No.006
W杯開催の光と影
2000.12.05
text by RB(あーるびー)

 

 

小学5年からサッカーを始めた私であるが、現在も地元の社会人サッカークラブに所属し、草サッカー程度ではあるが月に2、3回プレーを楽しんでいる。私の所属しているチームは、埼玉県のある市のリーグに参加している。また、元旦の国立競技場を夢見て、毎年前年の冬から、トーナメント方式の天皇杯予選などにも出場している。

先日ある席で、県や市のサッカー協会の現状などについて話を聞く機会に恵まれた。これまでなかなかそのような機会がなかった私にとって、それはとても興味深く、考えさせられるものであった。

まず、私の所属しているような社会人チームというのは、各大会に参加するにあたり、大会前に参加費というものをチームとして支払わなければならない。その参加費というものが、W杯の開催が決まった頃から年々増加しているというのである。一例を挙げると、天皇杯予選の今年の参加費は、1チームあたり1万円であったのであるが、来年は1万8千円となる。何と前年比180%である。単純に考えてこれは、各チームから反論が出てもおかしくない数字である。

また、埼玉には来年度から県3部リーグが新しく発足する。おそらく、これはW杯開催と密接な関わりがあると思われる。そのリーグには、各地域リーグから最低1チームを出さなければならないという規定があるらしい。そのため、私たちのチームがいるリーグからは、今年優勝したチームが、来年度は強制的に3部リーグに参加することになった。しかし、県のリーグとなると、試合会場も今まで通り地元のグラウンドばかりとはいかず、時には何十キロと離れた会場で試合を行わなければならないということが起きてくる。また、上のリーグにいく程、参加費も高くなる。高いレベルで試合ができることは嬉しいが、移動や金銭的な部分を考えると、地元でのんびり(?)と趣味の範囲でやっていきたいと思うチームも出てくるかもしれない。

皆さんもご承知の通り、埼玉にはW杯がやってくる。しかし、その招致や開催には莫大な費用がかかり、それらは自治体の予算を圧迫する。そして、そのしわ寄せが、日本のサッカー界の底辺を成し、生涯サッカーを楽しもうとしている人達に大きな圧力となって降りかかっている。ある先輩の話では、年々、協会からの強制力も強まっているという。

2002年を間近に控えて盛り上がる一方で、日本が本来目指している「文化としてのスポーツ」の根幹を成す人々のこのような現状を、どれだけの人が知っているのだろうか。W杯開催の光と影。光の部分があまりにも強いことによって、その影が見えなくなってしまうことがないことを願う。

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