ほんだな

2011-2015

さて、書評のページも当初予定していた2010年12月までが終わってしまい、新しく新規ページを付け足しました。いったいいつまで続くんだろう・・・。

著者別索引は→ こちら

2010から2006年は→ こちら

2005年より2001年は→ こちら

2000年より以前は→ こちら
 

5月分
彼女が追ってくる」 石持浅海 祥伝社  「扉は閉ざされたまま」の倒叙ミステリの続編。最初から犯人がわかっていてもこれだけおもしろくドキドキするのはやはりこの作者はこのパターンの第一人者だな。コロンボ役のヒロインが徐々に謎を解き明かし、主人公(!?)の犯人を追いつめていくのがわくわくしますね。しかし今回はそれに加え、最後にもうひと波乱が・・・。いやあ、やってくれますな。
4月分
マジックミラー」 有栖川有栖 講談社文庫  初めて読んだこの作家の代表作。これ以外にも推す作品は多かろうが、初期の意欲作・本格トリックものの代表作でこちらを選んだ。結果としては当たり。鉄道ものなら西村京太郎が有名だが、これはまた別の意味で力業のトリックである。そして動機も・・・。あとがきにあるように、若くて勢いがなければ書けない作品というのもうなずける。それにしても、この作者の主人公へのこだわりというか入れ込みようときたら・・・。新ジャンル開拓の予感。
3月分
いけちゃんとぼく」 西原理恵子 角川文庫  「ぼくんち」が懐かしいが、この本もほのぼのとする中にほろりと人情を感じさせるコミックである。ここに書かれている海や山や夕陽など、自然の美しさには写真以上の写実性が感じられるのは不思議。きっと作者の原体験が読み手に上手く伝わっているんだろうね。最後のオチは、母親でないと書けんよな。時々取り出して読みたい、そんな好著。
2月分
マスカレード・ホテル」 東野圭吾  集英社  ニューヒーロー誕生。その名は新田浩介。やや独断的だが、頭はものすごく切れる。さらに人一倍の正義感と熱血漢。加賀恭一郎や湯川学とはまた違った主人公である。彼と、彼が潜入したホテルのフロントウーマンの山岸尚美を軸に、ひと癖もふた癖もある役者が入り乱れる。果たして、潜入したホテルでいつ、だれが殺されるというのだろう。そして連続殺人の目的は・・・。今回もあっと驚く展開と結末。そして動機・・・。いやあお見事。この主人公を使った作品、シリーズ化を求む!
2012年1月分
「怖い絵」で人間を読む」 中野京子 NHK出版  最初は何の気なしに美術好きの話のタネにと買ったが、どうしてどうして、実に興味深い本でした。どちらかというと、絵から読み解く歴史のお勉強。それも、物語風になっており、飽きさせないのは作者の筆致の為せる技であろうか・・・。実際に海外の美術館に出向いてその絵を見たくなりました。こんなに多忙の私に、いつかそんな日が来るんだろうか。
ガリレオの苦悩」 東野圭吾 文藝春秋  ご存じガリレオシリーズの短編集。文庫化を待って読んだので、「真夏の方程式」のあとになってしまったが、短編集なので違和感なく読めました。それぞれの物語の中での犯人の悲哀が実に哀しい。まあこのシリーズはいつもそうなんだよね。いつからか重要な役回りになった内海薫から目が離せない。しかし、どうしてもTVの影響からか、柴崎コウのイメージがちらつく。湯川学は福山雅治のイメージがちらつかないのにね。
12月分
真夏の方程式」 東野圭吾 文藝春秋  東野圭吾の作家生活25周年記念3部作の2作目は「ガリレオ」シリーズ。今回は、ひと夏を親戚のやっている旅館で過ごすことになった少年・恭平とガリレオ・湯川学の奇妙な友情を軸に、旅館で起きた変死事件におなじみ草薙・内海刑事が挑む。早い段階から他殺とにらみ、真相に迫る湯川。同時に、旅館のひとり娘・成実の周りでも少しずつ変化が…。興奮、衝撃、感動。いつもながら、えっ犯人は、真実は、こうくるのかよ、と意外な結末。こりゃ、3作目も読まなきゃ…。
