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| 目 次 |
| 第1章 シルフィール |
| 第2章 ガウリイ |
| 第3章 ゼロス |
| 第4章 リナ |
| 第5章 昔なじみ |
| 第6章 ルーク |
| 第7章 レゾ |
| 第8章 アメリア |
| 第9章 ミリーナ |
| 第10章 ゼルガディス |
| 夕暮れの薄闇を運ぶ風がまばらな木々の枝をざわめかせ、ガウリイの長い金髪を揺らして吹き過ぎる。 彼は、白いマントとフードをまとった、かつての仲間とやや離れた間合いを取って向き合っていた。二人から同じ位の距離をおいて、ルークがなりゆきを見詰めている。 「……抜け」 殺気のこもった声でガウリイはゼルガディスに決闘の開始を宣言し、斬妖剣(ブラスト・ソード)を引き抜いた。ゼルガディスは口の中で呪文を唱えながら、遅れてブロード・ソードを抜く。 一瞬、ルークはゼルガディスに剣だけの勝負にするよう、意見しようかと考えたが、ガウリイの性格と技量から考えて、全力を尽くしての戦いを望むはずだ、と察して何も言わなかった。 「魔皇霊斬(アストラル・ヴァイン)!」 ゼルガディスの力ある言葉と共に、彼のブロード・ソードの刃が、淡い赤い色を帯びる。彼はガウリイが以前の光の剣を失っていることは知っていたが、それに代わる魔剣を手にいれたかどうかまでは知らなかった。ただ、いくらなんでも普通の剣で、岩人形(ロック・ゴーレム)と合成されている自分に勝負を挑むとは思えない。何らかの力があるのに違いない、と考え備えたつもりだった。 この時、ゼルガディスはガウリイと命の取り合いをする気はなかったが、先刻の修道院での騒ぎのように、相手の動きを魔法で封じる真似をする気もなかった。彼は魔法を、ガウリイの隙をつく手段とし、決め手は剣に限ると決めていた。彼の剣士としての意地が、真剣勝負を望んでいたのだ。 一方、ガウリイは本気でゼルガディスを倒す決意だった。この両者の意識の差が、勝負をあっけないほどの短時間で終らせることになる―― ガウリイとゼルガディスはほぼ同時に地を蹴り、剣を相手に向かって振るう。 ゼルガディスは、ガウリイと剣を合わせた瞬間に雷撃の呪文を放ち、相手の動きを鈍らせようと考えていた。 が―― 二本の剣がぶつかり合った時、普通ならば響く金属音はしなかった。ガウリイの斬妖剣は、まるでナイフがバターを切るように、ゼルガディスのブロード・ソードを、音も無く断ち斬っていた。 ゼルガディスがそれを知った時には、既にガウリイは剣を翻し、無慈悲な一撃が彼の腹を裂いていた。 「何か言い残すことはあるか?」 地面に仰向けに倒れたゼルガディスを見下ろし、ガウリイは冷たく言い放つ。ゼルガディスは苦しい息の中、声を絞り出した。 「……ガウリイ……お前は知らなかっただろうが……俺は……どんな女も身ごもらせることはない」 「何?」 驚くガウリイに近寄ったルークも、ゼルガディスの言葉に眉をひそめる。 「赤法師レゾのお墨付きさ……合成獣(キメラ)は、繁殖力が……無い……子をなすことがない……」 「!」 ルークは慌てて地面に屈み込み、ゼルガディスの顔を覆っている白い布をはいだ。表れたのは、青黒い岩の肌に覆われた顔。はだけたフードからはみ出た銀髪は、普通の髪ではなく、金属の糸の集まりだった。 合成獣――複数の存在を合成して作られる生き物。それは己の中にいるモノの特色を併せ持つため、人間離れした能力を持つ反面、子孫を残す能力を失っている―― 魔道をかじったルークは、そんな話を聞いたことを思い出した。 「……じゃあ、シルフィールの子供は?」 ルークは自分たちの誤解を思い知り、背筋を冷たいものが駆け抜けるのを感じた。 