小児もやもや病の周術期(術前術後)の管理

もやもや病の子供の患者さんの手術で、問題になのは周術期の虚血発作です.せっかく手術が成功したのに術後に、脳梗塞になってしまうことがあります.この脳梗塞は、痛み、不安などが原因で、泣くことによっておこります.この合併症を防ぐために、各施設でいろいろと工夫がされています.

Nomuraらの最近の報告を中心に、泣くことによる脳梗塞を予防する工夫を紹介します.


静脈のライン(点滴)をとる時は、経口の鎮静剤を使います.(セルシン、ラボナの使用).
画像診断(MRI, CT)の時には、静脈注射で鎮静します.(ホリゾン、ドルミカム、デプリバン、ラボナール)の使用.
手術が終わった直後から、鎮静と鎮痛を開始します.(ペンタジン、ホリゾンの使用).

手術の傷は、吸収される糸を使って埋没縫合します(この糸は、抜糸の必要なし).創やさらの清潔なテープでしっかり留めます.このテープは、あとで剥がし易いように、端を少しだけ折り返しておきます.

手術後に、短時間必要なドレーンを入れたときは、この創を縫う縫合糸を、手術の時にドレーン近傍の皮膚に通しておきます.こうすることにより、術後に、痛みなくドレーン部の創縫合が可能です.

ガーゼやテープをとる時の痛みを減らす目的で、ソフラチュールというパラフィンのついたガーゼを使用します.

点滴をとるときなど、針を刺す部位の痛みを和らげる目的で麻酔薬を含んだテープ(ペンレス)を、処置の30分前に貼っておきます.
手術後に静脈のラインが必要なことが多いのですが、手術時に、全身麻酔下で中心静脈のラインをとっておく.こうすれば、術後1週間は点滴をいちいち針を刺さずに出来ます.

以上が、Nomuraらのプロトコールです.上記の処置がすべての患者さんに必要と言うわけではありませんが、臨機応変に対応する必要があります.なんと言っても一番大事なのは、患者と医療スタッフの信頼関係でしょう.さらに術後の抗生物質は、だんだん投与をしない時代になってきたので、点滴も早期に必要がなくなってきています.ガーゼの交換も必要がなくなってきています.

いずれにせよ、小児もやもや病の管理において各施設で、虚血の合併症を減らすための努力がなされているようです.