出血発症のもやもや病の自然史



熊本大学のグループから出血で発症したもやもや病患者さんの手術をしない自然経過の報告がありました.そのまとめを報告します.(以下、日本語は私の訳です).


Morioka M, Hamada J, Todaka T, Yano S, Lai Y, Ushio Y: High-risk age for rebleeding in patients with hemorrhagic moyamoya disease: long-term follow-up study. Neurosurgery 52:1049-1055, 2003

(出血で発症したもやもや病患者の再出血を起こしやすい年齢について:長期経過観察)


目的:再出血の予防は、出血発症のもやもや病の治療において最も重要なことの一つです.しかし、出血発症のもやもや病の自然経過や再出血の特徴はよく分かっていません.

方法:出血発症のもやもや病の自然経過を調べるために1994年から患者さんでバイパス手術治療を行わなかった36人(12人の男性、24人の女性)の長期経過観察の結果を検討しました.その平均観察期間は12.7年で、年齢は2.9-27.0歳でした.

結果:36人のうち22人(61.1%)が再出血しました.29回の再出血がありました.再出血をした患者さんの予後は、再出血をしなかった患者さんの予後よりも悪かった.多くの患者さんで予後の悪い理由は再出血そのものによるものでした.統計的な検討では、再出血は、36歳以上という初回出血年齢が重要な因子でしたが、性別、高血圧、出血の種類、初回出血後の状態は危険因子ではありませんでした.初回出血をその後の再出血の期間はまちまちですが、再出血率や出血の回数は年齢が46から55歳までの間が最も高率・高頻度でした.

結論:出血発症のもやもや病患者さんの予後不良を決定する最も重要な因子は再出血でした.再出血は、年齢と関係が深く、患者さんの年齢が46から55歳に達すると最も高頻度になります.出血発症のもやもや病患者さんは神経学的に良好であっても一生、注意深く経過観察をする必要があると考えます.



解説:出血発症のもやもや病患者さんの再出血は、36歳以下では再出血しにくく(再出血までの期間が長く)、それ以上では再出血しやすく(再出血までの期間が短く)、特に46-55歳では高頻度に再出血することが報告されました.これは、血管吻合の適応を考えるときに、患者さんの年齢を重要な決定因子として考える必要があることを示しています.