偶然発見された症例や無症状の症例に対する治療方針


兄弟、親子の両者にもやもや病の発生する頻度は10%弱とされていることから、スクリーニングでMR検査が行われる場合があります.主治医が奨める場合もあれば、患者さん自身が望んで検査をすることもあるでしょう.また脳ドックで発見されたり頭部外傷に対する検査時に行われたMR検査で偶然にもやもや病が発見される場合もあります.このような症状のないもやもや病の患者さんに対して治療はどうしたらいいのでしょうか?


この場合、この患者さんが、将来必ずしも、もやもや病の症状を出すともいえないため、その治療方針には決まったものはありません.
現在では、出血発症のもやもや病の症状のある患者さんに対しても、決まった治療方針がなく、血管吻合の有効性を時間をかけて検討されているところです.虚血発症の患者さんは、特に子供の場合は、血管吻合術が有効と信じられていますが、全員が吻合手術を受けているわけでもありません.つまり、症状のあるもやもや病の患者さんに対するきちんとした治療のガイドライン(どの患者さんがどのような治療を受けるべきであるという治療方針)がない現状で、まったく症状のない患者さんに対してのガイドラインはもちろんないわけです.

つまり、無症状の患者さんに対してどのようにしたらいいのか、よく分かっていないと言うことです.実際には、多くの施設でどのように治療されているかというと、吻合術などは行わず、経過観察になっている場合が多いようです.だた、御家族がもやもや病で、その兄弟が偶然にもやもや病と診断された場合、その有効性は証明されていないことを分かっていて血管吻合を行う場合も数は多くはないですがあるようです.

血管吻合などを行うつもりがないのであれば、MR検査以上の、カテーテルによる血管撮影などは僅かですがリスクがあるので、無症状の患者さんには適応はないと思われます.



健康に対する関心の高まりから、脳ドックを受ける方が増えています.当然、その時点では、自分は健康だと信じています.その中で、時々、典型的なもやもや病のMR画像が得られ、どうしたものかと相談を受けることがあります.そんな患者さんの中で、興味ある思い出を語る方かいらっしゃいます.つまり、子供の頃の一時期に、例えば、ラーメンを食べた時、笛を吹いた時、興奮した時、今から考えると、典型的なもやもや病の虚血発作があり、その後、全くなくなったと言うことです.以前、そのような30年以上前にそのような経験をして、その後全く発作がなく、30年経過してもやもや病を診断された3人の患者さんの報告をしたことがあります.

この3人以外にも何人かの患者さんを何の治療もせずに経過を見て今のところ、特の問題なくきています.この先も全く問題ないかどうかは、わかりませんが、無理やり外科的治療を行う根拠もないように考えます.

2006.4.19追記