中大脳動脈閉塞・狭窄症と「もやもや病」




大脳半球の多くの部分を栄養する中大脳動脈が閉塞・狭窄する病気・病態があります.多くの場合、動脈硬化が背景にあることが多いのですが、臨床的に全くそのような高血圧・糖尿病・高脂血症などの合併がない30―40歳台の患者さんがいます.時には、20歳台の患者さんもいます.何故か、大きな脳梗塞といった症状を出さずに、偶然発見されたり、軽い一過性脳虚血発作で診断されることもあります.片側のみにこのような病変がある患者さんだけでなく、両側にそのような病変がある患者さんもいます.このような病態では、正常に存在する細い動脈(穿通枝)に変化がない場合もあれば、拡張する場合もあります.

ここで問題は、もやもや病との鑑別です.子供のもやもや病の場合、「もやもや血管」は多くの場合、著明ですが、大人の場合、殆どない場合や僅かしか認められない場合もあります.中大脳動脈閉塞・狭窄症ともやもや病は一見、全く別疾患のように思われますが、臨床上、中大脳動脈閉塞・狭窄症であって、もやもや病ではないと断定し難い場合があります.これは、もやもや病自身の定義の曖昧さも一因です.実際のところ、背景にある病態には共通するものがあるかもしれません.もやもや病患者の実数よりももやもや病の認定患者が多い一因に中大脳動脈閉塞・狭窄症の患者さんももやもや病として認定されていることがあると思います.特に、成人の一側のみの病態では、もやもや病の疑診と一側の中大脳動脈閉塞・狭窄症の鑑別は困難であり、もしかすると一連の病態かもしれません.

「もやもや血管」という特別な血管がもやもや病だけに認められるのではありません.だれもがある正常の穿通動脈が拡張した状態を、脳血管撮影でもやもやして見えるため「もやもや血管」と呼んでいるのであって、他の閉塞性の病態でももやもや血管(または、もやもや血管に似た血管)が認められます.つまり、もやもや病以外でももやもや血管が認められる場合があり、このような場合には、「もやもや現象」などと呼んだりします.


2003 9 15記