飯田線・トロッコファミリー号用客車
1987年〜2006年まで、飯田線で季節臨時列車として主に豊橋〜中部天竜間で運転され、親しまれていたトロッコ・ファミリー号で使用されたトロッコ車両と客車を簡単に解説します。


貨車改造車時代(運転開始当初'87〜'93年)

■トロッコ列車運転開始時使用車両

飯田線トロッコファミリー号はチップ輸送貨車トラ90000型をトロッコ車両として旅客車化改造し、'85年から越美南線で「清流ながら号」として使用されていたトラ91388、91402、91818の3両を、同線の第3セクター化で飯田線に転用、'87年3月末に臨時列車として運転が開始され、上記にあるとおり、豊橋−豊川間の乗客待避用客車としてオハフ46 2009、2027の2両を併結、当初はDE10型ディーゼル機関車牽引であった。

初代トロッコ車両トラ90000(左)と一般客車オハフ46  '91.4.21 川路〜時又間 TM

好評裡に運転された「トロッコファミリー号」は'90年春から、静岡運輸区所属のEF58型が牽引にあたり、使用する客車も冷房対応とするため'91年春にオハフ46 2027を12系スハフ12型2両に置き換え、トロッコ車両も定員増に対応するため、'93年にオハフ17型を製作、オハフ46 2009を置き換え、またトラ90000型のトロッコ車両の老朽置き換えで'96年にオハフ17 11を追加改造、従来の車両も塗装変更を受け現在の運転形態に至っている。

'91.04.21 飯島〜伊那本郷間 TM

●第1次トロッコ列車編成

運転当初のトロッコ列車は、越美南線で使用された「清流トロッコ号」トラ90000型3両と、オハフ46型2両による編成であったが、飯田線でのトロッコファミリー号の運転が好評であること、車両の老朽化、サービス向上でトロッコ専用車の改造、一般車の冷房車への置き換えなどが行われ現在の形態となり、写真の編成での運転は'91年までであった。客車はすべて美濃太田区所属で、用途廃止後トラ90000は解体、オハフ46は美濃太田に留置されている。

この写真は最初の飯田線北部でのトロッコ列車運転時のもの。


■最初のトロッコ牽引機DE10型

レール輸送で飯田駅まで北上したDE10 1518 '85.07.23 飯田駅 TM

●DE10型ディーゼル機関車

'87年の運転当初トロッコ列車は、電気機関車ではなく写真のディーゼル機関車DE10型であった。飯田線専用として開発されたED62型電気機関車は当時既に豊橋機関区から撤退しており南部での運用がなく、飯田線南部でのレール・道床砕石輸送などに使用されていたDE10をそのままトロッコ列車牽引に充当、'90年のEF58車籍復活により牽引機変更となるまで使われた。

オープンデッキのトロッコ列車には、ディーゼル機関車の排気ガスが直接車内に入り込むため、乗客の評判は決して良くなかったのと、当時はどこにでもいるあまり特徴を持たない機関車であったためか、人気は今一つだった。



専用車両化以降('96〜'06年)

■オハフ17型一般客車

貨車から改造されたトロッコ車両を使用していた「トロッコファミリー号」の定員増のため、荷物車マニ44形式から改造され'93年に登場した新形式。当初はオハフ17-1と従来のトラ90000型トロッコ車両の併結で運転されていたが、'96年に老朽化したトキ90000型の置き換えとしてオハフ17-11が増備され、末期までの運用形態に至っている。トロッコ用客車は歴代JR東海美濃太田運輸区に配属され、車両は通常、豊橋運輸区に置かれていた。

牽引機の老朽化により2006年秋を以て同列車の運転は休止となり、車両も永らく美濃太田区に留置されていたが、2007年11月に解体されてしまった。

オハフ17 11'03.10.05 伊那松島 TM

●トロッコファミリー号用オハフ17

従来トロッコ車両には、チップ木材(木材を細かく破断したもの)を運ぶ為に使われたトラ90000貨車を使用していたが、飯田線でのトロッコ列車が好評で、定員増に対応するために余剰となった荷物車マニ44型を改造し作られたオープンキャビンの客車。車内は雨に濡れても大丈夫なビニールレザー張りクロスシートシートで、大型のテーブルも設けられている。登場時はエンジ色の車体に金の飾り帯の入った塗装であったが、オハフ17 11の増備に合わせ塗装変更がされ、末期は写真に見られるとおり青基調となっている。

現在はオハフ17 1と11の2両が作られ、豊橋運輸区に常駐、豊橋−中部天竜間の季節定期列車の他、臨時列車として飯田線北部・中部区間のトロッコ列車としてほぼ飯田線全区間で運転されていた。

写真は通常、中間に挟まれていて顔を出すことが希なオハフ17 11。

オハフ17改造対番号表 ・オハフ17 1←マニ44 2158('93年改造) ・オハフ17 11←マニ44 2157('96年改造)


■スハフ12型一般客車(12系客車)

いわゆる12系客車と呼ばれる客車の中の1形式で、その他にオハ12、オハフ13のオリジナル形式と、同車から改造されたお座敷客車などのジョイフルトレインと呼ばれる車両もあるが、飯田線のトロッコ列車用として使用される車両は外観の塗装変更以外はオリジナルのスハフ12のみ。12系客車はそれまで波動輸送などに使用されていた旧形客車の置き換えを目的として'69年から製造され、のちには定期急行列車にも使用されたが、国鉄解体時期と前後して客車列車が激減し、余剰車をジョイフルトレイン化改造などを受け、現在でオリジナルの姿を保っているものは非常に少なくなっている。

残念ながらトロッコファミリー号休止後、12系客車もオハフ17と同時に解体されてしまった。


末期塗装のスハフ12 31 '03.10.05 伊那松島 TM

イラストが書かれていた時代のスハフ12 31 '91.07.22 新城 TM

●トロッコファミリー号用スハフ12

トロッコ列車は、豊橋−豊川間の複線・市街地区間での危険防止の為トロッコ車両に乗車禁止、および悪天候時などの乗客の待避用として一般型客車が連結されているが、登場時は旧形一般客車(下部参照)を連結していたが、冷房対応および老朽化置き換えの為、自車冷房電源の確保用ディーゼル発電機が搭載されている12系スハフ12型が使用され、スハフ12 31、104の2両が使用された。

 

当初は青22号の塗装単色塗りの車体にイラストなどが描かれていたが、末期はオハフ17 11の増備に合わせ塗装変更され、ネービーブルーベースに窓回りをクリーム色の一見スカ色を彷彿とさせる塗装とされている。



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