正義への愛ゆえに

FOR LOVE OF JUSTICE
(Jちゃん作:キューピー/DIANA翻訳)

 作者より:またまた暗めのスレイヤーズ小説です!今週はスレイヤーズの波に乗っているみたい。短いけれど、前作ほど短くはないつもり。でも、学校で書いたので一時限分しか時間が無かったから、長くも無いです。気に入ってもらえたら嬉しい!最後に一言:これを書いた時、ちょっと斜に構えたひねくれたムードだったので、このお話全体の時制がちょっと変です。



 あれは次の日のことだったか……それとも前の日のことだったか……わたしもよく覚えていない。人生とはループのようなもの。行って、そしてまた元の場所に戻る。少なくともわたしはそのように生きてきた。いや、そのように今、生きているのかもしれない。ううん、これからはそのように生きていくのかも。いずれにしろ、わたしにとっては同じこと。
 わたしはアメリア=ウィル=テスラ=セイルーン。もしあなたが望んでいたのなら/望んでいるなら/これから望むのなら、わたしの物語をお話しましょう。
 わたしは王女です。わたしはそのことを十分心得ています。ずっと何回もそう言われて来ましたから。わたしの父さんはそのことを毎日わたしに話し、そして「正義こそが道である」と説いてきました。でも、その道はどこへと繋がるの?完璧な世界へ?不可能を可能にする道?わたしが生涯囚われて来たファンタジーの実現?
 こんなことを言うからといって、「正義」がまやかしだってことを知らない、なんて言っているんじゃないです。けれども、父さんのためにわたしはその嘘を守って生きている。国を離れていても、わたしは偽善者のふりをするし、誰かによって偽善者であることを暴露されるかもしれない。けれども、わたしは父さんが信じているものを信じているから、けして偽善者であることを暴露されたりしません。
 こんなわたしの人生は、わたしが4歳の時に始まっている/始まっていた/始まるだろう/始まったのだと思います。

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 「おとうちゃま、あのきぇいなほうしぇきであしょんでいい?」
 「いいや、ダメだよ、お前。あれはお前の母さんの物だ。触ってはいけない」
 「でも、あぇ、きぇい!」
 「ダメだ、と言ったよ。可愛いお前」
 「あしょびたいの! あしょびたいの! あしょび−−」
 「泣くんじゃないよ、小さな王女様。よくお聞き。正しく公正な者全ての王者になろうというものは、けしてむかっ腹を立てたりしないものだ。このことを覚えていられるかな? お約束できるなら同じような宝石をお前にあげよう。どうかね?」
 アメリアの涙はたちまち乾いてしまった。
 「はい、おとうちゃま! おやくしょくする!」

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 「父さん、母さんはどこ?」
 「心配しなくていいよ、可愛い子。わしたちが正義に忠実である限り、この困難を乗り越えることができる」
 「ても……でも、母さんはどこ、父さん? もうよくなったの?」
 「母さんは帰ってこられないんだよ、アメリア」
 「でも……でも、母さんはきっとよくなる、ってお約束したのに?」
 「泣くんじゃないよ、アメリア。母さんは正義を信じていた。今、母さんはもっと幸福な場所にいる」
 「本当? どこにいるの?」
 「正しく公正な人たちのために用意された、栄光ある処。高みにある処だ」
 「解ったわ、父さん。わたし、母さんのこと、忘れない。母さんは高みにある処にいるの。正義を愛する人たちの場所に」

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 「父さん、宿題を手伝ってくれる? 家庭教師の先生は解ってくれないの」
 「いいとも、可愛い娘よ。何を手伝って欲しいのかね?」
 「この文章の意味が解らないの」
 「声に出して読んでごらん」
 「せ−い−ぎ……正義! 正義は…と−て−も……正義はとても…じゅ−う−よ−う……解ったわ、父さん! 『正義はとても重要だ!』っていうことね!」
 「その通りだ、アメリア! よくやった!」

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 「わたしの仔馬(ポニー)? ありがとう、父さん!」
 「さて、なんと名前を付ける?」
 「ううんと、何かいいアイディアあるかしら?」
 「ふむ……フレイム(炎)はどうかな?」
 「どうしてフレイム? この子は黒馬よ?」
 「正義の炎の剣(フレイミング・ソード・オブ・ジャスティス)のフレイムだよ」
 「ああ! それがいいわ!」

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 「あの……無理です。いくら父さんがわたしに……」
 「お前はもう十分に大きくなった。そろそろ最初のスピーチをしてもいい頃だよ」
 「でも、何を言えば? わたし……」
 「もう、お前のスピーチの原稿は用意してある。さあ、言ってやってみてごらん!」
 「はい、父さん!」彼女は壇上へと進んだ。「正義と慈愛を愛する方々、ようこそいらっしゃいました……」

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 「父さん、わたしはリナさん、ゼルガディスさん、ガウリイさんと一緒に行きます」
 「行く? 長くなるのか? 解っているのかね?」
 「はい。彼らの旅の理由は正しいと信じています」
 「正義のためならば、どんなことでも、か。気をつけてお行き。そして出会う人々に正義を広めるのだ」
 「はい、父さん。そうします」

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 こうして全てが始まったのです。そして、わたしがかつて信じ、今も支持しているふりをしている正義は、まだつきまとっている……わたしはいつこの正義とともにある人生が終わったのか、終わろうとしているのか、それとも将来終わるものなのか、解りません。正義はわたしの一部。私が「嘘」と呼ぶものが真実なのです。正義こそ今のわたしの人生であり、これからの人生でもあり、これまでの人生でもあった……

……正義って?………




 後書き:気に入ってもらえましたか? 少なくとも面白いと思ってもらえたら光栄です。

 翻訳者注:アメリカでは、スレイヤーズの小説は発行されていません。そのため、いろいろと作者の想像が入っていますが、割り引いてお読みください。




オリジナルの英語版はこちら



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