小・中学校の生徒のもやもや病について



学校での体育について

学童期の患者は、虚血症状で発症することが多いため、血管吻合術が行われるのが一般的です.この手術後で、症状が安定した場合には体育の授業を休ませるほどの運動制限をする必要はありません.しかし吻合術は根本的な手術ではないため、サッカー・柔道・ラグビーなどの激しい運動については無理をしないように言うことがあります.血管吻合部が耳の上あたりにあるのでこの付近の打撲は避けるべきです.脳血管の収縮を起こす過呼吸はよくないと考えられていますが、すべての患者において必ずしも危険とはいえません.長距離走は自分のペースで走らせるのはいいと思います.水泳・サマーキャンプは問題ないでしょう.運動会の組体操では、頭部の打撲がおこらないような配慮が必要です.過度な脱水は脳血流が減少し、脳虚血になりやすくなるため避けるべきです.特に夏場は要注意です.


学校での音楽について

体育と同様に、症状が安定している場合には、過呼吸が問題になることは多くはありません.そのため、楽器に関しても極端に制限する必要はないと思います.しかし笛(リコーダーなど)・ピアニカやハーモニカを吹いたりすることに対してあまり無理をしないようにと言う場合もあります.他の楽器に変更を奨めることもあります.


成績と病気の関係

まったくもやもや病の影響のない子供もいれば、小さい頃(特に5歳以下)に発症し、脳梗塞があるために学習障害がある子供もいます.


通院・検査について

症状が安定している場合、休みごとの外来通院、つまり年に2-3回でいいでしょう.MRI検査も一年に一回程度でよいかと思います.もやもや病は、治癒することはありません.そのため、「もう治癒して病院と縁が切れる」ということはないので、病院への通院は続きます.


泣くことによる虚血発作について

手術前の場合、大泣きして脳梗塞になる場合があります.早期に血管吻合術が奨められます.しかし、術後で症状が安定した場合にはそれが問題になることはあまりありませんが、大泣きするのはよくないと思います.一方、虚血発作を極端に恐れるため、両親が過剰に反応して、なんでも子供の言いなりのような状況も経験します.術後であれば、少々の大泣きでも気にしないで、普通に接するのがよいと思います.


頭痛について

頭痛をよく訴える子供がいます.その原因はよくわかっていませんが、起床時や午前中に多く、頭痛のため遅刻や早退をしたり、保健室の世話になったりすることがあります.睡眠をよくとると軽快する場合がありますが、鎮痛薬は効かないことが多いです.病気そのものの症状としての頭痛もありますが、学校でいろいろな形での「いじめ」がある場合や、家庭であまりにも子供の行動に細かく指示している場合などに、これらがストレスとなって、いろいろな形で子供に影響が出る場合があります.頭痛もこうしたストレスと関係が深いように思います.


養護学級と普通学級について

ノーマライゼーションの時代であり、可能であれば健常な子供と一緒に勉強・生活するのがいいと思います.個々の子供の状況を考えて、両親と学校が相談して決めることがよいと思います.主治医に相談するのもいいと思います.就学前の子供の場合、就学直前ではなく、少し前から安心して就学できるように学校と相談するのがいいでしょう.また、学校側も、「非常に危険な子供」を預かるといった誤解を避けるべきだと思います.


病気の原因

もやもや病の子供を持った両親は、「しかりすぎたせいだろうか」、「塾に無理やり行かせたせいだろうか」などと考える方がおられますが、そのようなことは決してありません.先にも書きましたように原因は不明とされていますが、現在では、いくつかの遺伝子で規定された遺伝的要素が背景にあり、何らかの後天的な要因が加わって発病するものと考えられています.


小児のもやもや病 (文献紹介)