ROSETTA
ロゼッタ

ロゼッタ

1999年 ベルギー・フランス合作

STAFF

監督・脚本:リュック&ジャン=ピエール・ダルデンヌ
プロデューサー: リュック&ジャン=ピエール・ダルデンヌ
    ミシェール&ローラン・ペタン
撮影監督: アラン・マルクーン
カメラ・ポエレーター: ブノワ・デルフォー
録音: ジャン=ピエール・デュレ
編集: マリー=エレーヌ・ドゾ
整音: トマス・ゴデ

CAST

エミリー・ドゥケンヌ
ファブリツィオ・ロンギオーヌ
アンヌ・イェルノー
オリヴィエ・グルメ

1999年 カンヌ国際映画祭パルムドール大賞
主演女優賞 受賞

 

STORY & REVIEW

工場を突然解雇されたロゼッタは、「なぜ私だけ?」と暴れて抵抗するが、
結局つまみ出されてしまう。 彼女は幹線道路の脇の森の中にある
オートキャンプ場に酒浸りの母親と暮らしている。
彼女の願いは、普通の生活をすること。
そのために毎日続けられる仕事に就きたい。
その一心で毎日を戦っている。
森の中にある池にマス獲りの仕掛けをし、母親がリフォームした古着を
売りに街に出る毎日を送っている。
ある日、いつも利用しているワッフル店のの社長に会い
念願の仕事を貰う。店に勤めるリケとも仲良くなり
順調にいくかと思いきや、社長の息子に仕事をとられてしまう・・。

 

1999年のカンヌ映画祭でパルムドーム賞を受賞した作品です。
この映画は、ただ、仕事を持ちたいと願う少女の奮闘ぶりを追った、
バックには音楽さえも流れないというドキュメントタッチの作品です。
酒浸りの母とトレーラー・ハウスに住むロゼッタは、”仕事を持つ”ことに
全身全霊を傾け、仕事をする事が人並みの生活をする為の証、
自分自身の存在の意義だと考えています。
冷たい社会の仕打ちに対して、怒りを溜めながら、
強く自分の意思を貫こうとし、笑顔もほとんど見せません。
彼女にとって日々が生き残りを賭けた戦いなのです。
この『ロゼッタ』を観て、彼女の壮絶な一途な心。がむしゃらに生きる
という懸命な姿に感動するとともに、考えさせられることが多く、
帰り道、色々な事が頭の中を駆け巡りました。

監督のリュック&ジャン=ピエール・ダルデンヌ兄弟はあくまでリアルに
この世界を表現しようと、手持ちカメラを駆使し、彼女の行動を至近距離から
撮りました。これは、”理解や物語といった映画の常套的な習慣を殺し、
人間の絶対的な孤立、存在そのものの孤立に観る者を直面させる為”
と言っています。彼らは前作『イゴールの約束』(96) で徹底的に「個」を
追求しました。この作品も前作同様、ロゼッタの「個」を表現しています。
この作品は、友情や、愛情、優しさといったレベルを超えた ”生” への
深い愛、それから、”個の尊厳と倫理”をテーマにした物語なのだと思います。
自分の為に、自分が生きぬく為に友人のささやかな横領を密告してまで
仕事に就きたいと思うロゼッタ。自分のためなら人を裏切ってでも・・・?
観ながら、観た後も、自問自答を繰り返してしまうテーマでした。

ラストで、やっと仕事を手に入れたのに突然死を選ぼうとし、
それでも「死ぬことも出来ない自分」に絶望しながらも、
不必要だと思っていたものが実はとても大切だったことを知った彼女の
表情が、たまらなく素敵でした。

Produced by "Rick"
(2000.5.17
名古屋シネマテークにて)