックすると拡大表示されます。





おまけ

おまけ2 (New)
 昔描いたセル画がまたまた発見されたのでこちらに載せておこうと思います。
 セルのサイズは 1280mm×440mm と、かなり大きいです。
 後ろの「うる星やつらDVDボックス1・2」のサイズで大きさを感じ取ってみてください。
 ここまで大きいと元絵を描くのも大変ですよ。
 ラムちゃんの頭身サイズは6.5と決めているからできる技です。(笑)
 作品は大判のセル2枚に作画し、後にセロハンテープで貼り合わせています。
 当時土器手さん原画のラム・ザ・フォーエバーの販促ポスターに憧れて描きました。
 ここまできたら等身大で描いてみたいところですがセルの大きさが足りなくて断念したのを
 覚えています。(^^;)

 クリックすると拡大表示されます。










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