「……俺の…子じゃない……俺は…彼女に指一本……触れていない……」 「だったら、なんでガウリイの挑戦を受けた?!彼女に負い目があると言ったのは何だ?!」 畳み掛けるルークに、しばらくゼルガディスは荒い息でしか答えられなかったが、やがて苦しそうに顔を歪めながら言った。 「……彼女が妊娠に気づいて…産むか堕ろすか迷っていた時……産むように勧めたのは俺だ……その結果、彼女は身ごもった姿を…ガウリイに見られてしまった……彼女はそのことを…出産の間中…嘆いていた……」 ゼルガディスは虚ろな目を、青ざめて立ち尽くすガウリイに向ける。 「俺の…おせっかいのせいで…シルフィールは深く傷つき……ガウリイにも嫌な思いをさせた……俺は二人に…負い目がある…だから……」 そこまで言って、ゼルガディスは大量の血を吐き出した。 「ゼル!」 「ゼルガディス!」 ガウリとルークの叫びは、彼の生命力を呼び覚ましはしなかった。 びくびくと弱いケイレンが続き、それがやむと不気味なほどに静かに横たわったまま。ルークはゼルガディスの首筋に手を当てて脈を確かめようとしたが、硬質な滑らかさが伝わるだけで、もしかしたら生きていても脈を外から確かめることはできないのではないか、とさえ思われる。 「どうだ?」 ガウリイの声はほとんど消え入りそうだった。ルークはゆっくりと首を横に振る。 「彼を頼む!」 ガウリイがはじかれたように、町の方向へ走り出す。 ルークは、助けを呼ぶなら、翔封界(レイ・ウィング)を使える自分の方が速い、と彼の後を追おうとして、ふと、視線を感じて立ち止まる。 決闘場となった空き地を囲むまばらな木立ちの陰から、黒い人影が現われ、ルークに歩み寄った。 「リナ!」 ガウリイは叫ぶと同時に、シルフィールの病室の扉を開いた。 すぱあぁぁぁぁぁんっ! 強烈なスリッパの一撃がガウリイのこめかみに炸裂し、ガウリイは目から火が出た。 「この馬鹿!こんなところで大声出すんじゃないわよ」 リナは小声ながらきつく言う。ガウリイは大きな身体をすくめながら、涙のにじむ目をこすり、努めて小さな声で言った。 「リナ、助けてくれ。ゼルが大変なんだ」 リナは眉をひそめ、何があったのか、とは問わず、ただ黙ってガウリイの胸に残る返り血に視線を走らせた。そして顔を上げると。 「行くわよ、ガウリイ。ミリーナ、翔封界でいっしょに彼を運んで」 長身のガウリイをぶら下げて飛べるギリギリの高さで、リナとミリーナは飛んでいた。翔封界は、高度が低くなると同じ重さでもより速く飛べる。ほどなく、彼らは町外れの空き地にたどり着いた。 「よう。いいところに天の助けが入ったぜ」 三人を迎えたルークが、陽気に言う。 「天の助け?」 ガウリイが尋ねると、ルークは後ろを指差して、 「旅の神官さんが通りかかってね、手当てしてくれるって。もうすぐ目覚めるんじゃないかな?」 ルークが指差す先では、地面に横たわるゼルガディスに一人の男性神官が屈み込んでいる。リナやルークたちには背を向けているので、年の程や人相は分からないが、ただ、肩まで黒髪を垂らし、黒いマントを身に着けていることだけが分かった。 その後姿に、リナが息を呑む。 「待って」 ガウリイとルークがセルガディスに近づこうとするのを、彼女は止めた。すると、彼女の声が聞こえたのか、神官が立ち上がりリナたちの方に向き直ったのだ。 「あれっ……お前?」 ガウリイが素っとん狂な声を上げる。 「覚えていていただいて光栄です、ガウリイさん」 見た目に二十歳くらいの神官が会釈をする。 「……知り合いか?」 「ああ……でも……」 問いかけるルークに、口ごもるガウリイの横を、リナが一歩進んで前に出る。 「久しぶりね、ゼロス。魔族の神官がこんなところで人助けとは何の冗談?」 「!」 リナの言った「魔族」という言葉に、ルークとミリーナはとっさに身構える。