タイヤレス号と原潜問題

12月12日午後8時,BBCの「ファイル・オン・フォー」で放映された内容の一部をテープ起こししたもの.

オリジナル
http://ds.dial.pipex.com/cndscot/news/001214a.html

コードロイ中佐 「私たちは今,実質的に原子炉と推進装置の制御室である作戦室にいます.事故が起きたとき私たちは海にいました.金曜の午後,食事の頃で,私たちは地中海を浮上して航行していました.通常レベルを示すべき計器の一つが,それより少しだけ低い値を示していただけでした.」

ジュリアン・オハロラン 海軍副機関士コードロイ中佐は,警報に最初に気付く立場の1人であった.彼は,一つの計器の読みのわずかな変化が,艦の動力である加圧水型原子炉の冷却水システムの重大な事故につながることを知っていた.応急の対応を取らないと原子炉は過熱して重大事故につながる恐れがあった.どこに欠陥が起きたかを見るために,乗員は原子炉室に入らなければならなかった.そこは放射線量が危険レベルにあったかもしれない.

コードロイ 「われわれはスクラムと呼ばれる原子炉のコントロールされた停止操作を行った.それによりわれわれは原子炉室に入り,小さな冷却水漏れの場所を探すことができた.そして実際配管に小さなひび割れを発見したが,しかしそれは,物理的には,多くの人が安全レベルの維持の点で十分小さいものとみなすようなものであった.私たちは原子炉室を出ることが出来て,通常の運転規則に反することなく原子炉を再起動し潜水艦を推進させることができた.」

オハロラン 冷却水の漏れは,冷却系のきわどい接合部分から起こっていて,それは,他の配管から切り離して漏れを止めるための安全バルブの反対側であった.海軍によれば,一番悪い場所で漏れが起きてしまった.しかしもしひび割れが急速に拡大するかあるいは破断を起こせば,冷却水喪失を防ぐことはできず,原子炉は過熱するかもしれず,それは全ての核技術者にとっての悪夢,手に負えない炉心溶融につながる.海軍の原子炉の安全責任者,規制責任者はハルフォード艦長である.彼は原子炉が炉心溶融の寸前であったとする新聞報道を強く否定している.彼は,停止された後危険を冒して原子炉が再起動され,長時間運転されたことは認めている.

ハルフォード艦長 「乗員はそれから原子炉支援回路を起動し,非常に注意深く漏れの量を監視し,その量を正確に確認した.その時点では漏れの量は非常に少なかった.」

オハロラン 故障があり,また実際一次冷却系に漏れがあることが発見された原子炉を再起動するというのは,多分問題となることではなかったのか?

ハルフォード 「潜水艦の主動力である原子炉を運転することと艦の安全との間で,常にバランスを取らなければならない.潜水艦の信頼性ある推進力を維持するための原子炉を運転することが十分安全か,商業航路から距離を取れるか港に帰るには安全か,水面航行を安全に続けられるか?原子炉がその制限を越えればそれを停止して補助動力を使わなければならないという,ぎりぎりの線というものは明らかに存在する.補助動力はずっとパワーは小さく,推進の主な方法ではない.」

オハロラン 2度目の原子炉停止が起きるまで,タイヤレス号はどれだけの時間航行を続けたのか?

ハルフォード 「36時間ぐらいだと思う.」

オハロラン その36時間の間に,小さなひび割れが拡大したり完全な破断に至る危険性はなかったのか?

ハルフォード 「それが作られている材料は運転中に脆性破壊を起こさないようなものが選ばれている.だから,技術者によれば,非常に希な可能性はあるが,まず起こることはない.」

オハロラン しかし運転が継続されたその36時間の間に漏れの量は増え続けていた.危険があまりにも大きくなったとき原子炉は永久停止された.タイヤレス号はそれから補助ディーゼルエンジンでジブラルタルにゆっくりと帰投した.ジブラルタル政府はタイヤレス号の安全問題についての助言を得るために核技術の専門家チームを任命した.その1人は,独立の核技術コンサルタント,ジョン・ラージであった.彼は海軍から,タイヤレス号に必要とされるであろう修理の内容について報告を受けた.最初の原子炉停止のあと一日半もの間原子炉が運転され続けたと我々が知らせたところ,彼は驚いた.

