恋人たちのもやもや病



もやもや病は、日本に多い.そして男女比は1:1.8と女性に多い.子供は脳虚 血で発症し、その予後(病気がこれからどうなって行くか;再発などを含めて) は悪くない.ということで、小さい頃にこの病気になり、成人し、そして結婚 し、子供を欲しいと考えている女性も多くいると思います.なかなか子供が出 来ず人工授精を何回も試みた女性患者さんもいました.そのような患者さんを 受け持ったことから「もやもや病と妊娠」をテーマに、過去のデータを調べ、 自分たちの経験を、論文やホームページで報告してきました.

この女性の妊娠と出産の問題の前に、「結婚」や「セックス」そのものに対す る不安・心配が多くあることに、最近になって気付きました.この問題は、脳 神経外科の医師が、もやもや病の患者さんを外来診察しているだけでは、その 深刻度は分からないような気がします.


最近いただいたメールで、気になる内容のものが2通ありました.

一通は、「恋人」が、もやもや病と最近診断され、不安で落ち込んでいて、ま た私とも距離を置こうとして、連絡が取れなくなった、といった内容でした.

もう一通は、「友達」が昔、もやもや病と診断され、今では元気で何の障害も ないのですが、その友達は将来、病気の再発はないのでしょうか? といった 内容でした.ここからは、私の推測ですが、この「友達」は、恐らく「恋人」 のような気がします.今まで、気が付かなかったですが、このような聞き方を されたメールが、過去には随分あったように思います.

不安や心配の原因は、情報が少ないことが原因です.もやもや病の患者さんを たくさん診ている者にとっても、ある患者さんが、実際、近い将来・遠い将来 どうなっていくかは、よく分かりません.つまり、医師にとっても、分からな いことが多いわけですから、ましてや、突然もやもや病と関わりを持った「恋 人たち」は、どうしていいか分からなくなるのは、当然かもしれません.

一般論では、子供の頃に、脳虚血で発症し、大きな脳梗塞にならずに、元気な 患者さんは、多くは、元気に普通の生活をしておられます.その中で、脳虚血 の再発や脳出血を起こす患者さんが、僅かですがいることも事実です.また、 脳出血で発症した患者さんは、再出血が起こることがあり、この場合の予後は 不良です.このような一般論の情報だけでは、このまま恋人同士のお付き合い を続けていいのか、やめたほうがいいのだろうか、などと悩まれるようです.

この点に関して、医師からのアドバイスは、特にありません.分かっている少 ない情報のもとで、どうするかは、個人個人の人生観によって異なってくると 思います.


2005.8.20記