彼らもかつて覇王将軍を名乗る強敵と戦ったことがある。どういうヤツなのかは分からないが、神官と肩書が付くからにはかなりの実力だということが予想できた。 「冗談とはひどいですよ。僕もゼルガディスさんとはつきあいがありましたからね、死にかけているのを見捨てるわけにもいかないでしょう」 「嘘つき(きっぱり)」 断言するリナに、ゼロスはひきつった笑みを返す。 彼はいつも人間には嘘を言わないのがモットーな分、こうして面と向かって不誠実さをなじられると、それなりに傷つくらしい。 「嘘なんてついていませんってば。ほら、そろそろ気がつきますよ」 ゼロスの言う通り、その時、ゼルガディスが身じろぎした。ガウリイも、ルークも、リナもミリーナも、固唾を飲んで見守っている。 やがて、ゼルガディスはしっかりと目を開き、あたりをゆっくりと見回した。その視線がガウリイを捕らえた時、少し表情が固くなったが、すぐに自分の傍に佇む黒いマントに気がついた。死にかけていたとは思えない素早さで飛び起きる。 「ゼロス!貴様?」 「ご無沙汰しています、ゼルガディスさん」 ここでもまたゼロスは会釈をする。ゼルガディスは相手をにらみつけながらも、じりじりと後ずさった。 「まあ、そう警戒しないでください。僕はたった今、息絶えていたあなたを蘇生させたんですよ」 「な……に?」 ゼルガディスは立ちすくんでいるリナたちに視線で問い掛ける。リナは彼の目を見詰めて、首を小さく縦に動かした。 「僕が死んだばかりの人間を蘇生させるところは、あなたも前に見たことがあるでしょう?」 ゼロスは人差し指を立ててみせる。 それはゼルガディスにとって苦い思い出―― 彼が異界黙示録(クレアバイブル)の写本を求めてさ迷っている時に、一人の少女、プラムが何者かに襲われているのを助けた。彼女はレティディウス王国の大神官の末裔で、写本を持っていたのだが、それを狙っていたのが、魔王シャブラニグドゥを崇める邪教集団だった。 彼らは、プラムを追い詰めるため、彼女の弟をさらっていた上、彼女が住まう村に怪物をけしかけていた。村人たちは怪物退治のため、傭兵や魔道士を雇っていて、ゼルガディスはなりゆきで自警団に雇われることになったが、そこで「謎の神官」を自称するゼロスと出会ったのだ。 ゼルガディスには怪物を倒す自信があった。しかし、一度は邪教集団に雇われた刺客に邪魔をされ、逃がしてしまった。彼が手をこまねいている間にも、仲間の傭兵や魔道士は次々と倒されて行く――ゼルガディスの心の無力感が生まれたのはこの時だ。 さらに追い討ちをかけたのは、彼が追っていた怪物が、実はプラムの弟だと知らされたことだ。邪教集団は、子供を魔族と合成して合成獣を作っていたのだ。自らが合成獣であるゼルガディスには、その怪物を殺せなかった。 しかし、ゼロスはあっさりとその怪物を倒した。目の前でプラムの弟が死んで行くのをただ眺めることしかできず、ゼルガディスの無力感が募った。 ゼロスにプラムの素性を告げられ、彼女が邪教集団に捕らわれたことを知ったゼルガディスは救出に向かったが、彼がたどり着いた時、すでにプラムは冷たい骸(むくろ)となっていた。 ――プラムも彼女の弟も守ることが出来なかった…… 無力感に打ちひしがれるゼルガディスを追いかけてきたゼロスは、しかし、「彼女にはまだ尋ねたいことがあります」と言って、彼女を蘇生させ、写本のありかを聞き出した。 ゼロスとの最初の出会いは、ゼルガディスにとって自分の無力を思い知らされた忌まわしい経験ばかりだった…… ふと、ゼルガディスは疑問を感じてゼロスに問いかける。 「なぜ、俺を蘇生させた?お前の目的は何だ?」 「目的?」 「お前がプ……あの少女を蘇生させたのは、お前自身、彼女に尋ねたいことがあったからだ。