ラージ 「原子炉を再起動するというのは実際たいへん賢くなかったし,修理すべき欠陥が見つかったのであれば,それは原子炉の安全規則すべてに違反する.故障が拡大するかどうかを調べるのに,試行錯誤法を使ってはならない.装置に欠陥があることが分かっていて,しかもその時点で正しく診断するのに充分な情報をだれも持つことが出来ず,また後で分かった事だがその診断が間違っていたのに,この艦の原子炉を再起動するというのは,実際私には非常に賢くない操作に思われる.」

オハロラン これらすべてのことに照らして,タイヤレスの原子炉がメルトダウン(炉心溶融)寸前であったとの見方に対して海軍はかなり怒ってこれを否定しているが,これをどう思うか.

ラージ 「もしひび割れが完全な破断に発展していたなら,その部分を他から切り離すことは出来ず,またその場所は原子炉に直接つながっている部分なので,それは原子炉の冷却を維持できない事を意味し,そしてそれは一連の事象連鎖によって間違いなくメルトダウンにつながるでしょう.」

オハロラン あなたは,現在でもなおタイヤレスの原子炉がどの程度メルトダウンに,そして破局的な放射能事故に近づいていたかということが本当に分かる人は誰もいないとおっしゃるのですか?

ラージ 「それがまさに重要な点です.いったんひび割れがすれば発生すれば,それがどのくらい速く拡大するかを技術者が信頼性を持って予測することは非常に難しいのです.」
(ここまでT)

ジュリアン・オハロラン 海軍は乗組員たちが乗船中の指示に従ったこと、およびたとえひとつでも誤った行為がとられたとしても、事態を正常にする機会はいくらでもあったであろうと主張した。しかし、このように事態を長期的に良い方向に向けることは極めて困難な仕事である。11月までに攻撃型原潜12隻中全部で7隻がそれらの炉心冷却系の同じ重要な接合部分にひび割れの兆候があったことが諸検査で明らかになった。7隻全てが任務から撤退し、他の5隻はその問題はなかったといわれた。国防次官はそれは包括的な設計上の欠陥ではなかったようだと述べた。しかし、海軍の核規制責任者ピーター・ハーフォード艦長は12隻すべての原潜が実際に影響があるかもしれないことを示唆した。そうならば、これらの12隻の攻撃型原潜に包括的な問題であるのか?

ハーフォード 明らかに攻撃型原潜の大部分に関わる一つの問題です。われわれはこれら全てを検査したし、少なくとも7隻は修理する必要がある。そして、将来、われわれは7隻向けに開発される新しい設計を使用し、それを残りの原潜にも導入されるかもしれない。われわれは発生したひび割れの原因は、急激な温度変化とこの特定の溶接部分の設計と製造のためであると考える。

ジュリアン・オハロラン 12隻すべての原潜にはその溶接部分があるのですか?

ハーフォード はい、あります。

オハロラン それでは、12隻全てにその問題がありますか?

ハーフォード 潜在的にはありますし、そのことはなぜ7隻にひび割れが起こり5隻にはないのかについて調べていることです。

ジュリアン・オハロラン 海軍は、問題は管内を170気圧以上の圧力で循環している水の数百度に及ぶ急激な温度変化による熱疲労が原因であると、信じている。しかし、これらの巨大な応力にもかかわらず、管の重要な部分のひび割れは決して検査されなかった。ジブラルタル政府の核問題助言者であるジョン・ラージ氏はこの問題を診断に失敗したことはこれらの原潜の検査と維持管理についての主要な問題を投げかけるといっている。

ラージ 15年も古く,寿命30年とされる潜水艦が,たとえば3隻のうちせめて1隻でもドックに入るのが見られないというのはまったく驚くべき事です.ですから、調達プログラムと維持管理プログラムにおける品質確認に何か悪い点があります。そして、このことは海軍がこれらの艦船の維持管理をいかに組織するという問題を提起します。

ジュリアン・オハロラン あなたは、正しい点検と検査がなされていればタイヤレス号の冷却水管に起こった亀裂が起こる1,2年前にさかのぼって問題が現れたはずだと、言っているのですか?

