英国の核「トライデント」の廃絶が正念場

—世界市民の行動の輪に日本の反核運動からも参加を—

 

ファスレーン365日本実行委員会代表 豊島耕一

 

 核兵器廃絶運動にとってまたとないチャンスが訪れている.「公認」核兵器国の中でイギリスは核廃絶に最も近い位置にあるとされているが,それが「あと一押し」というところまで来た.英国の唯一の核兵器基地ファスレーンをかかえるスコットランドの議会選挙が5月3日に実施されたが,核兵器廃棄を基本政策に掲げるスコットランド民族党が労働党を抑えて第一党となったのである.ブレア首相は昨年末の「白書」で核兵器の維持更新の方針を打ち出し,さらに英国議会は今年3月にこれを支持することを決めたが,この中央政府の姿勢に対する反撃となった.

 

 英国の核兵器システムは2024年に耐用年数を迎えるとされる.これを更新するかどうかをめぐって上のように議会内外で議論がなされているが,この機会を非核化のチャンスに変えようという国際的な市民運動「ファスレーン365」が継続中である.これは,同国の唯一の核兵器であるトライデント原潜の母港ファスレーン基地のゲートに各国の市民が交替で座り込み,非暴力の抗議をすることで基地の機能を麻痺させ,核兵器が国際法に違反することを際立たせる.それにより更新反対の世論を高め,更新の中止すなわち英国での核廃絶を実現しようというもので,昨年10月1日から1年間続けられている.

 

 5月20日現在87のグループが合計118日間にわたり封鎖を実施し,延べ745人が逮捕されているが,逮捕者はすべて一晩だけの留置で釈放され,起訴も29名に留まる.筆者も今年1月に行われた「大学人によるセミナーと封鎖」に参加し,通常の学会のように10分間の講演と封鎖の座り込みをしたが,セミナー終了後も封鎖を続けた教員と学生が逮捕されただけで,しかも全員が一晩で釈放された.

 

 世論調査では英国国民の約6割が核兵器廃棄を求めており,スコットランドではこれが実に8割にものぼる.筆者が参加した封鎖の際も通り過ぎる車から頻繁に応援のクラクションが聞かれ,これを実感した.スコットランド民族党のサモンド党首は,スコットランドで核兵器を違法化すると発言しており,これからの運動次第では大きな前進が期待出来る.

 

 このようなまたとない国際行動に日本から参加しない手はないと思い,福岡を拠点に実行委員会を結成して準備してきたが,いよいよ7月25日と26日の二日間,日本チームによる封鎖を実施する.是非とも原水協関係の方々からの参加をお願いしたい.

(「原水協通信」07年6月6日号に掲載されたものを同紙の許可を得て転載しました.)