お前が親切心や同情など持ち合わせているはずが無い」 ゼロスは相変わらずの笑みを浮かべて肩をすくめた。 「まあ、あの場合ほど切羽詰っているわけではありませんが……言うなれば、あなたは僕の道案内になり得る、というところでしょうか」 「道案内……異界黙示録の写本のことか……」 「そうです。僕一人で探すより、あなたにも探してもらえれば手間が省けるというもの。さらに、あなたの場合、自分の身体を人間に戻す情報がその写本に書かれていなければ、僕がそれをどうしようと気にしないでしょう? 僕も何かと忙しい身。写本を手に入れるためとはいえ、できれば無益な殺生は避けたいですからね」 上から命令された仕事はやり遂げるものの、相変わらず手抜きに走るゼロスの態度に、昔を知っているリナとゼルガディスはげんなりした。 「ちゃっかりしてやがる……だが、俺は貴様と旅をするのはご免だぞ」 「え?別に僕があなたと旅をする必要はありませんよ」 「じゃあ、どうやって、いつ、どこで俺が写本を探している、と分かるんだ?いくらお前でも千里眼ではあるまい」 「いや、僕はあなたがどこにいるか、探せば分かりますから」 「…………」 リナは、ゼルガディスが彼女を連れてレゾのもとを逃げ出した時のことを思い出した。 逃げても逃げても、レゾの追っ手は彼らを見つけ出したが、それは、ゼルガディスの身体がレゾの魔法で合成されているため、魔法的な目印となっていたからだった。 魔法の目印は魔法で隠すこともできる。だが、そのためには彼の身体にかけられている魔法がどのようなものなのか、解き明かさなくてはならない。リナが天才的な魔道士であっても、一朝一夕の研究で解明することはできず、結局彼らは赤法師レゾとの対決を余儀なくされたのだ…… だが、ゼロスとて、ゼルガディスの合成獣の体を維持している魔法を知らなければ、魔法の『目印』を見つけることもできないはず。 「お前……いったい、いつ俺の身体の魔法について調べた?」 「ええ?……ああ、僕が『目印』と言ったのは、その合成獣の身体のことじゃありません。先ほど、あなたを蘇生させる時、ちょっと細工させてもらったんですよ」 「何っ!」 ゼルガディスはゼロスに詰め寄り、胸倉を掴んで引き寄せる。 「貴様っ!俺に何をした?!」 ゼロスは笑顔を崩さず、相手の目に浮かぶ激しい怒りとかすかな疑念を楽しみながら言った。 「プラムさんのように、普通の人間だったら簡単に蘇生させられたのですが、複雑な合成獣の身体は一つ一つをバランスよく蘇生させないと失敗しやすいんです。特にあなたのように、無生物が絡んでいると、ね。 だから、ちょうど意識が無くて自己を失った抜け殻の身体に、下級魔族を召喚して合成させたんですよ」 「……何だと?」 それまで黙ってやり取りを見守るしかなかったルークとミリーナは、かつて知り合いが魔族と合成された姿を思い出した。赤い粘土で作った動く人形のように見えた『彼』は、戦いの最中、かつて人間だった時に持っていた顔を見せつけ――結局、ルークが彼に止めを刺した。 あの時、『彼』の依頼を受け、結果的に魔族との戦いに巻き込む結果を作ったのはルークとミリーナだった。今度もまた――根拠のない憶測からガウリイの怒りを煽り、ゼルガディスを無用な決闘に追い込んだのは彼ら…… 激しい後悔と自責の念にかられる二人の前で、ゼロスは人間たちが発散する『負の感情』を喜んでいるように、楽しげに語り続ける。 「レッサー・デーモンは、下級魔族が小動物に憑依した姿です。つまり、下級魔族の力が、動物の身体を変化させる――その能力を応用して、僕はあなたに合成した魔族に、あなたの身体を治させたのですよ。 