ラージ はい、あなたが期待したことは、毎年2隻を修理したとすれば4隻目ごとに特定の接合部分がいかに良好かを見るために検査されることを期待するということでしょう。それは難しいことではありません。しかし、これらを見落としたことは非常に驚くべきことです。だれかが仕事を熱心にやらず、この問題への適当な管理アプローチを計画しなかったのです。
(ここまでO)

オハロラン ハルフォード艦長は,スウィフトシュアやトラファルガー級の12隻の潜水艦が運航していた何年もの間,配管のこの部分が壊れるかもしれないという可能性が決して考慮されなかったということを認めたのですよね.

ハルフォード 「この部分は運転中に見られるその本来の働きに対して分析され決して割れないと考えられたのです.だからひび割れがこの部分で起き,そのことを発見する前に冷却水漏れの原因となったということは重大なことなのです.」

オハロラン 運転中の原子炉1個当りの全リスクの確率についての仮定にどれほど大きな疑問符がついているのですか.

ハルフォード 「疑いもなく,潜水艦の修理や補修中われわれが行なう監視には疑問があります.だからわれわれは緊急にかつ極めて深刻に調査しているのです.」

オハロラン これらのいろいろの潜水艦はどれほど長い期間就航しているのですか.

ハルフォード 「スウィフトシュア級のもっとも古いものは70年代の初めに運航を始めています.」

オハロラン そうすると配管のこの部分は,12隻のハンター・キラー潜水艦のどれかではこれまで調査されてきたことがあるのですか.

ハルフォード 「いいえ,そんなことはありません.というのはその部分のデザインは良く理解されており,計算でも経験でも問題ないということでしたから.」

オハロラン しかしその計算は間違っていたのですよね.

ハルフォード 「明らかにこの部分に何か悪いところがあります.そしてそれがひび割れを起こしたのです.計算が悪かったのかそれとも方法が悪かったのか分かりませんし,また,何が原因として見いだされるかも今のところ分かりません.」

オハロラン しかしいずれにしろこれは英国原潜の原子炉の安全性全体にとって極めて大きなそして基本的な問題ですね.これらの原潜には確か核ミサイルは搭載していなかったと思いますが.

ハルフォード 「わたしは今回の事件が深刻な問題であるということを否定しません.」

オハロラン 東ヨーロッパのコミュニズムの崩壊の時と同じように,大きさにおいて半分よりも小さな切断に引き続いて通常兵器で武装した潜水艦隊の中で重大な原子炉事故が起こります.防衛アナリストであり海軍将校でもある,戦略研究国際研究所のジョアンナ・キッド氏は次のように言っています.「艦隊は劇的に削減されている一方で実行しなければならない任務は減らされていません.欠陥が分かっているときでもスケジュールがきついので与えられた時間内で修理が出来ないことだってあるのです.」

キッド 修理は艦船や潜水艦のスケジュールに組み込まれています.船の種類によって詳しい補修が必要かどうかにより異なりますが,おおむね8年から10年ごとに6ヶ月から2年の期間に修理が行われます.しかし,修理が完了していないときでも艦船や潜水艦がある特別な日に出航しなければならないことがしばしばあります.だから,例えば,ある艦船がエンジンに問題があって,それを修理するのにあと1ヶ月必要だとしても,その時間がとれなくてエンジンが正常に働かない状態でさえ海に帰るようにしなければならないかも知れません.これらは私たちが過去10年間にわたって経験してきた一種のストレスです.これは単に海軍が,実行しなければならない仕事の割には,艦船や潜水艦を少ししか持っていないことに原因があるのです.
(Mi)

オハロラン ひび割れやその兆候のない5隻のハンター・キラー潜水艦のうち4隻が改装ないし修理中です.残りのただ一つ,トライアンフが海に出れましたが,それもまたすぐにトラブルを起こしました.スコットランド沖で海底に衝突し修理のために帰還しなければならなくなっています.ですからこの数週間の間ハンター・キラー潜水艦は一隻も活動していません.海軍は第一線の艦隊のうちほぼ4分の1を失っています.そんなに昔ではありませんが,ディーゼル潜水艦があったのですが,しかしこれらはカナダに売却されました.それで,ジョアンナ・キッドはタイヤレス号事件は海軍にとって大変な屈辱だと言います.

