脳血管撮影の検査手技について




実際の手技

一般には、局所麻酔で行える手技です.子供は全身麻酔で行います.どちらでも可能な場合、局所麻酔の方が侵襲が少ないため、局所麻酔で行います.年齢の分かれ目は、中学生なら局所麻酔で行います.小学生の高学年で聞き分けの良いお子さんは、局所麻酔で行います.


以下、局所麻酔下での、手技について解説します.

検査に先立ち、静脈のルートを確保します.(点滴をとります).子供の場合、麻酔テープを前腕に貼り、点滴の針を入れるときに、腕の点滴をとる部位がすでに麻酔が効いている状態にする病院もあります.

一方または両方の太ももの付け根(鼠径部)を消毒し、穴のあいた清潔な布をかけます.術者は、清潔なガウンを着て手袋を付けます.消毒された鼠径部に局所麻酔薬を5-8 ml 打ちます(浸潤させます).麻酔が効いたら血管シースを大腿動脈に入れる準備をします.これが、入れば次は、血管カテーテルという長さ100 cm の先がいろいろな形に曲げられた管とガイドワイヤーという長さ150 cmのやわらかい針金のようなワイヤーを中に入れて目的とする血管にカテーテルを誘導します.X線を出しながら透視下で、カテーテルとガイドワイヤーの動きを、足元でコントロールするわけです.つまりカテーテルの先は頸部の動脈の中にあり、反対の手元側は、血管シースを介して、体外に出ているわけでここを持って先を動かすわけです.

カテーテルの写真

カテーテルの先端の写真です.太さは左の3本が1mm (3F) で、右の2本が1.3mm (4F)、1.7mm (5F) です.血管の形状に併せてカテーテルの先端形状を選びます.

目的とする血管は、左右の頚動脈、左右の椎骨動脈で、頚動脈は、外頚動脈と内頚動脈を分けて撮影することが一般的です.他に、大動脈弓、腎動脈も我々の病院では撮影します.

撮影が終わると、先ほどの血管シースをそのまま抜き去ります.2 mm前後の穴が開くわけですが、5-10分押さえることによりシールされ出血しません.この後の安静時間は、病院によりまた使うカテーテルの太さによりまちまちですが、我々の病院では、3Fのカテーテルを使えば3時間(場合により2時間),4Fで4時間,5Fで5時間安静で、歩行を可能にしています.吐き気さえなければ、部屋に帰ればすぐに飲水は可能ですし、食事も可能です.(全身麻酔の場合は、数時間待ちます).鼠径部の針を刺した部位は、幅の広いバンソウコウで固定しますが、砂嚢のような重りは不要です.長時間の安静や砂嚢は,肺塞栓などの稀な合併症があり必要ありません.


肘(上腕動脈)や手首(橈骨動脈)経由の脳血管撮影(大腿動脈経由以外の脳血管撮影):一般に,脳血管撮影は,上記のように,足の付け根(鼠径部)から,大腿動脈経由で行われます.もやもや病の場合,脳血管をすべて撮影する必要があり(その方が,情報量が多いため),特に大腿動脈経由で行われることが多いと思います.しかし,右の肘(上腕動脈)経由や手首(橈骨動脈)経由でも脳血管撮影が可能です.この方法の利点は,検査後の安静が不要なこと(穿刺部の圧迫は必要ですが,すぐに,食事をしたり,トイレに行くことも可能です)と,穿刺部位の合併症(動脈瘤の形成や動静脈ろうの形成など)が少ないことです.逆に欠点は,右の肘(上腕動脈経由)の場合,正中神経という神経を損傷する可能性があること,手首(橈骨動脈)経由では血管のレン縮が起こりカテーテルの導入ができない場合があることなどがあげられます.また,大腿動脈経由の脳血管撮影に比較して,少し手技が煩雑になり,頭蓋内の血管と頭蓋外の血管を分けて撮影できなかったり,検査時間が少し長くなるかもしれません.手首(橈骨動脈)経由の場合,橈骨動脈の解剖学的理由から施行できない場合もあります(側副路の形成が悪いなど).


私たちの血管撮影手技について

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