2000年6月30日  産経新聞

 県内の最先端医療機関として知られるつくば市天久保の「筑波メディカルセン

ター病院」(中田義隆院長)で、患者と患者の家族に十分な事前説明が行われな

いまま同病院としては未経験の手術を実施、この手術がもとで内臓に後遺症が出

たとして、同病院を経営する財団法人筑波メディカルセンター(助川弘之理事長

=土浦市長)と担当医師三人、さらに国(三人のなかに筑波大付属病院の医師が

加わっていたため)の五者を相手取り、つくば市の男性が三十日、四千三百九十

二万六千百三十九円の損害賠償を求める訴えを水戸地裁土浦支部に起こす。同病

院は県内に四ケ所しかない救命救急センターを備える県南医療機関の核となる病

院。それだけに今回の医療過誤訴訟は、県内の医療関係者の間に波紋が広がりそ

うだ。

 訴えを起こすのは、つくば市に住む塩化ビニール加工販売会社の元社長(六十

三)。訴状によると、元社長は平成十一年六月二十二日に直腸がん治療のため手

術を受けることになったが、その際、医師は、回復が早く三日ぐらいで歩行がで

き、人工肛門にもならず、傷口が目立たないなどとし、手術の具体的方法や危険

性についての説明はないまま、腹腔鏡下で直腸切除手術を行うことを伝えた。

  腹腔鏡下手術は、腹部に数カ所の穴をあけ、腹腔鏡と手術器具を腹腔内に挿入して行う手術で、昭和六十二年にフランスで実施され

 て以来普及してきた新しい手術法。しかし、同病院では一度も先例はなく、元社長が初めてだったとしている。

  手術後、元社長は縫いあわせ部分近くに穴があいていたため腹膜炎を起こし、緊急開腹手術を行ったが、一時は危篤状態になったと

 いう。さらに院内感染(MRSA)に感染したことなどから退院を強く希望、八月下旬に同市上横場の筑波学園病院に転院した。同病院

 で検査した結果、縫いあわせ部分にも穴があいていたことなどがわかり、再手術を実施。これらの治療のため、十二年一月十六日まで

 入院を余儀なくされたうえ、腸が狭くなり排便が思うようにできない後遺症が残ったという。

  元社長は、事前に十分な説明が行われていれば腹腔鏡手術に同意しなかったなどとしたうえで、病院側の過失で必要以上の入院加療

 と後遺症で自分が経営する塩化ビニール加工販売会社が廃業に追い込まれたなどとして損害賠償を求めている。

  元社長の長男(三十七)は、「父は生体実験の材料にされたようなもの。さらに、失敗を謝罪せず、患者を突き放し、見捨てるとい

 う医師、病院側の態度は許せない」と怒りをあらわにしている。

 元社長の訴えに対し、助川理事長は「今回の件については、訴状をみていないのでコメントは差し控えたい」と話している。



2000年7月1日  産経新聞

 十分な説明もないまま未経験の手術を行ったのが原因で後遺症が残ったとして、つくば市の塩化ビ

ニール加工販売会社の元社長(六十三)が、筑波メディカルセンター病院を経営する財団法人筑波メ

ディカルセンター(助川弘之理事長=土浦市長)や同病院の医師などに対して約四千三百九十二万円

の損害賠償を求める訴訟を三十日、水戸地裁土浦支部に起こした。

 この日は、元社長の長男(三十七)と原告の代理人である横田由美子弁護士が午前十時半過ぎ、同

支部を訪れて訴状を提出した。

 提訴後、横田弁護士は「(今回の腹腔鏡下手術は)患者に自己決定権があるのに、(医師が)選択

肢を示さず、手術の危険性などを十分に説明しなかった説明義務違反」と述べた。

  さらに「腹腔鏡下手術をやりたくて、メリット部分を強調したのではないか。最初に“腹腔鏡下手術ありき”という感じがします」

 と語った。また、元社長は「『人工肛門はつけないといったのになぜついているのか』と医師に質問してもただ黙っているだけ。手術

 後は退院するまで一度も検査しなかった」などと同病院のずさんさを指摘した。



2000年6月30日  毎日新聞

 直腸がん切除のため、つくば市にある筑波メディカルセンター病院(中田義隆院長)に入院

した同市内の男性(63)が、「危険性の説明がまったくないまま、試行的な手術を受けた結

果、重度の腹膜炎を起こし、長期入院を強いられたうえ、排便障害などの後遺症が残った」な

どとして、病院を経営する財団法人「筑波メディカルセンター」らを相手取り、総額4400

万円の損害賠償を求める民事訴訟を30日、水戸地裁土浦支部に起こす。

 患者側に対し、十分な説明に基づく同意(インフォームド・コンセント)があったかどうか

が、争点になりそうだ。

 訴状によると被告は同財団のほか、執刀医3人。執刀医の1人は、国立筑波大付属病院の医

師だったため国も被告に加えられた。

  男性は直腸がん切除のため、昨年6月に同病院消化器外科に入院。その際、医師が「人工肛門も付けずに済み、2週間で退院できる」

