No.008
“何か”を求めて
〜スタジアムに足を運ぶ3つの目的〜
2000.12.20
text by RB(あーるびー)

 

 

北風が身にしみる季節になってくると、サッカー観戦の季節の到来を感じてしまう。天皇杯、高校サッカーなど、年末年始にかけてサッカー界は盛り上がりをみせる。しかし、なぜこたつの中でみかんを食べながらテレビ観戦するよりも、この寒い中をわざわざスタジアムまで足を運ぶのだろうか。スタジアムに足を運ぶ人々は皆、それぞれの想いを胸に緑のグラウンドを目指す。しかし私は、その主な目的は、大別すると次の3つに分類されると考える。

(1)試合そのものを楽しむため

(2)好きな選手・チームを応援するため

(3)好きな選手を見るため

(1)については、昔からのファンや、自らもかつて(あるいは今も)プレーしていた方に多いのではないかと思う。そのため、男性の方がこの(1)に当てはまる割合が多いのではないだろうか。そしてその多くは、メインスタンドやバックスタンドでの観戦を好むと思われる。バックスタンドでの観戦の際、試合開始の何時間も前から、お互いの持論を永遠と語り合っている男性2人組の姿を見ると、妙に心が躍る想いがする。しかも、それがいたるところで行われているのだから、彼らの話を聞けただけでも高いチケット代の元は取れたというものだ。

次に(2)に属する人。これは言うまでもなく、ゴール裏の大応援団である。私の見る限り、彼らは試合を見ることよりも応援の方に熱が入っている。試合を通して、90分の内の85分はグラウンドに背を向けている人さえ見受けられる。選手の名前が入った大きな旗を振りかざす若い男性。拡声器を手に一致団結を求めるおじさん。レプリカユニホームを着て、選手よりも運動量があるのでないかと思わせるほどに飛び跳ね続ける女の子。その誰もが大きな声を張り上げている。

最後に(3)。これは圧倒的に女性の割合が多い。アイドルでも見るかのような熱い視線を、各々のお気に入りの選手に向けている。ボールの行方よりも“彼”の行方が気になると言ったら、少々大げさであろうか。試合中は両手を合わせて祈り続け、試合終了と同時に、カメラ片手にスタンドの最前列へと飛び出していく。男性客にとっては苦笑いするしかない光景である。

しかし、それぞれの想いはどうであれ、そのすべての人々が今の日本のサッカー界を支えているのである。そして代表の試合になれば、すべての人が「日本の勝利」という共通の大きなベクトルに向かって想いを馳せる。

スタジアムには、テレビ観戦では味わえない“何か”が待っている。その“何か”を求めて、人々はスタジアムへと急ぐ。

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