キッド これは大変な打撃です.まずプライドの問題があります.世界で原潜を持っているのは5ヶ国だけです.アメリカ,ロシア,中国,フランス,それにイギリスです.これら5ヶ国はたまたま世界の主な核兵器国でもあります.原潜を持つことはいわば海軍の世界では一流であることの徴です.ですからプライドの問題でこれは大打撃であり,また作戦上の問題でもそうです.イギリス海軍は6年前にディーゼル潜水艦を全廃することを決めましたので,実際われわれは原子力潜水艦しか持っておらず,もとに戻ることもできません.原潜が動く限りディーゼル潜水艦を保有するという議論は起きませんが,しかし,原潜の維持管理が一つも稼働状態に出来ないほどに難しく,その能力がないのであれば,ディーゼル潜水艦を保持するというのはおそらくより賢いことなのでしょう.ディーゼル潜水艦は原潜のような膨大な問題を抱えることはないのです.

オハロラン 作戦指揮官らは何食わぬ顔でやり過ごさなければならず,次に何かの地域紛争が発生する前に潜水艦隊の修復が完了することを望むしかありません.これらの潜水艦のもう一つの重要な役割は,イギリスの独立した核抑止力であるトライデントミサイルを装備した四隻のより大きなバンガード級潜水艦を掩護し支援することです.艦隊の日常の指揮はデイヴィッド・ラッセル准将が取っています.彼は,海軍で原潜として知られているハンター・キラーの代わりをつとめる他の方法が取られていなければならなかったと述べました.

ラッセル この事件が意味することは,通常と同じ情報を持ったミサイル潜水艦が配備可能なように,我々が代替手段と方法を持たなければならないということです.我々は他の水上兵力を使い,そしてこの目的の作戦に可能な状態に変更した.不幸にもこのためには不釣合いな程の労力を必要とします.なぜなら,これをやるには潜水艦が他の部隊よりはるかに優れており,また潜水艦でしかできないことがらがあるからです.だから我々はこのギャップを埋めるための作業を要求しました.

オハロラン 我々は海軍のために何十億ポンドも払っている.このような根本的な,核推進のハンター・キラー潜水艦の大部分が配備不能になるという事態が起きてしまって,気おくれを感じませんか?

ラッセル 私は個人的にとても当惑しています.私が日々,旗艦潜水艦のために作戦行動させている小艦隊がその任務を遂行できないのですから.その任務を思えばこそ,私自身も,私のためにまた私と共に働く仲間も,安全性が確認でき次第できるだけ早く海に戻すためにベストを尽くしています.でも事故の際に,もし私たちが適切に処置したような対応ができていなかったとしたら,私たちはもっと気おくれを感じたでしょう.うまく対処できたのでとても満足しています.ですから事故が起こったことはとても残念ですが,でも起きたのですから,その時の対応の仕方について少しばかり誇りを持ってもいいと思っています.

オハロラン しかし海軍は原子炉の安全性についてのジブラルタルの地元の懸念に今も直面しています.タイヤレス号の原子炉が5月14日に最終的に停止されて以来,再起動されていません.原潜が全く安全だということを説明するために,乗組員は見学者のための艦のツアーガイドとしての能力向上に努めています.

水兵 ここが艦内の調理室です.で,皆さんは今日の昼食に何を食べたいですか?
(ここまでT)

(オハロラン)しかしチャム攻撃はジブラルタルの人々にとってまだ納得いくものではないのです。私たちは、ジブラルタル中心部の海岸を見渡せる、その海岸から数百ヤードしか離れていないサウスモールの埠頭にあるKings Bastionの大砲のすぐそばにいます。
修理は大規模で、ジブラルタルの家や学校、商店やビジネス地区などにいる3万人の住民がすぐ近くに停泊しているタイヤレス号の存在を危惧しています。

(カルアナ)ジブラルタルは小さな場所です。(原潜が)停泊しているのは私たちの町からたった500ヤードの所なのです。ジブラルタルは小さな町なので、もし事故が起きて放射能物質が漏れたとしたら、事故がイギリスの片田舎の一部で起きたというものではなくて、ジブラルタル全土が放射能に汚染されるのです。そのことは多くの人たちが危惧していることであり、重大な政治問題になっています。

(オハロラン)ジブラルタルのピーター・カルアナ首相でした。彼は、国防省の妨害にならない範囲で地元の不安を反映しつつ慎重な路線を辿っています。ジブラルタルはイギリスの自治領であり、防衛に関しては英国政府が執行権を握っています。しかし,長期にわたるタイヤレス号の寄港とその修理は、ジブラルタル自身が原子力事故にどのように対処すべきかということに関心を集めさせたと首相は述べています。

(カルアナ)ジブラルタルには安全対策があります。これは原子力潜水艦が寄港する全てのイギリスの港で行われているものと似ています。ジブラルタル緊急サービスでは年に一度訓練を行っていますが、この公共安全対策はタイヤレス号の状況に合わせて行っています。このようなことは以前は決してなかったことなのです。もし事故が起きたら、その要因を把握できるのでしょうか。それに十分な対応ができるのでしょうか。

(オハロラン)ジブラルタルから緊急避難をする場合、どれくらい難しいのでしょうか?

