空港〜ホテル編
<空港〜ホテル編>

 

 パリに到着するのは、20時30分の予定だったので、私は真っ暗な事を想像していた。暗い中、見知らぬ
街をさまよわなければいけないのかと、かなり憂鬱になっていたのだが、なんとまぁ、パリは素晴らしい夕焼け
だった。そうだ。夏だからこっちは日が長いんだ!すっかりそんなこと忘れていたので、かなりビックリしたし、
嬉しかった。いやー、パリの夕暮れは本当に素晴らしいっ!!写真に撮りたかったが機内だったので泣く泣く
諦めた。が、ほんとーに綺麗だった。

 小学生の頃から憧れていたシャルル・ド・ゴール空港に着陸し、私達は飛行機を降りた。できればターミナル2
の方に行きたかったが、まぁ仕方あるまい。私はモスクワの空港で仲良くなった女の子2人と一緒に、荷物引き
取りカウンターへと向かった。成田みたいにきちんと並べられてくるものだと思っていたのだが、甘かった。縦に
ぐるぐる回っているベルトコンベヤーで、下から引き上げられてくるのだ。しかも、ベルトにくっついてしまって
いる荷物も結構あって、上から荷物がドカンドカン落ちてくる。ひぇー!!落ちて蓋が開いちゃって中身が散乱
しているものも、かーなーりあった。私はリュックでよかったなぁと思いながら、放り出された自分の荷物を手に
取った。
 女の子2人も荷物を取り、私達は空港駅へ行く為に、バス乗り場へと向かった。ここでその子達とはお別れ。
外も真っ暗になっていたので、かなり心細かったが、行くしかあるまい!私は気合を入れてバスへと乗りこんだ。
 そこで、今度は別の女の子と一緒になった。その子もフランスが初めてで、最初にリールへ向かうそうだ。この
街は、フランス最北端に位置するノール地方の首都である。ベルギーと国境を接し、海を挟んでイギリスを望む。
玄関口として発展を続ける大都市なのだ。私はその隣のノルマンディ地方に行きたかったのだが、時間的に
とてもそんな余裕はなく、今回は諦めたのである。

 話が少しそれてしまったが、そんなこんなでシャルル・ド・ゴール2駅へ到着。これからRER (高速郊外鉄道)
B線へ乗って北駅へ行き、地下鉄に乗り換える。切符を買うのにフランス語で頑張ろう!と思っていたのに、口
から出たのはなぜか英語だった(笑) 次頑張ろうと開き直り、私は電車へ乗りこんだ。
 ここから北駅までは約35分。料金は2等で47F。安い!近い! 改めて成田までの時間と料金の高さを痛感。
北駅に着いたらああしてこうしてと、緊張のピークに達している私を乗せて、電車は一路パリへ!!
 電車に乗りながら、私は窓から真っ暗でほとんど灯りのない風景を見ていた。本当に今自分は、日本ではない
別の国にいるのか?と思っていた。ずっと憧れていたフランスにいるという実感がなかったのである。だが、そう
思うと同時に、ここからが本当の旅の始まりだなとも思っていた。




   35分ほど列車に揺られ、Gare du Nord(ギャール・ドゥ・ノール)駅へ到着!着いた時にはもう真っ暗
だった。しかも、広いしわけわかんない!私の予約したホテルに行くには、Bellevilleという駅が最寄り
駅なので、ここから北駅と直結しているLa Chapelle駅に行き、地下鉄2号線に乗り換えなければならない。
だが、どこをどういけばいいのかわからない。看板にしたがって進んでいるのだが、やっぱりわからない。
私は本気で、明日まで駅から出られないかもと思った。
 わけわからず状態で歩いていると、機内であたしの隣に座っていた男の人の姿が見えた。どうやら彼は
仲間数人で旅にきたらしく、私の20メートルほど前を歩いていた。機内の会話からして、彼はフランスに
ちょっと詳しい事はわかっていた。なので、きっと地下鉄に乗り換えるに違いないとふんで、私はこっそり
と後をついていった(笑)私の予想はあたり、無事に2号線のホームに出ることができた。私は彼らに感
謝しながら、地下鉄に乗りこんだ。パリの地下鉄が手動ドアということは、ガイドブックや友人の話しか
らわかっていたが、最初は不安だったので、他の人が開けたドアから乗り降りした。

