Treatment of moyamoya disease with STA-MCA anastomosis (STA-MCA 血管吻合によるもやもや病の治療)
Karasawa J, Kikuchi H, Furuse S, Kawamura J, Sakaki T: Department of Neursurgery, National Cardio-vascular Center, Department of Neurology, Shizuoka Rousai Hospital, Division of Neurosurery, Nara Medical University
J Neurosurgery 49:679-688, 1978
まとめ:もやもや病は有効な血療法がない原因不明の慢性の脳血管の閉塞性病変である.著者らは13人のもやもや病患者と4人の非典型的な患者に対して23のSTA-MCA吻合術と7のEMSを施行した.10人の小児の症例と7人の大人の症例があった.観察期間は手術後1年4ヶ月から4年1ヶ月であった.結果は9例が非常に良好,5例が良好,1例が満足でき,2例が変化なしであった.この吻合術は,一過性脳虚血発作,可逆的虚血性発作,さらに症状の重くない脳梗塞に対しても有効であった.STA-MCA吻合術はもやもや病に対して有効であると考えられた.
解説:この1978年(昭和53年)の論文は,当時脳神経外科の領域で顕微鏡下の手術が普及して来た頃に発表された.また,CTスキャンが日本に導入された時期でもありました.もやもや病に対して決め手の手術がない時期に発表された唐沢・菊池らの論文で,今でも最も信頼のおける治療法として多くの小児・成人のもやもや病に対して行われている手術方法です.本文中で側頭筋を脳表におくEMSの手術(間接吻合の一種)を初期は併せて行っていたが,やがてSTA-MCA吻合だけで十分であり,EMSは併用しなくなったという記載がありました.また,吻合は,症例の必要に応じて1ヶ所ではなく,2ヶ所,3ヶ所行ったようです.今では良く知られたことですが,STA-MCA吻合後,もやもや血管は少なくなる傾向があると報告されています.結論にあるように,一過性脳虚血発作,可逆的虚血性発作などには有効ですが,完成した神経障害や知的障害にはあまり効果がないとしています.今でも,何故,不随運動が起こるかよく分かっていませんが,著者らは基底核(脳深部の灰白質)の虚血が関与していると推察しています.