No.017
最後まで見つけ出せなかった答え
2001.02.19
text by RB(あーるびー)

 

 

2度目の防衛戦は、“やりにくさ”を最後まで拭い去れないまま試合終了のゴングを聞くこととなった。このように書くと、チャンピオン畑山はあたかも負けてしまったかのように思われるかもしれないが、王者畑山隆則(横浜光)と挑戦者リック吉村(石川)の間で行われたWBA世界ライト級タイトルマッチは、とにもかくにも、引き分け、チャンピオンの防衛という形で幕閉じた。

「すいません、以上。」

防衛を果たしはしたものの、その内容に納得がいかない畑山の心の内が、この言葉に凝縮されている。

皮肉にも試合は、戦前に畑山が残したコメント通りに進んだ。前半はテクニックに優るリックペース、後半、特に10Rに入ったあたりからは、スタミナに優る畑山にやや分がある展開。しかし、リックは予想以上に巧かった。畑山とリックのフットワークの差なのか、はたまたチャンピオンという、背負うべきものとそれがないものの差であるのか、試合は終始リックがロープを背負う形で進んでいった。しかし、追い込んだはずの畑山の方が、何かやりにくそうな、そして、その打開策を見出せないでいるような印象が、12R終了まで続いた。畑山本人も、それを感じながらの36分間だったに違いない。

これがキャリアの差なのだろうか。畑山は、接近戦において、得意の回転の速いショートパンチを全くと言ってよい程打たせてもらえなかった。リックをロープ際に追いつめ、さらに距離をつめようとも、リックの懐の入口には、破壊力こそないものの正確な左が待ち構えている。それをかいくぐって懐に飛び込んだ途端にクリンチ。そのクリンチがまた巧い。クリンチをされながらもパンチを放とうとする畑山であるが、思うようにそのパンチを繰り出せない。どうにもうまくいかない。相手にそう思わせてしまうところにリックの強さ、そして巧さがあった。

そして、この試合をドローという微妙な判定にまでもつれさせたもう一つの要因。これはあくまで素人の目から見た限りではあるが、入場時の畑山から受けた印象だ。前回の坂本戦の時に受けたそれと比べると、明らかに違ったもの見えた。肌の艶や張り、体の締まり具合、そして、その表情。そのどれもが、試合開始のゴングを待つ私の中に小さな疑問符を生じさせていた。調整は万全であったと信じてはいるが、少し気になる点ではあった。

日本人同士の対決、さらには対照的なバックグラウンドを持つ2人として注目を集めた前回の坂本戦と比べて、派手な強打の応酬とはいかず、見所に欠けたという声も周りから聞こえてきはしたが、私にとっては、ボクシングというスポーツの、これまでとはまた違った見方、楽しみ方を知ることが出来た一戦となった。

3度目の防衛戦では、試合後のリング上で粋なコメントが聞けることを期待したい。

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