11月分
麒麟の翼」 東野圭吾 講談社  2011年、東野圭吾作家生活25周年記念特別刊行三部作の一作目は、加賀恭一郎シリーズ。またまた日本橋を舞台に、加賀と従兄弟の松宮が縦横無尽に駆け巡る。私は今年の正月に日本橋七福神を歩いたが、なんとそれが謎解きに使われているのね。まさにリア充。それにしても、毎回ラストのどんでん返しには驚かされますが、今回も犯人は意外や意外…。本当にこの作者は引き出しがいっぱいあるなあと思います。残り二つの作品も期待大!
10月分
津波と原発」 佐野眞一 講談社  ノンフィクションって普段あまり読まないのよね。だけど、震災を経験したものとして、これは読まずばなるまい、というわけで買ったのだが、引き込まれましたね。この著者の文体が読みやすいというのもあったし、史実に基づいたコツコツとした調査といい、我々の「研究」と同じにおいを感じたら一気に好きになりました。それにしても、原発や地震を語りつつも、この書の神髄は、日本人論なんだなと、そして最終的に少子高齢化や経済の停滞に結実させるところは、なんだか違和感というか、むしろこういう視点は我々医療や福祉の立場だけでなく全方位的な問題なのかと震撼してしまいます。今年一番の必読の書。
9月分
狐火の家」 貴志祐介 角川書店  「硝子のハンマー」で活躍した防犯探偵・榎本径と美人弁護士・青砥純子のコンビ復活、と思いきや、今回は表題の作品をはじめとする四編の短編集である。これがまた実におもしろい。ぜひこのコンビで更にシリーズ化をお願いしたいくらいである。それにしても、4つの作品に共通するのが、全部密室に関係してくるということ。こういう趣向も貴志祐介らしくていいね。「クリムゾンの迷宮」を思い出した・・・。
8月分
朽ちていった命 被曝治療83日間の記録」 NHK「東海村臨界事故」取材班 新潮文庫 1999年9月30日の茨城県東海村臨界事故を覚えているだろうか? この本は、あの事故で被曝した一人の技術者の治療の記録とドキュメントである。遺伝子が破壊されていくとはこういうことを言うのか、と背筋が寒くなる思いであり、同時に、現代のどんな高度の医療でも放射線による被曝は為す術がないという恐怖を感じた。核は安全でクリーンだなどと、どの面を下げて言えるのかと憤りを禁じ得ない。折りしも、東日本大震災で起きた原発事故。収束への道のりが遠いというのもあるが、きっと被曝による健康被害は起こってくることででしょう。この原発事故のあとに読んだだけに、胸に迫るものがある。エネルギー問題を含め、日本人のあり方や立ち位置が試されている、そんなふうに思えてならない・・・。
7月分
もえない」 森博嗣 角川文庫  森博嗣の作品は、どれも謎めいたというか、どうにも居心地の悪い、しかしその中での会話が妙に懐かしいような不思議な気持ちにさせてくれるのであるが、この作品もご多聞に漏れずそういうミステリィである。なぜか前にどこかであったような、見たことのあるような景色。さらに不思議な金属製のプレートが友人の棺から出てきた。それはまさに「栞」?そして主人公の淵田悟の周りに奇妙な事件が起きていく・・・。最後の一行の「もえない」という意味がシュールで、やはりこういうオチを持ってくるとは、森センセイさすが、である。しかし、この主人公と西之園萌絵の共通点もしっかりあるし、なにしろ「萌絵・ない」だからね。こんなところにもお遊びが過ぎますなあ・・・。
6月分