 La Chapelle駅から4つ目でBelleville駅に着いた。今度はこの駅から出るのに一苦労。出口と書いてあ
る場所を出たのに、なぜか、とっくに閉まっている外の切符売り場へ出てしまう。しかもそこから先には
立ち入り禁止となっている。??? 私は何度も戻って、やっと人通りと灯りのある場所へ出ることがで
きた。
 しかぁし!今度は出たら出たで、タクシーがどこにもない。駅の前にはタクシーが当然あるはず、とい
う日本の感覚でいたのが間違えだったのか!?私はでっかいリュックを背負いながら、途方にくれるかの
ように、ウロウロと街をさまよっていた。この時点で、日本に帰りたいと本気で思った。やっぱり私には
無謀すぎたのかもしれないと、旅1日目にして挫折モードに入っていた。昼間だったらまた違かったのか
もしれないが、なんせフランス初上陸、夜の10時に1人では無理もない。でも、その無理を承知できたの
だから、誰にも何も言えまい(涙)

   そうして20分ほど半泣き状態で歩いていると、やっと道沿いにタクシーが止まっているのを発見。心底
安心しながら、タクシーに乗りこみ、機内で練習したフランス語で行き先を告げると(住所は紙を見せた
だけだけど)運ちゃんは快くホテルへと向かってくれた。
 タクシーに乗りながら、今度はチップの事で頭がいっぱいであった。ガイドブックに「運転手の中には、
日本人相手だと高額な料金を請求する人もいるので要注意」と書いてあった。また「チップは必ずしも払う
必要はない」ともあった。こう書かれると、払うのか払わないのかよけいわからなくなるので、やめてほしい。
私はいくら請求されるのだろうと、少々不安になりながら、財布の中身を確認していた。
 ホテルに到着する頃には、メーターは27Fになっていた。ガイドブックには「運転手はチップを含めた金
額を請求してくる」と書いてあったので、私は30Fぐらいかなと思っていたら、その運ちゃんは「27F」
と言ってきた。きっと、私がリュック1つで疲れ切った顔をしていたので、貧乏だということを悟ってくれ
たのだと思う。私は感謝の気持ちを込めて、3Fを足した30Fを渡した。わざわざチップを払う事ないのに、
と思う人はたくさんいると思う。けれど、こんな状況にいる私には、彼は神様のような存在だったのだ。
知らない街で途方にくれていた私をホテルまで連れて行ってくれた上に、チップ制の国なのにチップを要求
しないでくれたのだ。彼の仕事だからとか、私の身なりのせいだとか、そんなことこの際どうでもいいのだ。
私はこの運ちゃんに感謝している。そもそもチップとは、そういう気持ちから渡すものなのだから、私は正
しいはずである。しかも、私がチップを渡すと、運ちゃんは気持ちのよい笑顔で「メルシィー・ボクゥ。」
と言ってくれた。フランスに着いて初めて現地の人から言われたこの言葉に、私はちょっと感激していた。

 私の泊まるホテルは、とてもこじんまりとしていて、さすが日本から6500円で予約したホテル、というぐら
い部屋はボロかった。シャワーはシャワーの役目は果たしていなかったしカーテンもヨレヨレだった。でも、
そんな場所も私にとっては天国だった。とりあえず、やっと化粧とコンタクトと靴から解放された。時間を
見ると、もう23時をまわっていた。
 ベッドに入りながら、今日1日を振り返ってみた。昨日までは、こうやって寝ていたのは日本だったのに
なぁと思いながら、明日から憧れのパリを散策するぞ!その前にホテルを探さなくちゃね、と思いながら、
1人旅の1日目は幕を閉じた。

          今日の出費:空港〜Belleville駅 48F
                  Belleville駅〜ホテル 27F+3F(チップ)  合計78F




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