No.024
「伝統の一戦」の奇妙な伝統
2001.07.16
text by RB(あーるびー)

 

 

2000年ペナントレース。読売ジャイアンツは他チームの追随を許さぬ形でセントラルリーグのトップを独走し、そればかりか、あらかじめセットアップされていたかのような劇的な幕切れで優勝を決めた。そして、ON対決と銘打たれた日本シリーズでも、「O」が率いるダイエーホークスに2連勝を許すものの、終わってみれば4勝2敗という結果を以って、球界のスーパースター「N」がその強運を示した。

そして、新世紀の幕が上がった今年の2001年シーズン。7月16日現在、読売ジャイアンツは、昨年からの順位決定方式の変更によって辛うじてセントラルリーグのトップの座を保っている。

そこで登場するのが、解説者や評論家と呼ばれる面々である。昨年のように、ジャイアンツが独走優勝すれば、「プロ野球がつまらなくなる」と言い、今年のように、辛うじて首位には立っているものの、勝率ではヤクルトスワローズを下回ってしまっている状況では、「あれがダメだ、これがダメだ」と粗探しをする。そのくせ、テレビ視聴率の低下という形で証明されている日本プロ野球界の人気低迷という現実に対しては、全く以ってその改善策を提案することがない。これは、プロ野球の解説者や評論家のみならず、日本の政治家にも共通して言えることであるが、提案の伴わない批判は、全く説得力に欠ける。さらに言えば、批判だけならば誰にでもできるのである。

と、ここで話の論点を元に戻そう。

それにしても、読売ジャイアンツという球団は不幸なチームである。勝っても負けても批判される運命にあるとは。また、チームどころか、そのファンまでもが批判の対象となる始末だ。負けて文句を言われるならば納得ができるが、勝ってすら批判の対象となる世界って、他にあるのであろうか。

片や、日本プロ野球界には、これと正反対の世界も同時に存在する。阪神タイガースである。3年前、万年Bクラスだったヤクルトスワローズを日本一にまで導いた名将野村監督を招聘し、その体質改善を目指したが、3年目を迎えた今年の2001年も、負けることが当たり前であり、ファンも贔屓のチームの惨敗に対して真に批判することはない。まかり間違って勝ち続け、今では定位置となってしまった最下位を脱出しようものなら、チーム関係者やファンが逆に違和感を覚えてしまい、浮き足立ってしまった結果、また居慣れた最下位に舞い戻ってしまう有り様である。負けても批判されず、勝つことに違和感すら感じてしまう世界である。

この対極の環境にある2チームによって行われる「伝統の一戦」。「伝統」という、日本人の中では長い間美化され続けてきた言葉の影に隠された、奇妙としか思えない両チームの背景の違い。これまでに幾多の名勝負を生んできた「伝統の一戦」とは言え、“今”を生きる私たちにとっては、もはやこの「伝統」は喜劇としか思えない。

この喜劇が指し示す先が、日本プロ野球界の悲劇の結末を暗示していないとも限らない。

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