もやもや病の病期
もやもや病の病期は1期から6期に分類されています.これはSuzukiらにより分類されました.
1期:Carotid fork狭小期
Carotid fork(頭蓋内の内頚動脈の末梢部)が狭小化しているだけで、他に何の変化もない時期.
もやもや病の第1病期の患者さんの治療
2期:もやもや初発期 (脳内主幹動脈拡張)
Carotid forkは、狭小というよりむしろ太いながら不明瞭となり、脳内主幹動脈はいずれも拡張し、太くなり、もやもや血管がcarotid fork部のみに、わずかに認められている時期.
3期:もやもや増勢期 (中および前大脳動脈脱落)
明らかな脳底部のもやもや血管が認められるようになり、このもやもや血管の一本一本は、かなり太くはっきりしたものである.中大脳動脈や前大脳動脈などの 脳内主幹動脈に欠損変化が見られ始める.また外頚動脈系より脳内へ側副路と思われる血管像が見られるようになる.
3期の細分化について
4期:もやもや細微期 (後大脳動脈脱落)
内頚動脈の閉塞部が後交通動脈分岐部まで波及して、ついに後大脳動脈が描出されなくなる.前あるいは中大脳動脈は、この時期になってもきわめてわずかながら、 あるいは全く変化した形でもやもや血管からそれをたどることが出来る.また、もやもや血管はこの時期になると疎になり、それを構成する血管も細小化し、 貧弱な網状になって脳底部に集約されてくる.
5期:もやもや縮小期 (内頚動脈系脳主幹動脈消失)
内頚動脈系全脳主幹動脈はほとんど消失し、4期よりももやもや血管の細微化の傾向もさらに進み貧弱になる.内頚動脈はさらに下方まで閉塞が進み、C2あるいはC3 (後交通動脈や眼動脈分岐部)上方まで完全に閉塞を示すようになる.外頚動脈からの側副路はさらに増加の傾向をたどる.
6期:もやもや消失期 (外頚動脈および椎骨動脈よりのみの血行保全)
内頚動脈サイフォン部(眼動脈よりも近位部まで)がまったく消失、脳底部のもやもや血管はほぼ完全に消失.外頚動脈のみからの側副路だけが脳内に入っている像がみられる. この時期では、内頚動脈からの脳血流は全くなくなり、外頚動脈系あるいは椎骨動脈系からのみによって、脳血流が保全される状態となる.
この分類にもいろいろ問題があります.それは、多くの症例が3-5期に分類され、特に3期が多く、1期や6期が少ないこと、また、臨床症状とこの病期が あまり関係がないことが挙げられます.確かに、血管撮影上は、1期から6期の方へ進行するようなのですが、3期の方が6期より軽いかというとそうではありません. 血管撮影上の閉塞・狭窄の度合いの目安と考えています.また、1期や6期ではもやもや血管は血管撮影上で認められないため、もやもや病の定義から言うと、 もやもや病でないという矛盾が出てきます.2期の血管拡張が本当に認められるのかも疑問です.こんなことは、患者さんに関係のないことなのですが、 この病気の病態の解析や統計をとる上で重要なのですが、曖昧のままで今日に至っています.
病期の進行は、子供の症例では、良く認められますが、成人の症例では少ないです.この分類は、脳神経外科医にとっても難解である上、主観に頼りすぎ、 どの症例もぴったりとある病期に当てはまることが少なく、無理やりどこかの病期に分類するような感じです.