2002/11/23
朝7時の新幹線で、ぶーんと岡山まで走っていって、9時くらいの快速「マリンライナー」で高松までぶーんと走っていく。外はいい天気で、沿線にある看板には「四国名物 かまど」という文字が見える。四国とひとくちに言うても、広うございまするが、四国のどこの名物や?香川産のポチは看板を見たとたんに
「か〜ま〜ど〜、か〜ま〜ど〜♪」と歌っている。なぁに、それ?「香川では、おまんじゅうが歌うんぞ」何や、それ???「“かまど”の宣伝で、おまんじゅうに顔がついとって『か〜ま〜ど〜♪』て歌いよんや」(香川弁の崩れには目をつぶってください)分からん。「まぁ、TV見てれば分かる」うーん…。
ごちゃごちゃ言っているうちに、列車は瀬戸大橋を渡りはじめた。瀬戸内海はのっぺりと凪いでいる。「あっ、見て見て、海だよ〜」「すごーい、島がいっぱいあるー」「船だ船だ〜」「灯台が浮いてる!なぜ!?」海なし県人はひとりで大騒ぎしてポチに笑われた。

昼食は、生まれて初めてのさぬきうどんだ。アーケードのあるおしゃれ気な商店街に、いきなり製麺所があって、一階部分がセルフの店になっている(二階部分がうどん屋)。おぉすげぇ、セルフの店だー、とこれまたひとりで大騒ぎする。
「セルフの店」は、文字通りセルフサービスでうどんを食べる。本格的なセルフの店だと、客が自分で生麺をゆでて、店側がポットに用意しておいてあるだし汁を自分でかけて、自分でトッピングを取って食べるらしい。ただしここは高松の商店街だから、「セルフ」とはいっても一応うどんの形で出してくれる(半セルフ?)。メニューは“かけ”に“ぶっかけ”、“しっぽく”。それぞれ大小。“しっぽく”って何?“かけ”は素うどんとして“ぶっかけ”って何?メニューに見とれている間に、連れのポチはさっさと「しっぽくの大」と注文して、さっさと天ぷらを取りに行っている。とりあえず真似して「しっぽくの小」と注文する。うどん玉をさっと湯に通して、けんちん汁みたいなのをかけて出してくれる。それを自分で出したお盆に載せて、更にオプションメニューを自分で取りに行く。昔ながらの食堂のように、ステンレスの棚に天ぷらがいろいろ並んでいる。かき揚げやらレンコンやらかぼちゃやらと多種多彩で、これがまたでかい。更にいなり寿司やおにぎりといったオプションがある。そういえばおでんもあったな。うーん、何を食べよう…
迷いながら天ぷらを二つくらい取って、お代は先払いで食べる。ん、だし汁(けんちん汁?)がちょっと甘い…。「“しっぽく”は、普通のだしに甘く煮た具を乗せたものであるよ」とはポチの説明である。「冬場限定メニューや」ふぅーん。
しばらく高松のアーケード商店街をぶらついていると、いきなり目に入った和菓子屋の看板に「名物 かまど」と書いてある。わぁっ、『かまど』だ!こんなところに店舗があったんか、知らなかった、とポチも驚いている。最近できたのか?「ねーねー、店ん中で『かまどの歌』24時間熱血熱唱中!とかやってないのかなぁ」と言ってみたら「あの歌は24時間ひっきりなしに聴けるものではない」と却下された。なーんだ。

昼過ぎのフェリーに乗って小豆島に行く。港から、地元のかたの車に乗せられて、いきなりぶーんとドライブに連れて行かれた。行き先は紅葉の名所、寒霞渓である。日本三大渓谷だそうだが、実はこの瞬間まで知らなかった。坂道を上って、車は走る走る。と、急に渋滞に巻き込まれて、ナニゴトかと思ったら
「猿だ」
えぇぇぇっ?
見れば、かれこれ二十頭はいるのでないかと思われる猿の群が道路を横断している最中だった。車中の人々は「猿が入ってくるから」と慌てて窓を閉めている。えぇぇぇっ、入って来るんだ。「あ、子ども連れがいっぱいいる」えぇぇぇっ。本当だ、腰や腹に子猿をぶらさげた母ザルとおぼしき個体が、けっこうたくさんいるでないの。「ほら、あれがボスザル。毛並みがいいでしょ」おぉぉぉぉっ。
帰りがけ港に向かっていると、道ばたに石で作ったカエルがごろごろ立っているのを見かけた。チビカエル(オタマジャクシじゃないのか?)がうじゃうじゃいて、中心に大きいカエルが1体立っている。What's this?「カエルの『二十四の瞳』だよ」という答えが返ってきた。そういえば忘れていたが、ここは『二十四の瞳』の舞台になったところだっけ。オリーブの土産物やらをちょこちょこ買って、夕方高松に戻った。

