宇宙の歴史と私たち 人は何に由来するのか?



    1. はじめに
    都会や住宅地の夜空は、一昔前に比べてすっかり明るくなり、満天の星降る空
   に感動するという機会に巡り会うことはなくなりましたが、ふと見上げた夜空の
   星は、遠い子供時代の追憶と共に,無限のロマンと知的興味を感じさせてくれます。
    2002年10月,文部科学省の「大学と科学シンポジュウム」で 「星の誕生〜天の
   川,マゼラン銀河,そして私達」について、講演とパネルディスカッションを拝聴す
   る機会がありました。そして、数十年前に学んだ天文学とすっかり様変わりして
   いることに驚きました。

    最近の天文学は、天体望遠鏡の精度向上、八ッブル宇宙望遠鏡(人工衛星)によ
   る観察等によって進歩し、その研究成果により、私たちが存在する宇宙の解明が
   大幅に進んでいることを知りました。太陽の由来、地球の由来を学ぶことは、人
   は何処から来たのか自分のルーツを知ることであり、大変興味深いテーマです。

    そこで、シンポジュウムで伺った話を中心に、疑問点をインターネットで若干
   追加調査し、私の歴史認識の一環として、次のように整理してみました。
    宇宙創造の時期・成り立ちは、未だ未解明な部分も残されており、完全に解明
   された訳ではありませんが、大略下記のように考えられていると言うことです。                              
   2. 宇宙と星の誕生 

   1)それはビックバンで始まった

    私達の住む宇宙は、約140億年前のビックバンで始まり、120億年前に天の川銀
   河ができ、46億年前に地球が誕生と推定されています。
    宇宙の起源を説明するビッグバン理論は、あの有名なアインシュタイン博士の
   時間・空間・重力を統一した一般相対性理論から生まれ、現在も宇宙は膨張しつつ
   あることが、観測結果で裏付けられています。

    ビックバンは,超高温の火の玉宇宙とされ、その時,時間・空間ができた。それ
   以前は,何もなかったとされています。この辺になると、未だよく解っていないよ
   うで、未知のロマンとして残されているところです。
     そして、いささか神話的になりますが、神の一撃で宇宙は膨張し、次に低温・低
   密度状態となって,原始ガス(殆どが水素とヘリウム)ができ、それが密度の揺らぎ
   で重力による収縮を始め、周りの物質を集めて密度を増し、固まりとしての天体
   を形成して行ったと考えられています。

   2)銀河の生成

    原始ガスが、集まって密度の濃いガスができ、それが更に収縮して星を生成。
   星の集まりが星団、星団の集合体が銀河、銀河同士がお互いの重力で衝突合体し
   て銀河団、更に銀河団が重力で集まって超銀河を形成しています。
    このように、宇宙は,果てしなく大きい階層構造となっています。

    そして、ガスが重力で収縮する時、風呂の水を排水するときに渦巻き状になる
   ように、回転が生じて円盤状になります。それ故、銀河は円盤状になっています。
     私達の地球が所在する天の川銀河は、その片隅に太陽があり、直径10万光年の
   巨大な円盤状となっており、1000〜2000億個もの多数の星が存在しています。
     そして、円盤の中には光を吸収するガス・チリがあり、横から見ると,見通しが
   悪いため、天の川銀河は意外な程良く解っていません。
    宇宙には、このような銀河が1000億個もあると言うことです。

    近くの銀河として、北半球から見えるアンドロメダ銀河は、230万光年の遥か
   彼方にあります(1光年は,秒速30万kmの光が,1年間に進む距離,9兆5000億km)。
    南半球から見えるマゼラン銀河(一般にマゼラン星雲と呼ばれています)は、
   ずっと近くにあり,天の川銀河より小さく、大マゼラン銀河は,16万光年の距離,
   直径3万光年。小マゼラン銀河は,20万光年の距離,直径1.5万光年です。
    大小マゼラン銀河は、お互いに回りながら、全体として天の川銀河の周りを公
   転しており、衛星銀河,又は矮銀河と称されています。

    そして、天の川銀河の星団が,100億年以上前に形成されたのに比べ、マゼラン
   銀河の星団は,1000万年以下の若い星団で、ガス雲が多く,星の形成過程が観測で
   きます。地球からは,マゼラン銀河円盤を丁度真上から見下ろす好位置関係にあり、
   その観察により,この10年で星の誕生・進化に関する天文学は大きく進歩しました。

   3)星の生成
  
    星の生成過程で、ガスが収縮して温度・圧力が上昇し、発生した熱エネルギーを
   放出して圧力を下げるため、水素を燃やす核融合反応が生じます(水素→ヘリウム
    + 核エネルギー)。この時、重元素が生成すると共に、自ら輝く“星”=恒星と
   なります。
    即ち、星間ガス→重力で収縮→密度・温度上昇→核融合反応で輝く“星”になる
   と言う訳です。

    もう少し詳述すると、宇宙空間の冷たいガスの固まりが重力によって収縮し、
   収縮するにつれて次第に温度を上げて行き、中心部の温度が1500万度,密度が水の
   160倍という高温高圧になると核融合反応が始まり、光エネルギーを発散します。
    この時、重力による収縮力と、内部の圧力で外へ膨らもうとする力が均衡して、
   恒星は同じ大きさを保ち安定した状態になります。                               
   3. 星の一生

   1)星の質量による相違

    星の一生は、それが誕生した時の重さ、即ち質量に左右されることになります。
    星の寿命は質量が大きいほど短命。これは、大きいほど中心部の温度・圧力が
   高いため、核融合が急激に進み、水素を早く消耗してしまうためです。
    太陽の寿命は約100億年と推定され、誕生から約50億年経っているので,余命は
   50億年ということになります。