(カルアナ)事故の質にもよります。もちろんそこが限られた場所で漏洩物質に近く、そして人口が多ければよりリスクも大きいということです。つまり修理を行う場所を選択する時、そういった要因も考慮に入れる必要があるということです。

(オハロラン)重大な問題は、ジブラルタルが狭い半島に位置することです。地上からの唯一の避難ルートは国境区域へ抜ける常に交通渋滞の激しい道路です。環境保護団体は、もし緊急避難が必要になった時に住民が容易に避難できない場合は大混乱が起こりうると警告しています。海軍原子力安全責任者のピーター・ハルフォード艦長は、深刻な原子力事故が起きた場合、スペインはジブラルタルの住民の避難を妨害することはないだろうと語っています。

(ハルフォード)もちろんあまり起こりえないでしょうが、原子力事故などの緊急事態になった場合、スペイン政府はジブラルタル当局から報告を受けるはずです。国境地帯にたとえ厳しい規制が敷かれていても、その時は緊急事態ということで、通常国境警備に携わる警察や税関その他関係当局が、避難住民の行動を誘導できると私は考えています。

(オハロラン)イギリスはその件に関して保証できるのでしょうか。

(ハルフォード)確証はできませんが、私たちはスペインと普段から良好な関係を保っていますし、彼らも非常事態を想定していると思います。

(オハロラン)ジブラルタルでは住民が2キロ以上も避難しなければならない可能性はあるのでしょうか。

(ハルフォード)2キロを越える避難はあまり現実的ではないと思います。しかし考えられる事態ではあります。

(オハロラン)つまり、これらはすべて非常に起こりにくい出来事ですが、万が一のために対策は万全にしなければならないということですね。

(ハルフォード)そのとおりです。それが非常時対策の基本です。
(ここまでE)

オハロラン 海軍当局は、当局側の観点からすれば、タイヤレス号を英国に帰港させると、核に関する安全上の危険を余計に高めることになるであろうが、ジブラルタルの環境保護団体がタイヤレス号の撤去を要求したのだ、と言明した。その環境保護団体は、支援してくれる専門家として、核物理学者であって平和運動家であり、かつ、軍事問題情勢分析解説者のフランク・バーナビー博士を招聘した。同博士は、このような損傷した船舶を、特定の修理船台で修理するために、英国に戻す方法はいくつかあると発言した。

バーナビー 海軍当局のタイヤレス号の修理についての見解の背景にあるものは、できるかぎり早急に復帰させることである。これはジブラルタルの住民の安全に対する配慮よりも優先されている。このような条件の下でこの事件を処置しなければならない理由はない、と私は判断する。海軍当局の作戦上の要求を優先させてはならない。

オハロラン あなたは、当該潜水艦を英国に戻すことが、海軍当局に対し新たな危険要素をもたらしていることを認めていないのですか?

バーナビー 戻すことによって、ジブラルタルの住民に対する危険は大幅に減らされた、と私は考えます。しかし私は、当該船舶を他の船舶の上に載せて運ぶことが良い方法だったであろう、と考えます。原潜ではない多くの潜水艦に対してこの方法が採用されて来たことを私たちは知っています。そして私は、配管が漏れを起こしている状況にあるタイヤレス号を同じ方法でデヴォンポートに戻すことができなかったのは何故なのか、まったく理解できません。

オハロラン 原子力潜水艦用の主要基地の一つであるデヴォンポートに戻って、タイヤレス号の問題は、ジブラルタルの波及的影響を受けた原潜全体に対する不満の動揺を静めるためには何もならないであろう。

女性 あなたが説明すればするほど、私たちはこれが如何に危険なのかをより一層感じるのです。これはこの国のこの地域にこれまでやって来た事件の中で最も危険なものです。あなたは、それが最も重大な危害を及ぼし得るこの場所に持ち込むことを提案しているんです。何故それをここで進めるのですか?

