1)絶対に感情的になってはいけない


 医師も人の子ですから、ミスや失敗をした自覚はあるでしょう。

 過失を正直に認めて、謝罪や賠償の意志をみせてくるのなら問題は複雑にはなりません。

 しかし、今回の私達のようなケースになった場合、怒りや提訴の姿勢をみせると逆効果になります。

 医師が自分の過失を誤魔化そうとする時は、患者や家族の言動に非常に敏感になります。

 「訴えてやる!」は禁句です。医師の言葉に集中してメモや録音などで記録しましょう。

 怒りはごもっともですが、ここは「忍」の一字です。


 最近、弁護士もパソコンを活用することが多いので、何か変わったことが起きるたびにメールで

 報告することも良いと思います。メールには発信記録が残りますので日付けや時間も忘れません。

 私が弁護士さんに送信したメールをプリントアウトしたら、本が一冊できるくらいになっていました。



 2)各都道府県にある弁護士会に相談しましょう


 電話帳などで弁護士を見つける方法もありますが、医療過誤などに関しては、非常に専門的な知識を必要

 とする問題なので、弁護士会の法律相談を利用して医療問題に強い弁護士を紹介してもらいましょう。

 相談料は30分で5000円と決まっています。

 「医療過誤では?」と判断したら、速やかに行動を開始してください。

 相談時はきっと言いたい事だらけで、いくら時間をかけても弁護士に状況や要点が伝わらない可能性もあり

 ますので、文書にまとめて弁護士に手渡す方法がとても有効です。

 弁護士すべてが医療問題に強いとは限りません。

 専門知識も必要ですので、弁護士選びは特に留意してください。

 東京弁護士会の有志で組織する医療問題弁護団は、常時医療問題に精通する200名ほどの弁護士が登録して

 いますので、相談や委任をするなら遠回りをしないで済むはずです。



 3)間違っても医師会に苦情を云わない


 医師会は、病院や医師の味方であって、医療被害に遭った患者の味方ではありません。

 苦情を云ってしまったがために、貴重な証拠を失わないとも限りません。

 この場面では、敵に塩を送るような行為は避けてください。



4)弁護士にカルテ等の証拠保全を依頼する


 患者の死亡や退院などで診療行為が終了したら、即座に証拠保全手続きに入りましょう。

 その時点で、適任の弁護士と契約できていなくても、どの弁護士でも証拠保全のみの依頼をすることが

 できます。


 証拠保全に必要な着手金は、およそ30万円くらい。それに加えて、カルテやレントゲンを複写してくれる

 カメラマンが同行しますので、その費用と実費がかかります。

 資料の多さにも左右されますが、私の件では約25万円ほどかかりました。

 医療過誤では、カルテの改ざんや証拠の隠滅の危険が大きいので、出来るだけ早く押さえてください。



5)証拠保全した資料の分析を依頼します


 カルテは、「読みづらい文字」「医学用語」「英語」「ドイツ語」「ラテン語」の品評会です。

 素人で手におえる物ではありません。

 弁護士に依頼して、カルテを分析してくださる医師を探しましょう。



6)過失が明確なら加害者側と交渉に入ります


 証拠保全さえ済んでいれば、後は弁護士の腕の見せ所です。大船に乗ったつもりで構いません。

 ここで、賠償金や示談金、和解金などの手続きになるのですが、交渉が決裂した場合に訴訟手続きへと

 進むことになります。

 ちなみに私達は、金銭の交渉などする気が毛頭なかったので、この部分を飛ばして奇襲的に提訴をして

 しまいました。新聞記者によると病院は蜂の巣を突ついたような大騒ぎだったそうです。



7)加害者側の過失が悪質な場合は刑事告訴


 「業務上過失致死」や「業務上過失致傷」に該当する悪質なケースでは、刑事告訴をする方法もあります

 民事訴訟と平行して進めることも出来るので、弁護士と十分相談してください。

 所轄の警察に、告訴状や被害届を提出するのはあまりお勧めしません。

 警察署の刑事課は、何だかんだ云っては告訴状の受理を渋るものです。腹がたつだけなので却下。



8)弁護士に刑事告訴状を作製してもらい地方検察庁へ


 個人が口頭で被害を訴えても無理です。「所轄の警察署へ」と云われるだけです。

 個人が被害を訴える場合は、弁護士が刑事告訴状を作製して初めて可能になります。

 この方法ならスムースに刑事手続きに進むことができるでしょう。

 もし弁護士が「刑事告訴には馴染まない」と判断したら、その判断を優先するべきです。



 今回のこのケースでは、病院側に内容証明郵便で「通告書」を送達しましたので、九月七日を期日にして

 水戸地方検察庁に刑事告訴の手続きをすることに致しました。

 あのメチャクチャな「答弁書」を読んで、刑事告訴の決心を固めました。



 そして何よりも、「人間は失敗を犯すもの」と思って対処しなければならないのかも知れません。

 外来で診療を受ける時点で、テープレコーダーを準備して医師との会話や説明を克明に記録します。

 後になって「云った」「云わない」の問題が必ず起こってくるからです。

 悲しいことに、過誤を隠ぺいしようとする医師は必ず虚偽の発言をします。

 こんな一部の医師のために、医療全体を疑わなければならないのは非常に残念なことです。

 しかし、最近になって多くの医療ミス・医療過誤が発覚しても、これらは氷山の一角に過ぎません。

 次の被害者は自分かも知れない・・・これが今の日本の医療の現実なのです。


9)治療を受ける前に、自らの病気のことを学習しましょう


 (お任せ医療)=(ミス隠ぺいの温床)の可能性もある。となることをお忘れなく。

 「本にも載っている有名な病院だから」「設備の整っている大きな病院だから」だけではダメ。

 医療を選択する権利は患者にあるのですから、無知なままロシアンルーレットをしてはいけない。

 悪い医者は、医療知識がなく無防備な患者が現れるのを虎視眈々と待っているんです。

 専門知識に触れる機会がなかった昔と違い、現在ではキーワード検索をすれば万単位もの情報を入手

 することが可能ですから、インターネットを有効に活用して(賢い患者)になってください。

 医師の説明の揚げ足をとる患者になれと申しているわけではありません。

 医師の伝えたい情報を、受け手の患者が理解できる知識を持つことこそ信頼関係を築く第一歩です。


 ある程度の知識をもって治療に臨む患者に対しては、医療者側も緊張感をもって対応するでしょう。

 知識のある患者なら、きっと目の前にいる医師の優劣も判断できるのではないかと思います。

 調子の良いことばかり並べる医師、セカンドオピニオンを嫌がる医師、高圧的な医師もいれば、誠実な

 で親身に対応してくれる医師、十分に納得できる説明をしてくれる医師もいます。

 自分の命を賭けた闘いのパートナーが医療者ですから、共に闘う価値のあるパートナーを選びましょう。