 などと、腹腔鏡手術のみを勧めたため同意し、6月22日に手術を受けた。終了後、同病院では初めての手術法だと知らされた。

  しかし、患部の縫合が不完全だったことなどから手術後、重度の腹膜炎を起こし、危篤状態に陥った。緊急開腹手術が行われ、患部の

 縫合をやり直し、人工肛門を付けたが、約2週間こん睡状態が続き、その後も院内感染などで長期入院を強いられた。

  腹腔鏡手術は腹部に数個の穴を開け、手術道具と、腹腔鏡と呼ばれる先端にレンズのついた細い管を患部に挿入、映像を見ながら遠隔

 操作で行うもの。

  患者側は「同手術は、胆のう摘出では普及しているが、直腸がん切除ではまだ試行段階とされている。リスクを教えてくれたり、それ

 以外の手術法も提示してくれたら絶対に選ばなかった。何も知らされず、苦しい思いをする患者をこれ以上出したくないので、提訴を決

 めた」と話している。

  これに対し、同財団法人理事長を勤める助川弘之・土浦市長は「インフォームド・コンセントは重視していただけに、患者が十分な情

 報を与えられなかったと感じたのは残念」とコメント。また、同院は「訴訟の中身もまったくわからないのでノーコメント」としている。



2000年7月1日  朝日新聞

  つくば市の筑波メディカルセンター病院で直腸がんの

 切除手術を受けた同市内の男性(六十三)が、「医師か

 ら十分な説明がないまま手術を受け、手術後に後遺症が

 残った」として、三十日、同病院を運営する財団法人筑

 波メディカルセンターなどを相手取り、慰謝料など約四

 千三百九十万円の損害賠償を求める訴えを水戸地裁土浦支部に起こした。

  訴えられたのは、同センターのほか、手術を担当した医師三人。うち一人は筑波大付属病院の医師だったことから、国も被告に

 加えられた。

  訴状によると、原告の男性は昨年六月、同センター病院で腹腔鏡を使った直腸がんの手術を受けたが、翌日から容態が悪化仕手

 腹膜炎を起こし、緊急に開腹手術を受けたところ、結腸にがんの手術中にできたと見られる穴が見つかった。この際、人工こうも

 んをつけられたうえ、七月になって院内感染もしたという。

  腹腔鏡手術は腹部に数カ所の穴をあけ、腹腔鏡と器具を差し込んで操作する。

  男性は、医師から具体的な方法や危険性について説明されず、一方的に手術を勧められたうえ、手術後に同病院では初めての手

 術法だったことをしらされた、などと主張。「十分な説明がされていれば、腹腔鏡手術に同意しなかった」とし、医師の説明義務

 違反が、必要以上の入院と後遺症を生じさせた、と訴えている。

  病院側は「患者のプライバシーに関する問題もあり、現時点ではコメントできない。訴状の内容を見たうえで、問題点を整理し

 て対応したい」としている。

  男性は、転院した同市内の別の病院で昨年十二月、人工こうもんの閉鎖手術を受け、今年一月に退院したが、現在も排便障害が

 あり、二週間に一回ほど通院しているという。


2000年7月1日  東京新聞

 危険性の説明なしに手術を受け、危篤状態となり後遺症が残ったとして、つくば市の男性

(六十三)が国、同市の財団法人「筑波メディカルセンター」(理事長・助川弘之土浦市長)

らを相手取り、約四千四百万円の損害賠償を求める民事訴訟を三十日、水戸地裁土浦支部に

起こした。

 訴状などによると、男性は直腸がん手術のため昨年六月、同センターが経営する筑波メデ

ィカルセンター病院(中田義隆院長)に入院。最先端の腹腔鏡手術なら人工こう門も不要で、

二週間で退院できると医師から勧められ、腹腔鏡手術を受けた。

 手術後、重度の腹膜炎を起こし危篤状態となり結局、開腹手術を行い、人工こう門をつけ

 ることになった。その後も7ヶ月の入院を強いられ、後遺症が残った。

  男性は「(同病院が)直腸がんで腹腔鏡手術をしたのは私が最初と、手術後に執刀医に云われた。事前に説明がないのはおかしい。

 また長期入院したため、仕事がなくなったことへの賠償も求めている」という。

  同センター理事長の助川弘之土浦市長は「訴状を見ていないのでコメントを差し控えたい」としている。



2000年7月1日  読売新聞

 筑波メディカルセンター病院(つくば市天久保)で直腸がんの治療を受

けたつくば市の男性(63)が、手術ミスにより長期入院のうえ後遺症を

負ったとして、同病院を運営する財団と担当医師三人に慰謝料など総額約

四千四百万円の損害賠償を求める訴訟を三十日、水戸地裁土浦支部に起こ

した。

  訴状によると男性は一九九九年六月、直腸がんの手術を受けたが、縫合ミスにより一時危篤状態に陥り、傷口からMRSA(メチシ

 リン耐性黄色ブドウ球菌)に感染したため、約二ヶ月間入院した。退院後も、ひんぱんに便意をもよおす排便障害が残った。同院は

 「訴状の内容を見てないのでコメントできない」としている。