拍手

オハロラン ロイヤルドックヤードの北側へのテイマ川の中の新海軍埠頭に関する諸計画についての最近の公開集会では、その新埠頭は潜水艦に弾薬を積み下ろしするためである。その結果ドックヤードに隣接した人口密集地から危険を取り除いているのです。しかし今度は別の人々が、今現在搭載中の弾薬と原潜に近づくことになるでしょう。

海軍当局スポークスマン 船舶と潜水艦の弾薬装備は、一般の人にごく接近した所からは離れた場所でおこなわれています。

女性 駄目です、残念ながらそんなことを認める訳にはいきませんね。

オハロラン デヴォンポート海軍基地の中で、退役した原子力推進の潜水艦に対する作業に関しても恐怖がかき立てられて来た。
......................

オハロラン もしこれらの場所での危険が民生用の核施設に由来するものならば、安全性の問題は原子力産業から明確に独立した核施設調査団によって綿密に調査されることでありましょう。港湾および基地の安全に関しては、海軍自体の内部原子力業務監査機関以外には誰によっても認可されていない。これは、ジブラルタルの環境保護グループの核問題アドバイザーであるバーナビー博士が,改革の必要ありと主張している状況である。

バーナビー 海軍の原子炉および原潜設備は、原子力設備監査機関の保護の下に置かれるべきである。海軍は海軍自体で言うなれば「規制」しているが、それは満足できる状況ではない。このタイヤレス号の顛末の教訓は、海軍当局が余りにも多くのことがらを自分たち自身のやり方で処理している、ということである。海軍当局は、原潜の設計に余りにも関わり過ぎているし、原潜の原子力規則も全面的に取り仕切っている。これらの2点は中止すべきであり、特に核施設に関する規則を調査するための独立機関を設置するべきである。

オハロラン しかし海軍の核問題監査委員であるピーター・ハーファド大佐は、彼が下した安全という決定は作戦司令官側とはまったく関係なくなされたものであり、デヴォンポートであろうとどこであろうと安全計画は、民衆に無用の心配をさせないようにすることと、最悪の事態が発生した場合になされなければならない対応を計画すること、の中間の賢明な道筋を進めなければならない、と言っています。

ハルフォード 私たちがやろうとしていることは、これは非常に起こりそうにないのでしょうが、複数の要因のあの組み合わせの範囲の外側で発生した合理的に見て起こり得る事故の大部分をカバーできる最善のアドヴァイスを人々に伝えることです。私が申し上げますように、私たちは百万回に1回くらいしか起きないできごとについて話し合っているのです。そのうえ、できごとについての迅速なアドヴァイスは、民衆には、メディアを通して伝えられるべきでありましょうし、非常時対応活動がなされるにつれてすべての人に伝えられることになるであろう、ということはほぼ確かです。

オハロラン しかし、もしハンドブックの中では発生の可能性がない、とされている潜水艦において一連の故障が発生しただけに過ぎないとするならば、あなたの認識ではそのような危険の可能性は本当に信頼できるのですか?

ハルフォード 原子炉事故のシナリオは、発生し得る事象についての統計的な分析に基づいております。最近発見されているいくつかの欠陥は決して原子炉事故ではあません。

オハロラン 数十万人の人々が危険に瀕することになる安全策であるならば、安全装置について、そしてさらに安全訓練について、独立の綿密な調査をおこなうためになされるべき点があるのではないか?

ハルフォード 私は、個人的に核施設検査機構と非常に親密な関係を持っているのですが、私たちが実施している訓練について彼らは監視し論評しています。彼らは当局として、潜水艦が停泊している場所からどの程度離れた所まで、私たちの精密な非常計画を適用すべきかを、公式に合意することに関与しています。それで私は、私自身の独立した監督と同様に、私たちがやっていることについての今でも相当大幅な独立の「衛生安全委員会事務局」の監督がなされている、と確信しています。。

オハロラン しかし最終的に責任を取るのはあなたであり、最終決定をするのはあなたではありませんか?

ハルフォード その通りです。私がこの問題に関して、他者に従属していると非難されることはあり得ないと確信しています。
(K)