ED62型電気機関車とは

 ED62 17(JR貨物塗装化前)1991.7.21 沢渡 TM

飯田線国有化後しばらくの間は、その前身である伊那電気、鳳来寺、豊川鉄道や、信濃鉄道(現在の大糸線の前身)などから国鉄(鉄道省)への引継ぎ車を飯田線内での貨物輸送に使用してきたが、保守等で不利な事から車両や機器の統一などを目的に、それらの機関車は、他線区での新型車両投入によって余剰となったED17・18や19等の国鉄型機関車に順次置き換えらえれる事となり、それらの機関車が豊橋、中部天竜、伊那松島に配置され長らく飯田線内の貨物輸送を担ってきた。

1970年代に入ると、飯田線で使用していたED18や19、26等は製造から50年近く経過して耐用年数を大幅に越え(さらにED26は、旧伊那電気のデキ20が前身)、代替機関車を必要とする時期になっていた。しかし飯田より北の区間は線路の等級が低く、軸重(車軸にかかる最大重量)が13〜14tに制限され(※1)その他の線区で使用されている機関車は転用することが不可能だった。

ちょうどその頃、中央本線で使用(※2)されていたED61型機関車は、EF64型の投入により、出力が小さいため余剰気味となっていた。そのED61型に走軸(※3)追加を行い軸重軽減化しED62型機関車が1974年に誕生、飯田線用として使用することとなった。

ED61型は下り勾配区間運転用に電力回生ブレーキが装備されていたが、中央線ほどの連続勾配区間の少ない飯田線では必要が無いため(※4)、関連機器を撤去。それだけでは所定の軸重制限をクリア出来なかったが、それらの機器搭載のためED61型のベースとなったED60型機関車に比べ1300mm全長が長くなっていたことが幸いし、車内の回生ブレーキ関連機器撤去部に、床下にあったエアタンクを移動、空いた床下部分に軸重軽減のための「走輪」を設置、これがED62の大きな特徴となっている。

ED62は1974年から76年にかけ9両が改造、伊那松島機関区に配置され旧形機関車を一掃し、1977年からには残りの9両も随時追加改造が行われ豊橋機関区にも配置、同区のEF10型をも置き換え、1979年には結局ED61全18両すべてのED62への改造を終え、飯田線に集結することになった。

1983年の飯田線合理化により飯田(事実上、元善光寺)以南の定期貨物列車が廃止になり、また配置機関区の統廃合により全機が浜松機関区に転属、その後半数近くが沼津区に転属、廃車となった。1984年、10・17号機は松本運転所・北松本支所に配置され、ED60の置換えで大糸線に運用についた。1985年3月、残ったED62の受け持ち区は、北松本配置の車も含め、機関区の統廃合および民営化(国鉄→JR貨物)を見据え、篠ノ井機関区へと転属することになり、飯田線と大糸線で配置の区別はなくなるが(但し、実質上は北松本区に配置された10号機や17号機が専属)、大糸線の貨物運用もその後短期間で廃止となりさらに数を減少させ、1987年4月のJR貨物発足時には8両が篠ノ井機関区所属のまま引き継がれ、同区は1995年4月に組織改正で篠ノ井総合鉄道部と改称され引き続き所属、1996年、元善光寺発着の貨物列車以外(沢渡、七久保、上片桐発着分)は廃止され、1997年の飯田線貨物輸送廃止まで飯田線の貨物輸送に活躍したのは5号機、6号機と予備機の17号機であった。

現在、JR東日本長野総合車両所には1号機が保存されており(全機とも同所の前身である国鉄長野工場でED61→ED62化改造を受けている)、同様にJR東海の佐久間レールパークにも14号機が展示され、JR貨物大宮工場にはJR貨物更新機塗装から元の塗装に復元された17号機が保管されており、同工場公開日などで目にすることができる。

飯田線貨物運用の廃止後、長らく車籍を残していた16、17号機も、2002年3月28日付けで両機とも除籍されたが、両機とも現在のところ、解体処分はされていない模様である。(15・16号機は篠ノ井総合鉄道部に残っているという情報もあるが、詳細は不明)

※1 南部は佐久間ダム建設の際、資材搬入を飯田線を利用する事となり、路盤の強化をされたため、貨物列車にはEF10等が使用されていた(ダム資材搬入用にはEF15が使用されていた)

※2 後に2両(ED61 17・18)が竜華区に転属し、阪和線で使用されていた

※3 よくこの中間台車を「遊輪」と表現している場合があるが、軸重軽減の為に付けられている物で「遊んで」いる訳ではないので「走輪」「走軸」という名称に国鉄内部での正式名称と決められた。
(しかし、ほとんどの趣味誌では「遊輪」となっているので、通称としてはこちらの方が通りが良い)

※4 電力回生ブレーキを飯田線では必要ないと言うのはちょっと乱暴な表現ですが、電力回生ブレーキは下り勾配区間で機関車のモーターを発電器として利用した負荷で制動力を得、その発生した電気をパンタグラフを介して架線に戻し、他の車両に使用してもらったり、変電所に送り返す方式ですが、飯田線では戻した電気を再利用してもらえるほどの輸送密度がない、および変電所もそれに対応した設備が必要になるなど、必ずしも利害が伴わないので飯田線では採用されていない。
飯田線では連続しての急勾配は中央線に比して少ないが、単純に勾配のキツさであれば、沢渡〜赤木間に40‰(パーミル・1000分の40、1000mで40m、つまり100m進むと4m登るという、碓氷峠廃止後のJR線上では最も急勾配と言われる)区間が存在する

ED62の特徴「走輪」
 TR109型台車

「TR109型」台車は、コイルバネと空気バネの併用構造で、空気バネにかける圧力により軸重を13tまたは14tとに可変することが可能である。当然、台車に空気圧をかけるため車体が持ち上がるので、車体高が最大14mmも変化する。


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