ブルー・ロージス」 山岸涼子 文春文庫ビジュアル文庫 なぜ山岸涼子かって? それは、この自選作品集に「パエトーン」が入っているから。この「パエトーン」という作品、なんと原発の矛盾と脅威を描いた作品なのである。まだ六ヶ所村の再処理工場さえできていない1988年にこの作品が描かれたとは驚きだが、今や東日本大震災のあとだけに本当に先見の明がある。いや、我々凡人がこの原発の問題をしらなすぎただけなのか。いずれにしても、今回の津波による原発の事故は我々にこの矛盾と真実を白日の下にに晒しだしてくれた。これから日本はいったいどうなってしまうのだろう・・・。
5月分
私の家は山の向こう テレサ・テン十年目の真実」 有田芳生 文藝春秋 今回の東日本大震災で、諸外国のうち最も義捐金の多かったのが「台湾」。そしてその台湾の国民的歌手といったらテレサ・テンでしょ、ということで読んでみました。彼女の歌はカラオケでよく聴くし、好きな歌も多いのだけれど、私はとても誤解をしていたことに気がついた。彼女は、日本で言ったら美空ひばりにも匹敵するような、いやそれ以上の「アジアの歌姫」だったのである。純粋な心と真面目な性格がここまでのスターを育てたのは疑いようのない事実だが、そんな彼女の波瀾万丈の人生の軌跡がここにある。作者の有田芳生はオウム真理教の時によく見かけたので眉唾ものと思ったが、どっこいいい仕事してるやん・・・。それにしても、42歳という彼女の短い人生だけど、生きるのに一生懸命なその姿勢、本当に共感させられる・・・。ますますテレサ・テンが好きになりました。
4月分
ダブル・フェイス」 細野不二彦 小学館  ギャラリーフェイクに続く細野ワールドはいわゆる天誅もの。現代のハングマンはDr.WHOOこと春居筆美。月影ファイナンス(街金)を舞台に、数々の負債(悪)を回収(成敗)する。しかし、最初はただそれだけのコミックかと思っていたら、クロブチ機関が登場してからどんどん話が大きくなって、巨悪と闘う闇の組織と化していく。今やその動向から目が離せない・・・。ビッグコミックに連載中でしたが最近完結しましたね。前作以上に盛り上がりを見せた最終回でした。関係ないけど、ヒロインの小泉じゅんのキャラクターってよかったなあ。なんというか、癒される・・・。
3月分
ギャラリーフェイク」 細野不二彦 小学館文庫  もう随分前に完結した美術コミックであるが、趣味が美術館巡りの私にとって、実におもしろく有意義なコミックである。しかし、ダ・ヴィンチをはじめ、ミケランジェロ、ゴッホ、ルノアール、ゴーギャン、ピカソ、また海外にとどまらず日本画や浮世絵、骨董の数々でよくまあこれだけネタを集めたものだと感心しきり。しかも、ただの美術蘊蓄ではなく、主人公藤田玲司、助手サラ・ハリファ、高田美術館館長・三田村小夜子、さらに大勢のひと癖もふた癖もある登場人物に囲まれ、ロマンスあり、推理サスペンスあり、冒険ありと実に飽きさせない展開で、全23巻一気読みである。続編でないかな・・・。
2月分
白銀ジャック」 東野圭吾 実業之日本社  久々の東野作品。手に汗握る展開なのはいつもと同じだが、しかし、スキー場を人質に取るという発想はさすが東野作品である。それにしても、スノボ好きの彼らしい競技の蘊蓄などもしっかりちりばめられており、なかなか読ませるねえ。最後のオチはなんじゃそりゃ、という感もなくはないが、まあその辺りは娯楽作品なのでご愛敬か。スキー・スノボ好きにはたまらない一冊。
2011年1月分
そばもん ニッポン蕎麦行脚」 山本おさむ 小学館  蕎麦好きの私にとってのバイブルとも言えるコミック。ただの蕎麦の蘊蓄というだけでなく、人情もの、美味しんぼ的料理対決なども見どころ満載である。それにしても、蕎麦ってこんなに奥が深いものだとは思わなかった。ますます蕎麦が好きになった一冊。


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