飯田線の80系300番代とクモニ83100番代(線内ローカル運転用)
'78年(昭和53年)〜'83年(昭和58年)の間、豊橋機関区に配置され飯田線ローカル運用に使用
クモニ83100番代は'68年(昭和43年)〜'83年(昭和58年)の間、豊橋機関区に配置され、荷物電車として活躍

80系電車とは、元々東海道線などで走っていた中・長距離客車列車を電車運転化するために作られた車両で、それまでの電車のイメージとは異なり、デッキ付きの2扉、中間電動車を標準にするなどし、塗装もそれまでの茶色から緑と橙の2色塗りとし、「湘南電車」と呼ばれて親しまれた。特に2次型以降の正面2枚窓のいわゆる「湘南顔」は、当時の鉄道デザインに多くの影響を与えた。
 
左 クハ86300番代 '81.07.26 辰野 TM    右 クモニ83101 '82.08.12 辰野 TM

飯田線への「湘南電車」80系の入線は以外に古く、'57(昭和32年)に、東海道線からの臨時快速「天竜」が最初で、それが定期準急列車「伊那」に発展、それらの優等列車はのちに急行となるが車両も順次165系になって姿を消すが、'71(昭和46年)サハ87001が転入し流電編成に組み込まれ(※1)、'78年に後輩の80系300番代転入まで使用された。また、'68年から(昭和43年)豊橋区にクモユニ81(翌年クモニ83100番代となる)が投入され、飯田線の荷物電車として運用され、旧国最後の'83年6月まで活躍した。

'78年(昭和53年)11月に豊橋区の戦前電車の置き換えで、80系300番代(※2)が大量投入が開始され、飯田線のローカル運転に使用される事となった。しかし、'83年(昭和58年)の飯田線近代化に伴う旧形車両置き換えで119系が転入することとなり、伊那松島区の旧形国電に比べ、比較的単純な運用を組んでいる豊橋区の80系が一足先にお役ご免となり、同年2月24日を最後に戦列から離れた。

2扉デッキ付き・クロスシートの車体構造は、飯田線の豊橋口や伊那市・駒ヶ根・飯田付近のような駅間距離が短く、乗降客数が多い区間では不向きであり(のちの165/169系と同様)車齢が比較的若い割には短命に終わった車だった。
(国鉄内部では一時、80系を3扉化改造をするという構想も出たらしいが、結局改造は行われなかった[除くサロ85改クハ77])

※1 80系の貫通路幅は、他の旧形国電と比べ幅が広かったので、同車は特殊な貫通幌を付けて対処していた。

※2 80系の番代区分/0〜100番代は基本的に半鋼製車体(シートピッチや耐寒装備で番代が異なる)であるが、300番代は全鋼製車体で、それまでの車体に比べスマートで美しい車体を持っており、旧形国電の最後を飾るにふさわしい車両だった

●飯田線普通列車に使用される80系

'78年から、豊橋機関区に配属され、それまで同区に配置されていた戦前型車の代わりに主に豊橋口の普通列車に使用される事が多かった80系300番代。元々本線区間の中・長距離用電車として作られた車両であるが故、飯田線のような運用には必ずしも向いていなかった。

さすがに戦前型車両に比べ乗り心地も良く、また165系電車よりも安定した乗り心地であった。

'82.08.13 沢〜伊那松島間 TM

●中部天竜構内に留置中の80系

飯田線での営業運転を終えた80系は、豊橋区から各地に疎開させられ、この2編成は中部天竜区に留置された。

(左)クハ86300他4連、(右)クハ86329他4連

'83.06.05 中部天竜 TM

●牛久保駅に留置された80系

上記と同様の理由で予備車として残った1編成も、豊橋区が手狭なため牛久保駅構内に留置された。
他にも西浜松などに留置され、のち順次廃車された。

クハ86334他4連 '83.07.25 牛久保 TM

●クハ86で唯一のシールドビーム化車、332号

80系の一部に、前照灯をシールドビーム化した車がいたが、殆どがクハ85グループの車両で、湘南顔を持つクハ86で唯一シールドビーム化された332号は、クハ86の中では珍しい変形車だったが、逆にあまりにもマイナーで気づかれる事も少なかった。

