No.018
1点の重さ
2001.03.02
text by RB(あーるびー)

 

 

「この1点は大きいですねー。」

リーガ・エスパニョーラ第24節ラコルニャvs.R.マドリードの試合で、前半終了間際に得たPKを、レアルの背番号10フィーゴが冷静にゴール右隅に流し込んだ後の解説者の言葉である。

ここで疑問。

果たして、大きくない1点なんてあるのだろうか。大きな1点があるのならば、小さな1点とはどんなものなのか。

数あるスポーツの中でも、サッカー程、ロースコアゲームになるスポーツも珍しい。強いて言うならば、投高打低のソフトボールくらいであろうか。スコアレスドローで終わる試合などは珍しくもなく、明らかに実力差があると思われるチーム同士の試合でも、大差がつくのはごく稀である。そんなサッカーというスポーツにおける1点。その大きさに、大きいもの、小さいものなんてあるのだろうか。

前述の試合に関しては、何気なくつけたテレビに偶然その場面が映し出されていたため、私はその前後の試合展開については知り得なかったのであるが、前半終了間際という時間帯を見る限り、確かに棚からぼた餅的な1点だったには違いない。しかし、だからと言ってそれが“大きい”1点になるのだろうか。

競った試合での値千金のスーパーゴールは、私達に震えるような感動を与えてくれる。では、0対4という劣勢からの一矢報いる1点は、私達に何も与えてくれないかというとそんなことは断じてない。言い換えれば、前者が大きな1点で、後者が小さな1点であるとも言うことができないのだ。

冒頭の言葉を聞いて思い出したことがある。それは、中田英寿のセリエAデビュー戦、ペルージャvs.ユベントスの試合である。0対3と劣勢に立たされてからの中田の2得点。そして、更なる追加点を奪われてからの試合終了間際のPK。最後のPKを決めたところで、残り時間もあと僅かしかなく、引き分け、ましてや勝利など望める可能性は限りなく低かった。しかし、得点後のペルージャサポーターの荒れ狂い様。あの姿がすべてを明らかにしてくれているのではないかと思う。サポーターにとっては、大きな1点も小さな1点もないのである。

確かに、試合の勝敗を左右するという意味では、相手よりも1点多く得点を取れた訳だから、“大きい”という言葉も間違ってはいないと思う。しかし、サポーターにとっては、その1点の重さに大小の違いはないのだということを頭の片隅に置いておいて欲しいものである。

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