Willis動脈輪閉塞症 (もやもや病):病名について
いまだ病名すら定まっていない1976年の牧 豊氏の論文から当時の様子をうかがってみました.
この時期には、Willis動脈輪閉塞症 (もやもや病)なる疾患概念が形成される時期で、しかし過去に報告、病名がないため、当時の脳神経外科医は、自分の気に入った、自分の考えた病名をつけるべく発表を続けた時期でもありました.
当時使われていた病名のリストです.
A) 臨床症状に着目したもの
1. 脳血管不全症
B) 動脈性閉塞に着目したもの
2. 特発性ウィリス動脈輪閉塞症
3. 頭蓋内内頚動脈閉塞症
4. Multiple progressive intracranial arterial occlusion
5. Progressive cerebral arterial occlusive disease
C) 異常血管網に着目したもの
6. 脳底部異常血管網症
7. 頭蓋内異常血管網症
8. Cerebral juxa basal telangiectasia
9. Moyamoya disease, Moyamoya syndrome
10. Cerebral arterial rate
11. Anterior arterial angiomatous malformation of carotid artery
12. Intracranial rete mirabile vascularity
D) 閉塞(ないし狭窄)と異常血管網の両者に着目したもの
13. Basal vascular occlusion with telangiectasia
14. Hypoplasia of the internal carotid artery associated with cerebral pseudoangiomatosis
15. Intracranial collateral circulation via leptomeningeal and rate mirabile anastomosis
E) その他
16. Japanese cerebrovascular disease
17. Nishimoto's disease
18. Nishimoto-Takeuchi-Kudo disease
当時のこの疾患に関心のある医師306名に病名に関してアンケート調査が行なわれています.
病名統一に関して
原因不明の折柄まだその時期にあらず
もう統一したほうがよい
ほっておいても決まる、否、決まっている
もし選ぶとしたら
B) 動脈性閉塞に着目したもの
2. 特発性ウィリス動脈輪閉塞症
C) 異常血管網に着目したもの
6. 脳底部異常血管網症、7. 頭蓋内異常血管網症
9. Moyamoya disease, Moyamoya syndrome
D) 閉塞(ないし狭窄)と異常血管網の両者に着目したもの
13. Basal vascular occlusion with telangiectasia
16%
71%
12%
15%
13%
68%
34%
26%
15%
10%
この後、徐々にもやもや病という病名が一般化していく.
この「もやもや」という言葉には、
1.単純である.
2.ユーモラスである.
3.モヤモヤには原因不明という意味もある.
4.すでに国際的に通っている.
などの評価がされている.
文献: 牧 豊:本症を何と呼ぶべきか? 脳神経外科 4:242-251, 1976
(2004年1月15日記)