もやもや病と心臓外科手術




もやもや病患者さんで稀に、高血圧などではない心臓そのものの心臓病を合併することがあります.過去には、狭心症・心筋梗塞・心房中隔欠損症などの報告があります.心臓の栄養血管である冠状動脈の狭窄や閉塞がある場合、多くの場合は、カテーテルによる経皮的な治療(血管内治療)がなされますが、場合によっては、外科的な手術(バイパス手術)が必要になります.この場合、以前は体外循環を用いた侵襲の大きな心臓外科手術が必要でしたが、この5年ほどの心臓外科の手術の進歩により体外循環を使わず(オフ ポンプ手術)、心臓を止めないで、血管吻合が可能となってきました.もやもや病の患者さんの場合、脳循環に関して体外循環は、非常に不利な方法で、できれば侵襲の小さい心臓を動かしたままの血管吻合術が奨められます.その理由は、体外循環を使うと(オン ポンプ手術)、侵襲が大きいことと、どうしても術中の脳の還流圧が低くなり、低血圧による脳虚血の危険性があるのと、仮に脳のバイパス手術(STA-MCA吻合術やEDASなど)を行ってあっても、全身の血圧が低下した場合、脳のバイパスはその役割をはたせないと考えられるからです.また、オン ポンプ手術の場合、拍動流でない定常流であることも脳には不利であると考えられています.


また、冠状動脈の狭窄は、頭蓋内の内頸動脈と同様に動脈硬化ではない内膜の肥厚という病理的な変化が来ている場合と一般の冠状動脈狭窄の病理像である動脈硬化が原因の場合があります.後者では、カテーテルによる経皮的な治療が適応になりますが、前者の場合は適応にならない可能性があります.

体外循環を使用しないオフ ポンプ手術は、1980年代の前半に医療資源の少ないアルゼンチンやブラジルで開発されました.これが、1990年代に入り日本を含め先進国で受け入れられるようになった背景があります.



もやもや病と冠動脈バイパス手術

心房中隔欠損ともやもや病