No.016
副音声の使い方
2001.02.14
text by RB(あーるびー)

 

 

スポーツの人気を左右するものは何か。数あるスポーツの中でも、人気のあるスポーツと人気のないスポーツがあるが、これは、国や地域によって異なる。ある国では多くの人の注目を集めるスポーツも、他の国や地域ではそのスポーツの存在すらほとんど知られていないなどということがある。しかし、スポーツが文化として根付いていない日本に限って見た場合、『分かり易さ』がそのスポーツの『人気=支持』の一つの鍵を握っているように思う。

この日本において、長い歴史を持ち、最も国民の支持を得ているスポーツと言えば、たいていの人はまず野球が頭に思い浮かぶのではないだろうか。野球なんて見ないよ、と言う人もいると思うが、基本的なルールぐらいは皆知っているであろう。ピッチャーが投げてバッターが打つ。3アウトで攻守交代。何て分かり易いのだ。

そして、2002年のW杯を控えて、近年、俄然注目を集め始めたサッカー。これまた、手を使わずに相手ゴールにより多くボールを入れた方が勝ち。難しいことを考える必要は一切ない。

さらに、人気低迷が囁かれる中、依然として我が国の国技として長年のファンを引き付け続けている相撲。そのルールなど説明するまでもなく、日本人ならば誰でも知っているに違いない。

国民の多くの支持を得ているスポーツは皆、分かり易いのである。

一方、企業スポーツからの脱却を機に人気回復を目指すラグビー、バレーボール、アイスホッケーはどうであろう。バレーボールに関しては、学校スポーツの中で接する機会もあり、分かり易さ、ルールの理解度という点では、他の二つの上を行くと思われるが、ラグビー、アイスホッケーに関しては、やはり分かり難いと言わざるを得ない。分かり難さは、そのままスポーツファンの取っ付き難さに繋がり、新たなファン獲得には大きな障害となる。

しかし、2月11日に行われたラグビー日本選手権、神戸製鋼vs.慶応大のテレビ中継を見ていて、人気低迷に喘ぐこれらのスポーツの一つの解決策を見た気がした。NHKで放送されたこの試合、主音声とは別に副音声では、ルール解説に重点を置いた解説が行われていたのである。ゲーム全体の流れを追いかけながらも、その一つ一つのプレーに目を向け、ルールを中心としたきめ細かい解説もしてくれる。ラグビーを見るようになって間もなく、何かと複雑なルールに関してもそれ程詳しい知識を持たないファンにとっては、大変嬉しいことである。

副音声を用いた今回のこの試みは、おそらく放送局側の意図によって行われたものと思われるが、ちょっとした小さなきっかけで目を向けてくれた言わば“にわかファン”を、これから10年も20年もスタジアムに足を運んでくれるような“真のファン”に変えることができるか否かは、各協会の努力次第と言える。放送界などのメディアの協力あってこそできるこの試みではあるが、ルールを知ってもらうことこそファン獲得の第一歩と考え、その一つの手段として、「副音声」の有効活用なんてのはいかがなものだろうか。

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