インフォームド・コンセント
もやもや病の診断・治療に限らず、現在ではインフォームド・コンセントという概念が、一般化しています. この理念に基づいて医療行為がなされるべきです.日本において、インフォームド・コンセントは1989年日本医師会の生命倫理懇談会の報告書で「説明と同意」 と訳されました.十分な説明と強制のない同意という意味で、「説明・納得(理解)・同意」などとも訳されています.インフォームド・コンセントは、 患者さんの人権を尊重し、医師と患者間の信頼関係を築くことを目標とされています.そのために、医師には十分な「説明(告知)義務」があり、患者さんには治療の 「自己決定権」が認められています.
インフォームド・コンセントでは、具体的には、(1) 医師は患者さんに診断、検査、治療について十分な正しい情報を提供し、(2) 患者さんが、これらについて、十分に理解・納得し、(3) 検査や治療について、自由な意志のもとで同意する、というプロセスが踏まれます.
医師の十分な情報提供(説明義務)
情報開示とも言える患者さんに対する医師の説明には、診断(目的、方法、期間)とそれ に伴う危険性、診断名と病状(現症状とその原因)、治療(目的、方法、期間)とそれに伴う危険性と予後(改善の見込みとその程度)、代替え治療法の可能性とそれ に伴う危険性と予後、治療を行わなかったときの予後が含まれます.特に、危険性に関しては具体的な説明が必要です.これらは、文書交付によってなされるべきであり、 場合によっては、 文献の提示や具体的なデータの提示があるべきです.説明には、家族、複数の医師、看護婦の立会があった方がよい場合があります.
患者さんの十分な理解納得
容易に疑問点を聞ける雰囲気のもとで、平易な言葉で患者さんが、納得するまで説明してもらうべ きです.特に、副作用、合併症についての説明は、頻度が低いとしても重要であり、他の治療法との比較についても具体的に説明聞く必要があります.緊急でないかぎり、十分な 考慮期間を取り、場合によっては、セカンド・オピニオンの場を提供してもらいましょう.一度の説明で不十分な時は、説明をくり返してもらいます.
患者さんの自由意志のもとでの同意(自己決定権)
どのような医療を受けるか受けないかの決定権は、患者さん自身にあり、 憲法の基本的人権として認められています.また文書による同意の確認が必要です.患者さんの同意があれば、いかなる治療も認められると言うわけではなく、「先進的医療」 や「実験的医療」も含め一般に受け入れられていない治療は、少なくとも各施設における倫理委員会の承認を得る必要があると思います.医学的に承認された治療でなけ れば正当行為とはなりません.
このページは水野 肇、森岡恭彦の本を参考にしました.