No.004
再確認した世界との差
2000.11.30
text by RB(あーるびー)

 

 

年に1度、世界のサッカーファンの熱い視線が日本に注がれる。トヨタカップ。正式名称、トヨタ ヨーロッパ/サウスアメリカ カップ。クラブチーム世界一を決める試合がこの日本で行われるのである。

20世紀最後となる今年は、「65億円の男」が率いるレアルマドリード(スペイン)と、「マラドーナの再来」がチームを引っ張るボカジュニアーズ(アルゼンチン)の対戦となった。各メディアもこの2人の“No.10”に注目し、大きく取り上げた。

2000年11月28日。場所は東京国立競技場。Kick Off。

常日頃Jリーグや日本代表の試合で使用されている同じスタジアムとは思えない光景がそこでは繰り広げられた。

この試合まず、日本で俗に言う“クリア”というものが存在しない。全くないと言えば言い過ぎかもしれないが、ほとんどないと言っていい。キーパーによって大きくハーフウェイライン付近まで蹴られたゴールキックやパントキックの時でさえ、自分が競り勝てると見るや、ヘディングで味方選手にボールを繋ぐ。もちろん意図的にである。日本選手の場合、これができない。相手と競り合うことに精一杯の状態であるので、見方選手の位置を確認する余裕もなく、とにかく相手ゴールに少しでも近づこうと、または自分たちのゴールから少しでも遠ざけようと力一杯ボールを前方に飛ばす。

次に、ファーストタッチの質。レアルやボカの選手たちは皆、意図を持ったボールの止め方をする。レアルの1点目に繋がったロベルト・カルロスのプレーはその象徴である。私が小学生の頃によく言われていたことあった。南米の選手は1でボールを止め、2で蹴る。ヨーロッパの選手は1でボールを止め、2で周りを見て、3で蹴る。日本の選手は、1でボールを止め、2でコントロールし、3で周りを見て、4で蹴る。今や、一昔前に言われていたような南米とヨーロッパの差はなくなり、日本選手のレベルもかなり上昇した。しかし、日本のごく一部のトッププレイヤーを除いて、未だボールを止めることに関しては世界と大きな開きがある。次のプレーを考えたトラップの仕方ができないばかりか、ボールを止めることに必至になっている感さえある。

そして、きちんとボールを止められるからこそできる速いパス。この日のために国立競技場の芝生を短く刈り込んだのかとさえ思えるほど、速く正確なパスが芝生の上を滑るように行き交う。日本人にも速いパスは蹴れるかもしれないが、それを止められなければ意味がない。おそらく今の日本人では、あの狭いスペースでフィーゴやリケルメのパスを受けられる選手は数人であろう。

サッカーを見てきた人なら誰もが分かっていたであろう日本と世界の差。しかし、改めて日本という身近な場所でこれらを目の当たりにし、足りないものを再確認することができた。

何年かかるか分からない。しかし、いい見本は数多くある。

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