女性もやもや病患者さんの妊娠・出産時の脳出血について



現在まで、もやもや病の女性患者さんの妊娠・出産の危険性に関して、過去のデータから、子供の頃に診断されている患者さんの場合は、手術を受けているかどうかに関係なく、あまりリスクは高くはないと考えていました.実際、そのような症例報告はあまりなく、逆に妊娠中に出血で発症し初めてもやもや病と診断される場合は予後が不良な患者さんが多いとされていました.

しかし、もやもや病が過去に診断されている女性患者さんで、妊娠に進んだ場合に出血した症例が私の知る限り以下の3例があります.つまり、やはり妊娠にはある程度リスクを覚悟する必要があるように思います.


予後不良な症例のまとめ


症例1:

23歳の患者さん.10歳児にもやもや病と診断され,妊娠30 週で両側の脳室内出血を起こしました.この患者さんの子供は正常に生まれましたが,患者さんは高度の意識障害が残りました.
(島本ら、1994)

症例2:

イギリスの症例で、その医療過誤裁判に私が関与しました.症例報告はされていません.20歳代の女性が、妊娠し自然分娩に進みましたが、分娩の第一期に脳内出血を起こしました.緊急で帝王切開が行われ、子供は無事出産しましたが、患者さんは不幸にも死亡しました.この患者さんは、小さいころの虚血発症で、もやもや病の診断は脳血管撮影もされており確診例です.手術治療は受けていません.その後、妊娠まで何年ももやもや病の症状はありませんでした.妊娠中の血圧はほぼ正常でした.
脳死判定され、人工呼吸器がはずされ死亡し、心臓など臓器移植されました.裁判について.

症例3:

この症例は、虚血で発症し、発症年齢の記載はありませんが、明らかに小児期であり、その1年以内に両側のEDASを行っています(間接血管吻合).発症から20年目、血行再建から19年目に脳室内出血しました.妊娠30週で脳室内出血で死亡しました.(中川ら、2003)


2003.6.15