明日、高松を出る時間を決めないとね、というわけで、高松駅の「みどりの窓口」に立ち寄った。帰宅するのに都合のいい新幹線を探しましょうと時刻表を繰っていると、突然ポチが
「あっ、見て見て踊るさん、あれが『かまど』のCMだよ」と駅の大画面パネルを示した。かまどをかたどったお菓子、これにテン目がちょんちょんくっついて顔のようになったのが、口を精一杯ゆがめて歌っている。その数がだんだん増殖していくのがなんとも不気味にかわいらしい(どっちだ)。
しかし、惜しむらくは私たちがガラスで仕切られた「みどりの窓口」にいたから、今朝からポチがことあるごとに歌っている歌を聴くことができなかった。合掌。

2002/11/24
宿を出たのが9時半頃だったので、私たちは朝食を食いっぱぐれていた。まぁ、昨夜いっぱい食べたし、平気さっ。というわけで元気に高松観光開始。まずコトデン(琴平電鉄)に乗って栗林公園駅までコトコト揺られていく。
特別名勝の栗林公園は、江戸時代の庭園で、今は紅葉がきれいだ。園内は沼や池がたくさんあって、鯉がうじゃうじゃ泳いでいる。各池のほとりには売店があって、棒状の焼麩を「鯉の餌」と言って一本80円で売っていた。公園の隅に、その池の源流になっている湧水池があって、いかにも清冽な流れが印象的だった。
11時頃まで栗林公園をうろうろして、さて昼飯にうどんでも食って高松から退散すべぇという話になった。「だったら“さか枝”に生きたいよぅ」とダダをこねるワタクシ。かの「恐るべきさぬきうどん」(麺通団著:ホットカプセル→新潮Oh!文庫)でも取り上げられ、昼には行列ができるらしいセルフの店である。県庁の裏手をまわっててくてくと歩く。「これでお休みだったりしたらイヤだねぇ」と言ってみたら「でも、うどん屋さんは日曜休みが多いよ」と言われる。えぇ〜。そういえば県庁の裏手だし、官公庁の近くなら、日曜休みでも文句は言えまい。更にてくてく歩いて、店はわりとすぐに見つかったが、案の定、日・祝日定休だった。事前のリサーチが中途半端だと泣きを見るという、典型的なパターンである(泣)。
仕方がないので、そのままてくてくと昨日の商店街まで歩いて、昨日目をつけておいたこんぴらやに行く。今日は何を食べようかなぁ。朝から何も食べずに歩いていたし、「じゃぁ“かけ”の大ください」「えっ、大?」店の人に聞き返される。「です」ポチは“ぶっかけ”の大を頼んでいる。これは帰宅後に調べたのだが、この店は女性が「うどん小」を頼むと、上品なピンクの丼に入れてくれるというサーヴィスをしているそうだ。なるほど、だから「大?」とききかえされたのであるな。
例によって天ぷらをちょこっと取って、ずるずる食べる。ポチの“ぶっかけ”には、細ネギと大根おろしとレモンが一きれ乗せてある。えっ、このレモンはオプションなの、それとも標準装備?ひとすじ奪い取って味見してみた。ふーん、レモンの味が爽やかね。でもしょうゆの味じゃないな、これは。
食べ終えて駅に向かって歩いていると、他のうどんやのメニューが気にかかる。商店街の入口近くにあったうどん市場も定休日だったのだが、表に出ていたメニューには「海鮮ぶっかけ あついの・ぬるいの・冷たいの」などと書いてあって大騒ぎになった。ぬるいの、って何?ぶっかけの標準とは熱いのなのか冷たいのなのか?“かけ”と“ぶっかけ”の違いは何?「“ぶっかけ”はしょうゆみたいなんをかけて食う」じゃぁ“ぶっかけ”と“しょうゆうどん”はどう違うの?さっきのメニューに“しょうゆうどん”ってのもあったぞ。「………なんだろう」うーん…。

これが『かまど』よ、と土産物屋で示される。うーん、『かまどキャラクターグッズ』とかないのかなぁ。「ストラップくらいならあると思うよ」今どきストラップなんかいらんよ。味は東京名物の『ひよこ』とよく似ているらしい。ふぅーん、じゃぁ味目当てに買うものではないわね、というわけで今回はパス。「栗林のくりという菓子を買って高松を退散。「快速 マリンライナー」と新幹線との乗り継ぎが悪くて、岡山駅の待合室で1時間ほど待たなければならなかった。待合室の大型画面では、「OHK 岡山・香川」(岡山放送)と書いてあって、どうも岡山と香川のローカル局らしい。おっ、これなら『かまど』のCMが見られるか?と思ってずーっと眺めていたが、遂に『かまど』の歌をこの耳で聴くことはかなわなかった。それだけが心残りだ。

:「かまど」のホームページからCMが見られます。「かまどちゃん物語」がいい味だしてます。

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