SP(模擬患者)

 医学部や歯学部では、医療面接技法を模擬患者を相手にロールプレイで学ぶSP教育がはじまっている。2005年度からは、医学部歯学部共通の共用試験=OSCEが実施されることになっている。

日本医科大学で、模擬患者を募集しているというのをあるMLで知り、前々から興味もあったので参加してみることにした。(この好奇心がクビを締めるんだよなぁ、いっつも)

模擬患者とはいったいなんぞや?? 他の範となるような立派な患者・・ではない(そりゃ模範だろ!)

では、簡単に解説
○模擬患者 (simulated patient)
 学生の問診を受ける患者役を一定の訓練を受けて演じる人。
○標準模擬患者 (standardized patient)
 一定の標準化された患者役を演じ、試験や評価を行うことが出来る人。
 
標準模擬患者は実際のOSCE(客観的臨床能力試験)や、卒業後の研修、専門医試験でも総合能力判定のために患者役を演じるため、どの受験者にも一定のレベルで演じなくてはならないので、患者像はマニュアル化されている。シナリオも非常に綿密に用意されているので演じる際の自由度がない。

模擬患者は、どちらかというと学生の動機付けや医療面接のイメージつくりに寄与するようなシュミレーションが要求され、患者の心理面なども深く掘り下げて演じることが必要なので、演じる人の個性や背景などがある程度自由に表現できる。

実際にどんなことをSPはするのかというと、患者を演じるだけでなく、演技終了後はすぐにフィードバックをしなくてはならない。これが一番難しい。

SPに要求されるのは、演技力というより「客観性と記憶力と言語表現能力」
演技終了後は、すばやく演じた役柄から「自分」に戻り、学生に良かった点と改善すべき点をフィードバックしなくてはならない。このとき、注意するのは面接中に実際におこった出来事や実際に言葉として発せられた事柄について具体的にフィードバックする。
そして、それは過去に自分が体験したことや総論であってはならない。

記憶力も大事。いろんなチェックすべきポイントを頭に入れながら演技をして、効率よくフィードバックしなくてはならないからだ。
例えば、相手役が「○○という言葉をあなたが使ったとき、私は○○と感じた。○○のような言葉を使ってくれたらよかったと思う」
というように、具体的に事実に基づいて感じたことを言わなくてはならないわけ。

訓練も経験も積んでいかないと質の高いSPにはなれない。おもしろいけどた〜いへん!


ウチから日医大まではJRと私鉄を乗り継いで約1時間半の道のり。Door to Doorなら2時間はかかる(どんな田舎だよ!)9時からの授業なら通勤地獄の電車でもみくちゃにされながらの1時間半。楽じゃない(笑) 経費は全部自分持ち。けど、SPとして参加している人たちはみな医療を良くする手伝いができるならと熱い思いを持って集まっている。

だから、ぜひ学生さんたちにも頑張って欲しいと思う。SP教育が学生にとってただの試験対策のための技能取得だけであってほしくないなぁと思う。
ま、実際、OSCEで不合格になると5年生に進級できないらしいので当面は試験対策になってしまうのだろうけど・・。

医療の現場は、さまざまな反省を踏まえ少しずつだけど変わろうとしはじめている。
私たちがより良い医療を受けるために、ただ医療を批判するのではなく、ただ黙って医療が変わるのを待つだけでなく、こちらからも歩み寄り理解を深めて双方向から近づいていく努力をしていければと思う。患者中心の医療が叫ばれているけど、医療側だけの努力でそれが実現するとは思わない。医療を受ける私たちもできることがあるはず。

なぁんて思うのである。
けど、こうやって医療面接の技術を上げちゃうと、みんな良心的な良い医者に見えちゃうかもしれないわけだ。人にはそれぞれキャラがあるし、態度や物腰や言葉遣いやちょっとした仕草とかを見てその人がどういう人なのかを判断するわけだから、みんなが平均的な接客(?)スキルを身につけちゃうとわかりにくくなっちゃうんじゃないかな。それはそれでほんとに我々患者にとって幸せなことなのかどうか微妙。

ま、患者ってアンテナがかなり鋭くなってるから、表面的な技術のその奥を見抜くことができるって私は思ってるけど・・。

ほんとはすごく真摯で一生懸命なのに、話術や表情で損してる人もいるだろうから、そういう人には救いになるかもしれない。

そんなこんなで、複雑な心境でSPやってるです(笑)





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