飯田線の165・169系
飯田線で使用された165・169系のバリエーション

165・169系は、基本的にオレンジと緑の2トーンカラーで、いわゆる「湘南色」であったが、新急行「かもしか」登場以後、JR化により各鉄道会社の地元支社による個性を出すため、いろいろなバリエーションが生まれた。

飯田線を走った165・169系のバリエーション

前にも書いたとおり、新急行「かもしか」でNストライプという斬新な塗色を纏った165・169系も、後にいろいろな塗装がなされたが、JR東海の所属車両は下回りのグレー化以外、ほとんど変更を受けなかった。

 

●飯田線内普通に使用された「湘南色」165系

飯田線の旧形国電が廃車となり、その置き換えに119系が造られたが、当時の国鉄の事情で全てを119系新製車にはできず、各地急行電車の格上げ・廃止などにより大垣区や神領区、松本区などで余剰となった比較的若番の165系電車を利用することとなり、豊橋機関区に配置されて119系とともに線内普通電車として活躍した。

編成はMc-M'-Tcで、豊橋口ラッシュ輸送用で一部6両編成があった。

当初は飯田線内急行もまだ存在し、塗色も同じで非常にまぎらわしかった。

写真上のクハ165は試験冷房改造車で、通常AU13型クーラー5基が屋上に載っているが、この車はAU12S型クーラーが6基となっている。車内には同クーラーを使用していたサロ165型などと同様、個別空調スイッチが車内に付けられていた。(写真下)

'85.03.28 飯田 TM (上下とも)

●長野・松本区の改装車塗装「Nストライプ」

'86年(昭和61年)から'88年(昭和63年)の間に運転された新急行「かもしか」に採用された塗装。のち、長野・松本区所属であった室内改良型の165・169系にも採用された。

「かもしか」廃止後もそのまま快速「みすず」として、この塗装のまま使用されていたが、のち「新信州色」へと変更され、現在は見られない。

'90.03.07 山吹〜下平間 TM

●'89年から採用された旧「信州色」

Nストライプ化された車内改良車以外の松本運転所所属車の塗色は湘南色のままであったが、支社内イメージアップのため、「信州色」と呼ばれたアイボリーをベースにグリーンとエンジのラインの入った塗装に変更し、115・165・169系に採用されたが、'93年頃から長野五輪に向けて新「信州色」が採用されることとなり、短い期間しか使用されなかった。

飯田線には一部中央線直通快速で入線していた。

'91.01.30 伊那本郷〜七久保間 TM

●新「信州色」

旧「信州色」の項でも書いたように、長野冬季五輪に合わせ、長野支社管内車両のイメージアップを図るため、'93年(平成5年)頃から長野・松本両区に所属する115・165・169系に採用された塗装。これは車内アコモデーションに関わりなく塗色変更が行われた。

'98年(平成10年)秋まで飯田線にはこの塗色の169系が入線していたが、169系の飯田線での使用はドア数が少なく客扱いに手間取るため評判が悪く、また車両も傷みが目立ちはじめたため、同色の115系に置き換えられた。

'93.01.17 伊那本郷〜七久保間 TM

特徴ある165系の車両 

●モハ164-800番代の低屋根部

飯田線の急行で使用されていた松本運転所、神領・大垣電車区所属の165系は、トンネル断面の低い中央・篠ノ井線や身延線の急行電車と併結・共通運用されていたため、モハ164の大半は800番代というパンタグラフ部分が低い車両を使用していた。

飯田線は低屋根車が必要なほどトンネル断面は小さく無かったが、上記理由のために入線機会が多かった。

'83.06.06 上諏訪 TM

●簡易運転台付モハ164-500番代

関西地区の準急列車付属編成の分割併結に対応するため作られた形式。一般型のモハ164に比べ便・洗面所が客室寄りにあり、また写真右側の簡易運転台側屋上にはクモハと同様に箱形通風機と前照灯設けられ、妻面には尾灯が付けられている。

この番代には低屋根車は存在せず、のち中央山岳線区に転属してきた車両はパンタ折り畳み高さの低いPS23に載せ替えられており、当然この車も換装されている。

'86.12.25 飯田 TM

●モハ165型

165系はMc-M'-Tcの3両編成が基本で作られたため、M車はクモハ165が標準で、中間電動車のモハ165は21両という少数しか製造されなかった。

飯田線には、大垣区所属の急行「伊那」編成に組み込まれる事が多く、比較的同線にはなじみが深かったが、同線の急行廃止後は静岡区に転属し、東海道線の急行「東海」などに使用され、飯田線で使用されることは滅多になくなった。

