名称 八咫鏡(やたのかがみ)
種別 呪物
出典 日本神話

  岩波文庫版の「日本書紀」では、補注で、咫が「説文」で八寸であると説明してある事を延べ、周制ではこれが現在の16cm弱にあたると説明しつつ、文字通り八咫(128cmくらい)ではなく、「八」を「非常に大きな数」という意味で用いているであろうと解説している。従って、八咫鏡とは、この解説に従えば、非常に大きな鏡という意味になろう。

  八咫鏡は、天岩戸に隠れた天照大神を導き出すための呪物のうち、主要なものとして使われた。すなわち、榊の枝にかけられた鏡を天照大神が見て、別の大いなる神と勘違いをした事により、岩戸の外へ出てきたのである。これは、鏡が「太陽の精を写すもの」、太陽の形代である事を表しているかもしれない。

  八咫鏡は、真経津鏡(まふつのかがみ)という異称も持つ。この事は、八咫鏡が太陽の形代である事を更に示しているとも言える。なぜなら、この名前に含まれる「フツ」は、三品彰英説では朝鮮語由来の言葉で火、明るい、赤いなどを意味する言葉と同系統と考えられるからだ。

  八咫鏡が太陽の形代である事は、天孫降臨の際、三種の神器の一として下し置かれて、天照大神自身が「此の宝鏡を視まさむこと、当に吾を視るがごとくすべし」と指示している事からも、明らかと思われる。

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〔参考〕「日本書紀」(岩波文庫)