| 如月エンディング日記 |
如月と言えばやはり、忍者だ。どこの世界でも。
そして俺にとってこいつは、かなり気難しい奴だ。何故なら、俺との相性は好感度ボーナス8とかなりいいはずなのに、何故かこいつをゲットするために八話を三回もやり直さねばならなかったという逸話の持ち主だからだ…その度に冒頭のポエムを聞かされ、遂に空で言えるようになってしまった。
さらに、雷人に街中で忍者コールをされ「大きな声で言わないでくれ」と怒っていたが、攻略本でしっかり忍者コスプレしてるという訳分からん奴でもある。
まだある。店で絶対に負けてくれん。一周目は、「旧校舎で『値切りの指輪』が拾えたら」と思うことしきりだった。
だが何故か予定会話では、京一とはまた違う面倒見の良さを発揮する不思議な奴でもあり、意味深な間の空け方に、うっかりするとこちらがヒかされることもあった。
…結局、「よく分からん忍者」に奴のパーソナリティは凝縮されると思っている。
奴に「京一と中国へ行く」と言った場合、
1:「東京を見捨てるのか」と怒られる
2:機嫌がいい場合は「帰ったら、いつでも店に寄って(ゲットした中国産アイテムをタダ同然の値段で置いてって)くれ。お茶でもご馳走するよ」と言われる
3:もっと機嫌がいい場合は「寂しくなるな、気をつけて。君だけの体じゃ…ないんだから」と言われる
4:さらに機嫌がいい場合は「中国か…素晴らしいね」と言って、四千年(弱)の歴史と文化について薀蓄を垂れまくられる(そして居眠りで怒られ、1へ)
恐らくこの内のどれかだろうと推測する俺だ。
京一に「如月と約束している」と告げると、「お前がそんなに骨董好きとは知らなかったけどよ」と返される…いや古い物もそれなりに好きだが、一番好きなのはやはり現役ピチピチ高校生男子のお前だ! 心配するな!(ぎゅーっ)
校門で待っていると、如月はかなり遅れてやって来た挙句「まだ、学校にいたのか…」と言ってくれる。が、ハネムーンを前にいい人と化した俺は決して怒ったりせず、奴と花園神社へ行く。
何故神社なのか訝しく思う俺に、
「こんな時季はずれに神社にお参りなんて、おかしいと思うかい? でも僕には今日、ここに来なければならない理由があったんだよ。初詣の時にかけた願が叶ったから…こうして今日は、そのお礼に来たんだ」
と言う。
そう言われてみれば正月に参拝帰りのところをアルタ前で会ったな…一体、何の願をかけたのかは知らんが。「商売繁盛」か。いやそれとも「高価アイテムゲット」か…と思っていると、熱い瞳で横の俺をしっとりと見る…何だいきなり。今回、俺はまだ何もしとらんぞ。思わず後ずさる俺だ。
「願いが叶ったその証拠に、君が無事な姿で僕の前にいる−。君が無事に全てを終えて、そしてこの春を迎えることができて、本当に…良かった…」
だそうだ。
何ということだ。あの時俺はと言うと、「無事卒業させるように(命令形)」だの「今年こそは京一とHさせるように」だのを願っていたというのに…汚れていたな。フッ。
…いや、ただ単に今日は機嫌がいい日なのか。それとも、感激した俺を取り込んでこの後蔵の大掃除を手伝わせる気では…などと思わず疑心暗鬼に囚われる。
「でもまさか、正月に初詣に行って他人のために願を掛けるなんて、自分でも思いもしなかったよ。だけど…(←この「…」に注意警報)気がついたら君のことを考えていたんだ。自分でも…不思議だよ。こんなに誰かのことが気にかかるなんて」
と、再びしっとりと見つめられ、ズイッと者間距離を狭められる…ナンだ。誘っているのか。誘っているな。ここは神域だがそこまで言うなら仕方がない。ご神木に押し付けて、というのも中々ソソるシチュエーションだ。俺の好みからするとこいつはいささか細過ぎるが、据え膳食わぬは何とやらと言うし、俺に否やはない…と、俺の方でもさらに距離を詰める。
が、唇まであと5センチというところで哀しげに瞳を伏せられる。
「いや−、突然こんなことを言っても、君には迷惑なだけだな」
…何だここまでしておいて(←やったのは自分)。今更命乞いか(激違)。当然【愛】でガバーっだろう…と思うが、「迷惑」じゃないから否定しなきゃならんのか? いや【愛】でいいのか? どうする。混乱して何となく宙を振り仰ぐ俺に、「日本語の否定疑問文難しいからワカンナイ」という極めて無責任なアドヴァイスが返ってくる。
…誰も頼りにならん。仕方ないので、何となくどっちつかずの【悲】を返しておく(Tips!
