「もやもや病」のMR診断における造影検査の有用性



脳血管撮影がもやもや病の診断・治療で重要であることは間違いありません.しかし、脳血管撮影自身にリスクがあることも事実で す.私たちの病院でのそのリスクは、永続性の神経合併症は、0.8%で、一過性のものは2.0%ありました.これは、決して高い合併症率ではあ りません.もやもや病の子供さんの場合、全身麻酔を必要とし、そのリスクは決して低いとはいえないので、必要最小限にカテーテルによる血管撮影を行い、他はMRI, MRAで代用するのがいいと考えています.

脳血管撮影の目的は、もやもや病の診断そのものと手術の効果判定や病状の進行具合を見ることにあります.もやもや病の診断で、MRI,  MRAは非常に有用でありますが、MRIであまり造影剤を使った検査は行われてきませんでした.造影剤(ガドリニウム剤)を投与すると、脳虚 血の高度な部位で、その脳表が、あたかもツタが這ったように造影されることが知られており、ivy signと言われてます.

この脳表の造影効果 ivy sign は、虚血の程度が高度なほどよく現れ、また有効な血管吻合がなされると、その造影効果が減少するため、 わざわざカテーテルによる脳血管撮影をしなくてもある程度、吻合術の有効性が検査できることが分かりました.脳血流そのものを検査するのであれば、SPECT, PETによる脳血流検査が有用ですが、この造影効果も間接的に脳血流を表しているようです.


参考文献

1. Komiyama M, Yamanaka K, Nishikawa M, Izumi T: Prospective analysis of complications of catheter cerebral angiography in the digital subtraction angiography and magnetic resonance era. Neurol Med Chir (Tokyo) 38: 534-540, 1998 [abstract]

2. Komiyama M, Nakajima H, Nishikawa M, Yasui T, Kitano S, Sakamoto H: Leptomeningeal contrast enhancement in moyamoya: its potential role in the postoperative assessment of circulation through the bypass. Neuroradiology 43: 17-23, 2001 [abstract]