子供・成人共通編



Q23 以前,もやもや病に対して手術を受けていますが,ヤコブ病の可能性がありますか?

A23 手術の時に,プリオンに感染したヒト乾燥硬膜が使用されたが問題です.もやもや病に対する手術において,人工硬膜を必要とすることはほとんどありません.この意味で,ヤコブ病の可能性は,ほとんどないと考えてよいと思います.詳しくは,こちらへ

Q24 脳梗塞が起こり,不全片麻痺(手足の麻痺)があります.リハビリテーションをすれば元通りになりますか?

A24 脳梗塞と脳出血を併せて,脳卒中においては,急性期の一番強い麻痺がある時期よりは,慢性期にやや改善することが多いです.しかし,障害の受けた脳組織が,元通りになることはないため,程度の差は症例毎ありますが,片麻痺が残ることが多いです.リハビリテーションは,決して元通りにするために行うのではなく,現在ある障害のもっていかに日常生活をうまくやっていくかということが主眼です.従って,患者さんは残った障害に対して受け入れる(うまく付き合っていく)ことも必要になってきます.(これを障害受容と言います).

Q25 同じもやもや病なのに,何故,脳虚血で発症した場合と,脳出血で発症した場合と,治療が違うのですか?

A25 治療の目的は,再発予防です.つまり脳虚血発症の場合は,将来の脳梗塞の予防が目的で,脳出血発症の場合は,将来の脳出血の予防が目的です.目的が異なるため,治療方法(予防方法)も異なります.例えば,抗血小板薬(アスピリン・バファリンなど)が,脳虚血発症の患者さんに投与される場合はありますが,脳出血発症の患者さんに投与されることはありません.なぜなら,もし再出血した場合,抗血小板剤の作用で出血が止まらない・止まりにくい場合があるからです.

Q26
もやもや病は治りますか?ずっと何年も発作はありません.治ったのでしょうか?

A26 もやもや病は、原因が現在でも不明な日本に多発する疾患です.いろいろな経過をたどることがあるのですが、軽症の脳虚血発作で発症した場合、血管吻合などの治療の有無にかかわらず、発作の回数が減少し、長い間、脳虚血発作がなく、患者さん自身が、もやもや病が治った(治癒した)と勘違いされている場合があります.

もやもや病の症状が出ないことは、良いことなのですが、この病気は、進行性の疾患であり、その治癒はありません.つまり、この病気と長い人生、上手くつきあっていく必要があるということです.特に、もやもや病の発症が子供のときで、本人はあまり病気のことを理解しておらず、また御両親も長い間、症状が出ないために、治ったと思い込んでいる場合があります.

もやもや病の脳血管の狭窄・閉塞は、必ずしも進行するわけではないですが、多くの場合、ゆっくり進行するか(血管撮影で進行が観察されます)、場合によって進行せず、今のままの狭窄や閉塞の状態でいることがあります.血管吻合の手術をしても、正常の脳血管に戻ることはありません.(もちろん、脳血流は改善されますが).この意味で、もやもや病の患者さんは残念ながら、脳神経外科と縁を切ることはできません.上手く、この病気と付き合う必要があるのと、脳神経外科の主治医とは、長い付き合いになるという自覚が必要だと思います.

子供のころに脳虚血で発症し、長い間症状がなく、大人になって、脳出血の呈することもあり、時々、脳神経外科でのMR検査など非侵襲的な検査を行うことをお勧めします.

もやもや病の予後へ


Q27 就職時に、もやもや病のことを、会社にきちんと伝えるべきでしょうか?

A27 もやもや病の患者さんが、就職活動をするとき、自分がもやもや病に罹っていることをきちんと会社に伝えるべきか悩むようです.これに対して、決まった答えはないように思いますが、何人かの若い患者さんの就職活動を主治医としてみていて、個人的な意見ですが思うところがあります.もちろん会社側が、もやもや病のことを理解してくれて、その上で就職できれば、ベストなわけですが、世の中そんなに甘くないような気がします.全く個人的な意見ですが、私の患者さんには、決してもやもや病であることを話さないことを、奨めています.何故かといいますと、この不況の時期に、病気でない人と全く、区別なく対応してくれて、病気に対しても理解してくれる会社などないように思っているからです.私の患者さんは、真面目な患者さんが多く、「病気のことを隠して就職するのはいやだ」ということで、就職活動をした結果、ただ不利になっただけという、ことが多々ありました.それ以来、私は自分の患者さんには、積極的に病気のことについて話すのはやめるように話しています.健常者と共存できる社会は理想ですが、現実とは大きなギャップがあるように考えています.

Q28 もやもや病についての新しい発表や論文を知りたいのですが、どうすればよいのですか?

A28 脳神経外科関連学会での発表、雑誌、厚生労働省の研究班の報告などがあります.詳しくはこちらへ

Q29 飛行機に乗りたいのですが、大丈夫でしょうか?

A29 旅行などで、長時間・短時間、飛行機に乗る場合に、何か問題がないかよく質問を受けます.特に、飛行機に乗りやや気圧が低い状態がもやもや病に良くないという根拠がないこと、また実際に、そのような状況で発作が優位に多くなったということを聞いたこともなく、症状が安定しているのであれば、あまり問題がないように思うとお答えしています.

国際線のほうが国内線よりも高度は高く、高度約10000メートルの成層圏を飛行します.多くの国際線の飛行機内は、海抜6‐8,000フィート(約1,800‐2,400メ ートル)これは富士山の5合目の気圧、つまり地上の70-80%程度の気圧を維持しています.これは、地上よりも空気(酸素分圧)は薄く約70-80%程度ということになります.もやもや病の場合、呼吸器自身には問題がないため、発作がこの条件で優位に誘発されることはないように考えます.また湿度は10-20%と乾燥していること、温度は約22度に設定されていることも地上との条件の違いです.