写真は、'86年末〜'87年始にかけ、飯田線普通電車の応援運用に使用された豊橋発の一番電車に組み込まれたモハ165-10。

'86.12.24 豊橋 TM

●153系?いいえ、165系です。

一瞬153系と思ってしまう形ですが、これもれっきとした165系電車「クハ164」型です。山陽線で使用された153系と165系の混用を解消するため、クハ153低運転台車の制御機器を165系のものと置き換え、165系に編入した車。のちに大垣区に転属し、急行「伊那」などに使用される事があった。

1〜4は非冷房のまま廃車された唯一の165系、また最後まで残った5・7は前照灯がシールドビーム化改造されて独特の風貌であったが、'83年に形式廃車となった。

'82.08.14 大嵐〜水窪間 TM

 番外編・165系の懐かしい風景、飯田線編

●通過駅でタブレットを受ける急行「伊那」

飯田線の信号方式は'83年まで通票閉塞で、列車は有人駅ごとに通票(いわゆるタブレット)の受け渡しが行われていた。
途中駅を通過する急行電車は、写真のように身を乗り出してタブレットを受け取っていた。

'83.06.05 門島 TM

'83.7〜'86.夏頃迄 飯田線用165系編成・配置表 豊橋機関区(静トヨ)
←豊橋                                            辰野・岡谷・上諏訪→

編成番号
Mc165+M'164+Tc165
編成番号
Mc165+M'164+Tc165
T1
7 + 7 + 33c
T6
44+◆503+s208
T2
36c + 36 + 39c
T7
49 + 508 + 22
T3
37 + 37 + 41
T8
55 + 514 + 65
T4
38 + 38 + 42
T9
61 + 809 + 16
T5
s43 +◆502+17c
T10
s62 + 810 + 13
c…AU12S形クーラー使用車、s…シールドビーム化改造車、◆…PS23形パンタグラフ搭載車

旧形国電置換えにより119系では両数が不足するために、当初配置された編成

'86.11〜'88.3迄 飯田線用165系編成・配置表 豊橋機関区(静トヨ)
←豊橋                                            辰野・岡谷・上諏訪→

編成番号
Mc165+M'164+Tc165
編成番号
Mc165+M'164+Tc165
T1
7 + 7 + 33c
T11
s69+816+s76
T2
36c + 36 + 39c
T12
s74+821+s43
T3
37 + 37 + 41 
T13
s86+827+s130
T4
38 + 38 + 42
T14
s111+841+s35
T5
s43 +◆502+17c
T15
s113+843+s15
T6
44+◆503+208
T16
s115+845+s69
T7
49 + 508 + 22

T8
55 + 514 + 65

Mc169+M'168+Tc169
T9
61 + 809 + 16
T19
11+11+17
T10
s62 + 810 + 13

c…AU12S形クーラー使用車、s…シールドビーム化改造車、◆…PS23形パンタグラフ搭載車

119系の一部の「するがシャトル」用転出により、不足分を急行廃止により余剰となった松本区などからの165系や169系を転入により賄われた時期。'87.4にJR東海が発足、車両は全車静岡区配置扱いとなる。'88.3改正で「するがシャトル」用119系が飯田線用に復帰、この年を最後に飯田線での165系定期ローカル運用は廃止され、転出、もしくは廃車となった
'86年末〜'87年正月 静岡運転所からの借受車
1221M・1230M限定使用
 Tc165-121s+M165-10+M'164-832+Tc165-167s

'86.11〜'98年秋「かもしか・みすず」用165/169系編成・配置表 長野総合車両所(長ナノ)
←豊橋・長野                                            辰野・岡谷・上諏訪→

編成番号
Tc169 + T165 + M'168 + Mc169(座席改仕様内容)
N31
s27 + 11 + 1 + s1(転換クロスシート車)
N32
19 + 10 + 6 + s6(回転クロスシート車)
N33
s13 + 8 + 13 + s13(回転クロスシート車)
N34
s3 + 5 +16 + s16(回転クロスシート車)
N35
s20 + 9+ 23 +s23(転換クロスシート車)

「かもしか」は1986年11月〜1988年3月まで運転されたが、長野区の169系は「みすず」が115系に変更される'98年秋まで運転された。

s…シールドビーム化改造車、M'168は全車PS23形パンタグラフ搭載、塗色はNストライプ、のち1992年〜1995年にかけて「新信州色」に変更された。
※転換クロスシート車は1991年に回転クロスシートに変更、シールドビーム化改造されていなかったクハ169-19は、1994年にシールドビーム化改造された。


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