下級魔族をそのままにしておくと、あなたの意識が戻る障害になりますのでね、身体が回復したらすぐに、その魔族を眠らせてはありますが、しかし、それはあなたの中にまだいるんです」 ゼルガディスは慌ててゼロスから手を放し、先ほどガウリイに斬られた腹を見た。服の裂け目から覗く肌は、いつもと同じ青黒い肌に、一筋の赤いミミズバレができている。普通の回復呪文を使ったのであれば、傷跡は残らない。 彼はそのミミズバレが、魔族によって変化させられた部分だと気づいてうめいた。 ゼロスの笑みが大きくなり、貪欲な視線がゼルガディスの歪んだ表情をなめまわす。 「その下級魔族は、僕自身の一部から生み出したものです。ですから、いつ、どこにあなたが居ようと、僕はその下級魔族の居場所を割り出すことができるのです」 「……貴様……貴様はっ!」 ゼルガディスは懐から短剣を取り出し、それに魔力を込めて身構える。 「無駄ですよ」 せせら笑ってゼロスが彼を指差すと―― 「う……」 ゼルガディスは、自分の中の魔族が恐怖の叫びを上げるのを感じた。この下級魔族は、ゼロスの恐ろしさ、強さを本能的に知っている。そして、その魔族の意識が、寄り代となっているゼルガディス自身に影響しているのだ! 彼の手から短剣がこぼれ落ちる。 ゼルガディスはしばらく呆然とゼロスを見詰めていた。 「……あ……うあ……うわあぁぁぁぁっ!」 叫ぶと同時に、ゼルガディスは狂ったように木立を突っ切り逃げ去った。 「ゼル!」 リナは叫んだが、彼女も彼女の仲間も、誰一人、ゼルガディスの後を負うことはできないほ、ど突然の出来事だった。 「うおおおおおぉぉおっ!」 ルークが魔王剣(ルビー・アイ・ブレード)でゼロスに斬りかかった。 が、 逆上して振り回す剣は、ゼロスに簡単にかわされる。 「おやおや、僕はあなたが望むように、ゼルガディスさんを蘇生させてあげたのですよ。これがそのお礼ですか?」 「……く……」 痛いところを突かれて、ルークは身動きが取れなくなった。 「ゼロス……確かに、あなたがゼルの命を救ったことに違いはないわ……」 低く言ったのはリナ。 「あなたがやった、魔族を使う手以外に彼を救う方法があったのかどうか、あたしには分からない……だから、今、ここであなたを責めることはしないわ」 「リナ!何を言っているんだ!こいつはゼルを……」 ガウリイが叫ぶ。 「あなたがゼルとやりあったりしなければ、ゼルがゼロスに細工されることもなかったはずでしょう!」 リナの一言が他の仲間を黙らせる。 「ガウリイ、あなただけを責めたりしない。あたしはあなたが誤解しているのを感づいていながら、何も言わなかった――ゼルだって、断ればいいものを断らなかったんでしょう。つまり、元を質せば、あたしたちの落ち度なのよ。魔族はいつだって、人間の弱みに突け込んで来る……あたしたちが魔族を引き込んでいるのよ」 うなだれる三人の仲間を見回してから、リナはひたとゼロスをにらみつけた。 「でもね、いつもいつも、あなたの思惑通りになるとは限らないわよ。あなたはゼルにしかけた魔族を通して何かするつもりかもしれないけれど、彼はそう簡単にはあなたの手に落ちないわ――あたしが彼を守ってみせる!」 ゼロスはリナに向けて大げさにお辞儀をすると、そのまま空気に溶けるように消え去った。 |
本文中に登場した、ゼルガディスとゼロスとプラムが関わった事件は、キューピーのオリジナルではなく、スレイヤーズの作者が一度は書こうとしたエピソードです。当時は事情により発表できなかったそうですが、小説版「スレイヤーズすぺしゃる」第8巻「恐るべき未来」の「超巨大あとがき」であらすじが解説されています。また、ルークとミリーナが関わった人物が魔族と合成されたエピソードは小説版「スレイヤーズ」第12・13巻のお話です。 |
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