アマチュアによる集団音楽

 アマチュアの人達が多数集まって音楽活動を行っているものは、吹奏楽は勿論のこと、ほかにも幾つかの形態がある。これらの諸形態と吹奏楽を比較することによって、現代音楽界からの一般認知度を確認したい。


●吹奏楽
 アマチュア、とはいうものの、その演奏者のほとんどが学生であるというある種特殊な演奏形態であるように思える。プロの演奏団体がごく少数しかなく、それも大都市にしかない。そのため地方との落差が著しいようにも思われる。
 吹奏楽愛好者の人達は、どうも他の演奏形態にあまり関心を示さない人が多い、そんな感じも受けなくはないのだが、どうだろうか。
 これまでにも何度も書いてきたことなので今回はこの位にしておきたい。

●オーケストラ
 アマチュアによるオーケストラ、というものは吹奏楽とは違って中学・高校に見られることはあまりないようだ。主に市民オケ、大学オケとしての活動に焦点を当ててみたいと思う。
 オーケストラはプロの団体が全国各地にもあり、大都市にも多数あるので、アマチュアのオケの活動に話題が集中することはあまりない。
 いわゆる「クラシック音楽」の頂点に立つ編成として多くの人々に認知され(異論はあろうが)、現代音楽の作曲も盛んに行われている。 が、アマチュアとしての実態はどうだろうか。 演奏会のプログラムはいわゆる有名どころの作品が多く、そのカバーしている範囲も実に広い。高名な指揮者を呼ぶこともあるし、実力派ソリストを呼んで協奏曲をメインに据えることもある。 しかし、近代・現代の作曲家がアマチュアオケに対して曲の提供を行うか、というと、そのようなことは残念ながら少ない。膨大な数のプロのオケ向けに曲が書かれるために、アマチュアの依頼を受ける、またはアマチュアが演奏して楽しい曲を作る作曲家はほとんどいないだろう(武満徹が早稲田大学オーケストラのために曲をかいた、などというのは稀有な例である)。
 あまりにもプロが発展しすぎたために、アマチュアの敷居が高くなった、非常に珍しい形態であると思う。
 市民吹奏楽団に所属している方で、市民オケにも参加している、という方は多いのではなかろうか。両者の印象の違いを受けたことはないだろうか?

●合唱
 オーケストラとは逆に、アマチュアのほうが発展をリードしている形態だ。一般からの認知も非常に高く、現代作曲家も積極的に作品を提供している。
 プロの合唱団も相当数あり、かなりのレヴェルなのだが、それでも「合唱付きオケ曲」の演奏会のときには晋友会、栗友会などのアマチュア合唱団がよばれることも多い(相当難しい現代オーケストラ作品の合唱にもアマチュアが呼ばれることも多い)。
 演奏している年齢層も非常に幅広く、それぞれの年代に合わせた曲がきちんと用意されているのも特徴だ。
アマチュアの演奏レヴェルも非常に高く、現代物なんかもぼんぼんプログラムに飛び出している。もっともこれは「どんな現代音楽を書く人でも歌をかくと素直な曲になる」という不思議な現象もあるからかもしれない。
 アマチュアの音楽としてはもっとも成功した例だろう。

●マンドリン
 残念ながら、ほとんど一般に認知されていない形態ではなかろうか。我々作曲をやっている人間でも「マンドリンオケという形態がある」ことすら知らない人間がほとんどだ、というのも悲しい事実である。このページを読んでいる方にも知らない方がいるかと思うので、マンドリンオケについて簡単に説明しよう。 まず、マンドリンと一口に言っても、その種類は実に豊富で、コントラバスほどの大きさのものまである。形態としては弦楽合奏に比較的近い感じ(マンドリンの皆様には大変失礼かもしれないが)だ。さらにギターも加わり、場合によっては打楽器も含まれる。かなりの大人数で演奏され、相当な表現力を持っている。
 吹奏楽と同様オリジナル曲が少なく、オケのアレンジもやることがある(チャイコフスキー「1812年」など)。現代作曲家でこの分野に精通している人は非常に少なく、藤掛廣幸氏(吹奏楽では91年課題曲「ロックン・マーチ」などで知られているだろう)他に数名いるだけだ。
 私自身がそんなにマンドリンオケに詳しくないので不用意な発言はできないのだが(ここまでの記事もマンドリンの団体に入っている指揮科の方に聞いたものによっている)、活動に相当な苦労があるのではなかろうか。プロの演奏団体がない、というのも普及が妨げられている原因かとも思う。


 吹奏楽の一般認識を高めようと考えた場合、他のアマチュア音楽の活動も大いに参考になるし、お互いに協力し合って活動することも素晴らしいことだと思う。形態は違っても、演奏することに喜びを感じている、という点では同じはずなのだから。


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