クハ86332他4連 新城 HS

●飯田線80系の内での異端者、クハ85

主として豊橋口のラッシュ時増結用に使用された車両で、元サハ87300番代を先頭車化改造したもの。デザインは103系等に準ずる高運転台構造で、近代的なスタイルとなっている。
(80系全金属車は基本的に300番代を付けられていたが、既に元サロ85300改クハ85300が番代が存在し、半鋼製サハ87100番代からの改造されたクハ85101〜3の続番とされ、全金車であっても300番代を名乗らなかった)

飯田線には104号と108号の2両が在籍し、変化の少ない80系の中で異彩を放っていた。

また、増結用の2両編成はM-Tcでモハ80には貫通扉がなく、増結運転時は危険なので、特殊な貫通路塞ぎ板が付けられていた。

(上)クハ85108 '82.08.14 豊橋 TM

(下)貫通路塞ぎ板のついたモハ80 '82.08 豊橋 HS

●元80系のクモニ83100番代

'68年(昭和43年)飯田線に転入してきた80系の郵便・荷物車クモユニ81型を、翌年スカ色化とともに郵便室を撤去の上荷物車としクモニ83型に編入され、飯田線の荷物電車として戦前型電車とともに旧国末期まで活躍した。なお、他のクモニ83と異なり、新性能電車との総括制御はできない。
[飯田線の荷物電車解説]参照

クモニ83101 '82.08.13 元善光寺 TM

●モハ80の一部に見られた簡易運転台取付改造車

大垣区に配置された一部のモハ80に、入れ替え等の便宜を図るため簡易運転台取り付けが行われ、その残党が飯田線にも3両在籍した。これはモハ80の2エンド側に付けられた簡易運転台部窓。上部にはちゃんと前照灯、妻面左下腰部には尾灯も取り付けられている。なお、前記の2両増結運転時に使用すれば?と思うところであるが、連結方向が逆なため、飯田線内で活用されることはなかった。(但し大垣区所属時代の急行伊那使用時、飯田折り返しの増結編成としては使用されていた)

モハ80341 '83.06.05 中部天竜 TM

'81年(昭和56年)4月 飯田線用80系編成表(静トヨ)

←豊橋                                 辰野・上諏訪→

Tc − M − M− T'c
Tc − M − M− T'c
86 339 - 80 384- 80 345 - 86 366
86 309 - 80 326- 80 342 - 86 332s
86 315 - 80 313- 80 365 - 86 354
86 353 - 80 340- 80 398 - 86 348
86 317 - 80 316k- 80 312 - 86 314
86 301 - 80 302- 80 304 - 86 334
86 319 - 80 303 - 80 393 - 86 304
86 311 - 80 308- 80 311 - 86 308
86 300 - 80 341k- 80 309 - 86 302
          80 373 - 85 108
86 347 - 80 325k- 80 307 - 86 340
          80 391 - 85 104
86 307 - 80 300- 80 392 - 86 338

86 305 - 80 310- 80 314 - 86 306
モハ80 × 30両
86 313 - 80 350- 80 349 - 86 342
クハ86 × 28両
86 329 - 80 379- 80 343k- 86 346
クハ85 × 2両
注…表中モハ80にある(k)は簡易運転台取付車、クハ86にある(s)はシールドビーム2灯化改造車

豊橋区の80系は、基本的にTc-MおよびM-T'cの2両単位で固定され、編成の組み替えは中間のMで切離して行われる。

'83年(昭和58年)4月 残存80系編成表、廃車年月日(静トヨ)

←豊橋                                 辰野・上諏訪→

Tc − M − M− T'c
疎開・留置先、廃車年月日
86 347 - 80 325 - 80 314 - 86 306
中部天竜区  '83.08.12
86 329 - 80 379- 80 309 - 86 302
西浜松構内  '83.07.15
86 300 - 80 341k- 80 365 - 86 354
中部天竜区  '83.06.30
86 309 - 80 326 - 80 392 - 86 338
西浜松構内  '83.05.28
86 313 - 80 350 - 80 343k - 86 346
西浜松構内  '83.12.13
86 339 - 80 384 - 80 391 - 85 104
西浜松構内  '83.09.26
86 301 - 80 302- 80 349 - 86 342
西浜松構内  '84.03.13
86 305 - 80 310- 80 373 - 85 108
西浜松構内  '84.01.12
86 307 - 80 300- 80 304 - 86 334
牛久保構内  '84.01.25
86 353 - 80 340- 80 311 - 86 308
西浜松構内  '83.04.27
          80 345 - 86 366
西浜松構内  '83.04.27

注…表中モハ80にある(k)は簡易運転台取付車


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