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例の9月11日に起きたアタックから、半月くらいしてこの連載は始まった。コラムの媒体は首相のチキンハート、もといライオンハートと同じくメールマガジンで、原則としては申込をした読者に随時無料で配信される形を取る。しかしながら池澤夏樹の公式ホームページにも、朝日新聞社のホームページにもバックナンバーが掲載されている。これにより読者は特に申込をしなくてもWEB上で全く同じ文章を読むことができる。
この本は、メールマガジンのコラム51本分(2001年9月24日〜11月17日)と読者の返信、その返信に対するコメントまで取りまとめて一冊の本に仕上げてある。このごろインターネットがらみの本ばかり紹介していて我ながら嫌にもなるが(問題はWEB上にしかネタを求められない出版業界の貧しさにある気もする…と、とりあえず責任転嫁してみる)、誰もがインターネットに触れ得る環境にあるわけではない以上、本という媒体で多くの人の目に触れるようになるのはいいことだと思っている。
コラムにはそんなに特殊なことが書いてあるわけではない。私たちと同じように一般メディアから情報を仕入れ、それを自分なりに消化したうえで思うところを述べているだけである。文面からは著者がニュース画面や新聞記事を慎重に検討する姿勢がうかがわれ、同時に読者にも自分自身で考えることを否応なく求めてくる。「結局のところ人間はこういう形でしか新世紀に入ることができなかった」という冒頭の一文が殊に心にしみる。
著者は「月刊誌はもちろん、週刊誌にもコメントが間に合わない」という理由でインターネットを使って発信することを選んだ。同時性という特徴を活かした選択である。これにより著者は、発表した時点での事実誤認や勘違いなどを、その都度修正しながら発信し続けることができた。更にインターネットは双方向性という特徴をも併せ持つ。読者が寄せる共感や反論なども無視することなく、これらも記事の内容に発展させて発信は今も続いている。間に編集者が入らずに、直接やりとりのできる場で発信することにより、池澤夏樹の誠実さが浮き彫りになった気がする。
とりあえず一読の価値はあろうかと。
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