    ここで、太陽の質量に比較して星を分類すると、下記のようになります。
   (1) 0.013倍未満 :惑星の規模であり、地球と同じく自ら光を発しません。
   (2) 0.13〜0.75倍:褐色矮星になり、温度は高まるが,核融合反応にまでは至らず、
            水素が安定し,燃焼しない。
   (3) 0.75倍以上  :恒星となり、核融合反応で水素を燃やして自ら輝きます。

   2)恒星の運命

     太陽の質量の0.75倍以上は恒星となりますが、その中で更に分類すると、次の
   ようになります。

   (1) 0.75〜1.4倍の太陽と同規模の星:長期間燃焼を続けて、水素を全て燃やし
   尽くすと,中心部にヘリウムの核が出来ます。ヘリウムの核融合反応には至らず、
   核は次第に冷えて収縮、その収縮に伴ってまた温度が上がり、熱が外層へ移行し
   てガス層が膨張し、大きな赤い星になります。これが赤色巨星です。
     そして、赤色巨星の外層部は、何度か激しい爆発を起こして、ガスを周囲に放
   出し、中心部のヘリウム核だけが残り、更に収縮し、安定した高温の小さな星に
   なります。この状態が,白色矮星と言われる星です。

    太陽は、あと50億年で赤色巨星へ、その大きさは現在の100倍以上、太陽から地
   球までの距離は太陽の約100個分です。従って、大分先の話ですが、そのとき地球
   は,太陽に飲み込まれて最後の日を迎えることになります。
    その後、太陽は、現在の1/100くらい大きさの重く小さな白色矮星になります。
   その大きさは丁度,地球程度であり、白色矮星は、次第にエネルギーを消耗して低
   温になり、遂には,光を失ってその一生を終わることになります。

   (2) 1.4〜8倍の重い星:中心部の温度・圧力が非常に高いため、中心部の水素がヘ
   リウムに変わった後も、ヘリウムが核融合反応を継続します。即ち、ヘリウム核
   が炭素と酸素の核に変化し、更にネオン、マグネシュウム、珪素、鉄とより重い
   元素へシフトし、中心部が鉄に変化した段階で核融合反応は停止します。
    次に、中心核が収縮して熱を発生し、熱が外へ流出して外層部が膨張します。
   これが赤色超巨星であり、その大きさは太陽の数百倍にも達っします。

    赤色超巨星は、最終的には中心核を残して大爆発し、これが超新星爆発です。
   この時、残された中心核は更に重力によって収縮を続け、非常に高密度のため、
   電子が作用しなくなり,原子が全て中性子に変わります。これが中性子星と言う
   非常に重い星です。

   (3) 8倍以上の超重い星:赤色超巨星となった後、超新星爆発を経て、中性子星を
   生じますが、高質量のために、そこから更に重力収縮が続き、ブラックホールに
   進化すると考えられています。
    ブラックホールは、重力があまりにも強く、それ故,そこからの脱出速度は光速
   (30万Km/秒)を超えることもあり、そうなると光さえも外に出られなくなり、文字
   通り暗黒の世界と化します。                                
   4. 惑星そして地球の誕生

    宇宙空間のガスが重力で収縮する時、回転が生じて円盤状の銀河が形成される
   と記しましたが、それと丁度同じように,その中の個々の星の場合も、原始惑星系
   円盤状になります。
    そして、円盤状のガス・チリが、中心の恒星に吸収される,又は宇宙空間に拡散
   してしまって消失した場合は、惑星はできません。ここでガス・チリが散逸せず
   に、円盤状空間の中で,集合・収縮した場合に,惑星が誕生することになります。
    このようにして、地球は太陽系の惑星の一つとして,46億年前に太陽と共に誕生
   しました。

     従って、地球のような太陽系惑星は,特別な存在ではなく、1995年に,太陽系外
   で初めて惑星が発見され、現在迄に,100個を超える木星類似の大型惑星が発見さ
   れています。5つの恒星を精査すると,1つの惑星を発見する確率だそうです。
    しかし、地球のような小型惑星は、天体望遠鏡の検出感度の点から,未だ発見さ
   れていません。現在,第2の地球探しプロジェクトが始まっていますが、地球外の
   生命体は未発見の段階です。
    宇宙人とのコミュニケーションは、確率論的に,高度文明の持続が,1000年では
   無理、1万年で可能性があるとの話です。                                
   5. 宇宙の輪廻と私たちの存在

    前述したように、星の一生は、水素を燃やして輝き、太陽より大きい星の場合
   は、先ず水素,それが尽きるとヘリウムの順で,核融合を続け、核反応によって鉄
   までの各種元素が生成され、膨張して赤色超巨星となります。そして、核反応燃
   料が尽きると超新星爆発を生じ、その時、爆発衝撃の核反応で金,ウランなどの
   更に重い金属を生成します。

    それが宇宙空間に漂う星間物質になり、再度収縮して恒星を形成すると共に
   (現在の太陽系は二代目の太陽系と推定されています)、隕石として地球へも達す
   る宇宙の輪廻が形成されています。
    この繰り返しの過程で,軽元素→重元素→有機化合物→生命の誕生があったので
   す。即ち、我々の体をつくる炭素,窒素,酸素,リンなどの元素も、大昔にどこかの
   恒星の内部で創られ、超新星爆発によってまき散らされたものと考えられます。
    従って、人間のオリジンは,ガス・チリの星間物質であると言うことになります。

    太陽系が形成された時、地球は,材料となる重元素を掻き集めるようにして天地
   が創造され、それ故にこそ,我らが地球は,重元素が多量に存在し、そこから奇跡
   としての生命が誕生することになったのです。
    その背景には、超新星爆発が何度も生じ、その結果として,今ここにヒトが存在
   することが可能になったと言うことになります。