ピンク文字。【愛】もピンク文字です)。
するとまたもやしっとり空間を創造され、
「庵…そうだな。僕はきっと、君のその瞳にひかれているんだ。君のその、真っ直ぐな瞳に−」
と言われる…真っ直ぐな…瞳………?
謎が謎を呼び、ふと嫌な予感が胸をよぎるが、取り敢えず気を取り直してそのまま奴の告白を聞くことにする。
「今までの僕は、人に振り回されるのがわずらわしくて、他人との、必要以上の関わりを避けてきたけれど、君のことだけは放っておけなかった。むしろ−、君になら、どんなに振り回されてもきっと楽しいだろうと−そんなことを考える始末だ」
だそうだが………ちょっと待て。「考える始末だ」はともかく、俺がそんな「振り回す」とかいうおきゃんなことをしたことがあったのか? それとも、螺旋洞でボール運びを何回もやらせたことを恨んでいるのか? あれはハットリ君ファンが悪いのだ…いや、諸悪の根源は馬鹿なプレイヤーだが。て言うか、仮に俺に振り回されたとして、迷惑がりこそすれ喜ぶ奴はまずいないだろう…(例:京一、雷人ほか)
いやそれよりもここではっきりさせたいのは、お前は一体全体受けなのか攻めなのか。さっき俺に迫ったのは、挿れられるためでなく挿れるためなのか……?? その細い身体で俺を攻めるつもりなのか…??
今まで予想だにしなかった、主体が客体に、客体が主体に変わるこのコペルニクス的転回についていけず、俺の背中を嫌な汗がじわりと伝い落ちる。
そんなに振り回されたければ雷人辺りを構っておくがいいと思うが、悪夢を見ているかのように声も出せず、告白の続きを聞かされる。
「自分でも、本当に、らしくないと思うよ。それに…僕がこんなことを言うなんて、なんだか滑稽だろう?」
と、いつもの「フッ」笑いと共に囁かれるが…いや、最早滑稽を通り越して恐怖以外の何物でもない。速効で【友】を返そうとする俺だが、神速で【愛】を押されてしまう。
「! 何故そんなことを…」と天を仰ぎ見るが、「面白そうだから」という答えが返ってきた…暴走するぞ俺は…
そんな裏での諍いを知らず、尚も攻め如月は絶好調だ。
「庵…。不思議だな。君の言葉はいつも、真っ直ぐに僕の中にしみこんでくる気がする。フッ…ひょっとしたら、僕はもうとうに−、君に振り回されてるのかもしれないな。初めて会った、あの夏の日から……」
………ゲ!! どうしたんだ、目を覚ませ如月!
「庵…、もしかしたら僕たちは、こうしてはるか昔から、幾度もめぐり会ってきたのかもしれないな」(一歩前進)
待て! お前に迫られるのが俺の宿星だとでも言い出す気か!(一歩後退)
「永い永い時間の中で僕はいつも−君を探していたのかもしれない」(さらに一歩前進)
ヒ…! 俺には前世からのシュガー、京一が…っ!(さらに二歩後退)
「玄武は、黄龍を護るためにあるのだから−」(さらに一歩前進)
大丈夫だ! 俺は自分のことは自分で護る! て言うか、越権行為だお前!!(一歩後退するも、既に後はなし)
さらに奴は、何が起きたのか測りかね立ち尽くすしかない俺の腕をむんずと掴み、
「そうだ、よかったらこれから店に寄って行かないか? 店の庭の桜も、今年は早く咲き出したから、まだ少し早いけれど、十分に花見の風情はあるさ−行こう、庵。君と話したいことは、まだたくさんあるから−」
と、剣呑に笑いつつ俺をズルズル引っ張って行く…何故だ。どうしたのだこの馬鹿力は…
助けを求めて背後にいるはずの京一を振り返るが、いない振りを決め込んだらしい。
一言、たった一言だけ「卒業したらどうするんだ」と聞いてくれれば、「京一と中国へ行く」で速攻バッドエンディングなんだが…何故こいつは聞かんのか。
いや、「話す」だけなら別に構わんのだが、ボディ・ランゲージだったらどうするのか。
…ということで今回、一人だけ中国ツアーでも別宅エンディングでもバッドエンディングでも何でもない特例パターンができあがったらしい。やっぱりこいつは「よく分からん忍者」だ…が、取り敢えず俺(のヴァージン)はこれからどうなるのか。一体全体、こいつは俺を押し倒せるつもりでいるのか。以下次号。(←嘘)