The Composer in Public Schools Plogram 投稿者:S.O.
投稿日:11月30日(木)12時01分45秒
作曲家の需要は必ずしも多くないので、音大の作曲科を卒業した若い人は、よほど優秀であるか、幸運でないかぎり、作曲で自立できる人は少ない。そのことをなんとかしたいと思っていた中堅作曲家がいました。
1957年、「伝導書による瞑想」でピューリッツアー賞を受賞し、その地位と名声を確固たるものにしたデロ=ジョイオは、直ちに若手作曲家育成のための提案をしました。それは、作曲家への奨学金を与えるかわりに、公立学校へ派遣して、アマチュアの音楽指導を行い、またその実情を知ってもらうというプログラム(The
Composer in Public Schools Program, CPSP)で、彼はフォード財団と交渉し、その資金を引き出すことに成功したのです。
このプログラムによって、J.チャンス、M.メイルマン、J.ジェンキンス、L.ロプレスティ、A.フラッケンポール、H.ビーラワ、K.クロージャー、M.タブ、W.コーカーなど、多数の作曲家が次なる飛躍への足がかりとなったわけです。これらの作曲家は、各高校で合唱団や吹奏楽団の実情とレベルを知り、それにあわせて、アマチュア向きでありながら決して安直ではない作品を創出し(例えば、「呪文と踊り(チャンス)」、「ページェント(ロプレスティ)」、「スペクトラム(ビーラワ)」など)、またそれ以後もアマチュアとのつながりを形成していったわけです。一方、アマチュアの側としても、これまであまり付き合いのなかった作曲家の偉い(と思っていた)先生たちと交流することにより、その畏怖を取り除き、ごく自然に新作を委嘱するようになり、それが、現在の吹奏楽作曲家たちの隆盛にもつながっているわけです。さらに、新作委嘱の意欲に対して、作曲家も応えるようになり、デロ=ジョイオのみならず、グールド、パーシケッティ、ホヴァネス、シュラーのようなビッグネームでも、中高校生からの委嘱にも快く応じるようになったのです。そういう意味で、デロ=ジョイオというひとは、影の功労者と言えるのではないでしょうか。
このプログラム、日本でも参考にすべきところがあると思うのですが、日本の大作曲家の先生、およびお金持ちの方々、いかがでしょう(見てないか?)。
「あらゆる地平線から(From Every Horizon)」/N.デロ=ジョイオ 投稿者:S.O.
投稿日:11月30日(木)11時59分39秒
最近ここで話題になっているデロ=ジョイオの作品を一つ。
同名の映画音楽から改編された交響詩(Tone poem)で、彼の2作目の吹奏楽作品です。
もともときわめて保守的な作風を持つ人であり、この曲もそういう経緯もあって、明朗で非常に判りやすい作品です。まるで、田舎の春の朝ののどかさに気持ちが良くなって踊り出したくなるという感じで、その意味では「ベリーを摘んだらダンスにしよう」(間宮芳生)に雰囲気が似ているような気がします。しかし、実はこの映画は田舎というよりニューヨークを舞台にしたものらしく、副題にも「A
Tone Poem to New York」となっています。
曲は三つの部分に分けられ、まずフルート、バスクラにより牧歌的な雰囲気が醸し出され、穏やかな曲想から次第に喜ばしい短いクライマックスに向かい、そして静かに終わります。第二部は、アダージオで叙情的な雰囲気が表現されます。続けて第3部のアレグロ・コン・スピリトで、都会の賑やかさが表現されますが、具象的なものではないのでイヤミがなく品位が保たれています。後半には、第二部のメロディも回想され、華やかに曲を閉じます。全体で7分半ほど、技術的にもそれほど難しくなく、高校生でも充分演奏可能で、コンクールの自由曲にも向いています。Marks/Hal
Reonald出版なので、楽譜も入手しやすいです。
彼には、他にも多数の作品がありまして、「コンチェルタンテ」や「コロニアル・バラード」もいいですよ。また、彼は、CPSPという計画に大きな貢献をした人でもあります。
CPSPについては、別項で。
>パーシケッティ
ほとんどなんて、とんでもない。だいたいこの人、作品数多いし。
最初は、この人の作品って、好きではなかったんですよ。まったくスキがないんだけど、感銘深さに欠けるというか、まるで完全無欠のキレる秀才だけど、人間的な温もりに乏しいという人って感じで嫌ってました。それが、この作品を聞いて、イメージが一変してしまい、それからはいろいろなものを聞いてみたくなったんです。
正直言って、「おお、ひと知れぬ神よ」は、いまだによく理解できないんですが、「O
Cool is the Valley(どうでもいいことだけど、これを「ああ、涼しい谷間(音友)」と訳するのはいかがなものか。「・・・・谷」にするか、せめて「おお、・・・」のほうがマシ。変な連想をしてしまうもん・・・/(x_x))」も実に味わい深いですし、「いと清らかな星」もいいですよ。
「仮面舞踏会」などはかなり難しいですけど、こういう無理なく音が出せて、なおかつ練習を繰り返すごとに味がでるものを、もっと評価するべきだと思うんですけどね。
>若手作曲家の曲を集めたCD
こういうのがあると聴いてみたいですね。日本音コンとかはどうでもいいから、芥川賞なんかはアンソロジーでもいいからCDにしてほしいな。伊佐治先生の「畸形の天女・七夕」とか音源ないし。第10回が終わったんだから節目に、ね。
あとは先日Temps Novum の演奏会で限定販売されていた自主制作のCDがありますが、これは「若手作曲家の」CDとしてとても楽しめます。「若手」を外しても十二分に楽しめますが。
>いしづかさん
Temps Novum の山本先生の作品は、「それまで持っていた心象が一瞬の出来事によって操作される」というのがすごく面白かったと思いました。終演後、展示即売されていた同曲の楽譜でさらに衝撃を受けた私。面白い体験でした。
田中先生は吹奏楽曲「Outer Music」もそうでしたが、実に無駄のない、堅実な書法で自らを表現されている方だと思いました。実にシリアス。
ちなみに、いしづかさんが見た人物がほぼ間違いなく私でしょう。なぜか私の両隣数席は空席でしたし、あの近辺に例のカバン(通称:作曲カバン)を持っていた人はいませんでしたしね♪
D.C.のタワーはそれほど大きくないですが、CDもいくつか買ってきました。そのうち、吹奏楽関連としては、
Bernard Rands, John Harbison, et al.
Conductor: Frank Battisti
Ensemble: New England Conservatory Wind Ensemble
Albany Records - #340 / August 24, 1999
(これは、なかなか気合が入っている)
Kenneth Fuchs, Timothy Broege, et al.
Conductor: Gary Green
Performer: Whit Sidener, Luciano Magnanini
Ensemble: University of Miami Wind Ensemble
Albany Records - #403 / August 15, 2000
などは、Amazon.comで検索すれば見つかりますが、あまり見かけないレーベルのものとしては、
Edgard Varese: Intaegrales
Olivier Messiaen: Oiseaux Exotiques
Warren Benson: The Drums of Summer
Stephen Montague: at the white edge of phrygia
The Meadows Wind Ensemble/Jack Delaney cond.
Gasparo Records GC-1017